《今回の相談内容》(草加市 T・Y 31歳)

「私の悩みは、何でもそつなくこなせるけど人間的な魅力がイマイチなこと。そつなくこなせるなら十分じゃないかと言われそうですが、これってぜいたくな悩みでしょうか?」 

 

そつがないって良いの?悪いの?

「そつがない」とは〈手抜かりがない〉〈無駄がない〉という意味に使われる言葉です。

「そつのない人」は〈手際の良い人〉〈手慣れた人〉という褒め言葉にもなりますが、どこかに〈無難に立ち回る要領の良い人〉とか〈一通りのことはやるが、それ以上のことはやらない人〉というようなニュアンスを感じてしまう言葉でもあります。

 投稿者の方も、それを自分自身で感じ取っているからこそ「そつなくこなせる」という言葉をお使いになったのかもしれませんね。何事もそつなくこなせるのに人間的な魅力が足りないと感じてしまうのは、そうした自分に物足りなさを感じてしまうのかもしれません。

 そういう人にご紹介したい心理用語があります。それが『しくじり効果』

 人って何事もそつなくこなす人よりも“ちょっと抜けたところのある人”に共感を抱きやすいもの。その共感はそのまま相手への好感度や魅力のアップにつながります。つまり、失敗すると、かえって人から好かれるようになるのです。

  それを実験で確かめたのが、カリフォルニア大学の心理学者エリオット・アロンソンと同僚の研究者たち。その実験とは、被験者たちに2種類の録音テープを聴いてもらうというものでした。

 テープの内容は、どちらも学生が常識クイズに答えた後、自分のそれまでの履歴を語るという内容でした。登場する学生はトップクラスの学歴を持つ優等生らしく、難問も軽々とクリア。正答率は9割以上という好成績でした。

 ただし、片方のテープには最後にちょっとした演出が施されていました。学生がコーヒーカップをひっくり返して新調したばかりのスーツをを台無しにする様子が録音されていたのです。テープを聴き終わった後、被験者たちはどのくらいその学生に好感を持ったかを質問されました。

 2種類のテープの違いは、コーヒーをこぼす場面があるかないかだけ。なのに結果は案の定、スーツを台無しにした方が圧倒的に好感を持たれたのです。

 やはり完璧過ぎる人より、たまにはしくじることのある人の方に私たちはシンパシーを感じてしまうんですね。やたらクイズに強い東大生でも、たまにヘマをする人の方が人気があるのもこの『しくじり効果』のなせる業でしょう。

 ただし、シンパシーを感じるのにも条件があることが分かりました。クイズの正答率が3割程度で学歴もぱっとしない学生の場合は、スーツにコーヒーをこぼしても好感度は下がる一方だったからです。

 つまり『しくじり効果』が発揮されるのは、学生が有能であると評価される必要があるということ。要は言動にギャップがあることが大切だということなのでしょうね。

 質問者はそつのない言動にかけては自信をお持ちなのですから、たまにはヘマをしてみてはいかがでしょう。たまには下手なダジャレを飛ばしてみてもいいかも。それがあなたの魅力につながるはずですから。