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 コンビニの加盟店オーナーとスーパーバイザー(SV)は敵か味方か? ネットを検索すれば、高圧的なSVとの闘いに挑むコンビニ店長のブログなどが散見されるが、「実際に加盟店オーナーとSVが腹を割って話をしてもらったらどうだろう?」と今回、特別に対談していただいた。

 その1回目。テーマは「加盟店とSVの関係性」について。ここから垣間見えてくるのは根本的には変わらない両者の在り方、しかし変わらざるを得ない環境の変化。「オーナーとSVを取り巻く環境が効率化されているようでいて、実際はどうなのか?」を考えさせられた。

「上から見るか」「下から見るか」の目線の重要性

――オーナーから見たSV、SVにどうあってもらいたいかをまず教えてください。

オーナー「自分の場合はSVを上にあげたいですね。成績が上がるようにお手伝いしたい。担当のSVが出世してくれれば、自分の理解者になってもらえるし、後々、それが店に返ってくるでしょう。逆に対立してしまうと協力もしてもらえない。ところが法人化してからは、SVと接するのが店長たちになったのですが、若い店長たちにその気持ちが伝わりづらく、なかなか実行が難しくなっています」

――そこは法人化の弊害と言っていいんでしょうか。加盟店オーナーだと自分自身のことだからそう考えられるけど、間にワンクッション置くとそうもいかない。

オーナー「そうですね。店長とSVとなるとうまく運ばないんです。私が店長ならそう考えるのにと、もどかしく感じることもあります」

――法人化してからもオーナーからSVに提案することも多かったんですか?

オーナー「ええ、私がSVと接せられるときはこちらからということが多かったですね。今まで50人ぐらいのSVと付き合ってきましたが、店長が受け身の時は常にそういう風にしてきました」

――ZさんはどのようにSVになったんですか?

SV(Zさん)「以前は1年程度、店舗で研修をし、2年目からSVになるのが普通でした。昔は教育のカリキュラムが今ほどしっかりしていなかったから、とりあえず直営店に入っていろいろとやって、自らあれこれ学んでいきましたね」

オーナー「昔はどこもみんなそうでしたね」

――Aタイプ(土地・建物はオーナー所有)の米屋さんだったり酒屋さんだったりする、生粋の商売人のところへ若者が行ってかわいがられるという……。

SV「ええ、ですから逆に教わることが多かったですね。行けばガンガンに教え込まれるので現場で学ぶ部分が大きいです。今は教育カリキュラムが確立しており、それを教わってから行くので、店舗にSVとして行くときには皆、ある程度の知識を持っています。同時に加盟店の方々もいろいろと現場で経験されているので、互いにコンビニ経営に関してある程度のレベルに最初からあるわけです。だから、SVも研修のときにしっかり勉強していかないと大変な思いをします。ガッツと気合と根性さえあればなんとかなった昔とは違います。ただ問題なのはある程度のスキル、教えてもらったものを持っていると中には勘違いしてしまうSVもいます」

オーナー「人間関係を築いていくときはフラットで、最初はどちらかといえば下から行くぐらいがいいのに、妙に上から目線になっちゃう人がいるんだよね。人生経験が浅い人ほど多い気がします」

――それが「とんでもSV」になるんですね。

SV「まずは人間関係を構築しないとならないんですがね」

オーナー「自分の方が知識があるからって思い込んじゃう。そこで問題が起こる」

――その「上から目線」ということでは最近、Cタイプ中心の法人加盟が増え、SVが店長と話すということになると、余計にSVが上から目線になりがちってことは起こり得ますか?

SV「そうですね、今はSVがオーナーと接する機会は減って、店長さんと接するんですね。そうなると、どちらかというと上の立場でものを言う関係性が増えてきてしまっています。意識するしないじゃなくて、そうなってしまいがちですね」

――しかし、目線は大切ですね。

オーナー「大切ですね」

SV「年々、SVに必要なノウハウ、教育は蓄積されて確立しており、その分スタート時点で自信を持って始められるんです」

オーナー「その”学び“が逆に人間関係にはマイナスになっているというのはありますね。それに、店側を評価するのも本部側だけですので、良好な人間関係が保てないのは当然だと思いますがね」

SV「それはありますね」

変わらざるを得なくなってきたSV

――では、店長は逆に最初にSVが来たときにどういう対応になりますか?

オーナー「警戒するんです。だいたいの店長はそうです。僕自身は最初からフレンドリーに接していこうと思っていましたが、いつの時代からか変わってきちゃったなぁと感じています。まぁ、僕の場合が普通じゃないのかな」

SV「ええ(笑)、ある意味、特別ですから」

オーナー「SVって遊んでくれる人だと思っていたんですよ(笑)。暇なときに一緒に出掛けたりして遊んでくれる、息抜き相手だと思い込んでいましたねぇ。まあ、それは極端な言い方かもしれないですが、実際、互いに協力し合う親友的な関係だと思っていました。ですが、その協力し合う相手から評価され、それで加盟者側の生計を左右されるとは思っていなかったです。どっからか、チェーンが、制度が、変わってからかなぁ」

――どこら辺から雰囲気が変わりましたか?

オーナー「変わったのは確かだけど、いつからかなぁ。変わったよね?」

SV「ええ、変わった部分は少し感じますね」

――コンプライアンスを言うようになった辺りが転換点だったかもしれないですよね?

オーナー「SVの方も警戒しているなという印象がありますね。だいたい若い人が多いわけだから、それだけでも気を遣うのかもしれませんし。こっちはざっくばらんに話しても、向こうはそうはいかないというか。でも、それだけじゃなく、やはり昔とは変わったなぁというのはメールが多くなったことかな。上からの指示が増えて、そうなっているんだろうけど」

SV「確かにメールは増えましたね」

オーナー「文字でのコミュニケーションは人間関係が崩れやすくなるので、私は本当に必要なこと以外は使いませんよ」

――上が変わると、下も変わらざるを得ないってことですね。

オーナー「だから逆にかわいそうだなぁ、今の若い人は……と思います。上からの指示が多過ぎて、それだけに一生懸命になってしまう。そうなるとオーナーや店長とコミュニケーションをとる時間が少なくなるし」

SV「今は労働時間を取り巻く環境も厳しいので、短時間に伝えるべきことをきちんと伝えなきゃならないとなります。この1、2年でその辺りも大きく変わりました」

――働き方改革で、臨店時に30分ぐらいかけて店をチェックする行程をすっとばして、いきなりSVがバックルーム入ると聞いています……。

SV「昔は数字が上がらないなら行ってこ~い、帰ってくるなぁ~みたいな土壌の中で育ったんで、今はあれれ?ですよね。きっと、いろんなところで皆さん、そうなっているんじゃないですか?」

――製造業などでは労働時間の管理は厳しくすべきですが、サービス業は一概に時間だけで計れない気もします。編集者やライターなんて言ったら、もうブラックだし。

オーナー「無理がありますね……。でも、うちも従業員の残業はすごい気を付けています。SVたちもきっちり時間を守り、結局は家に帰ってあれこれやることになっているみたいですけど……」