カリキュラム、運営などは自らが商人でもある運営委員の意見が反映される『商業界ゼミナール』は「商人の、商人による、商人のための、学びの場」。3日間で計25講座が展開されますが、最終日、つまりゼミナール参加者に最も印象付けたい、聴いてほしい講座の一つが飛騨産業の岡田贊三社長の取り組みです。

 業界常識を疑い、業界非常識により“節のある家具”というヒット商品を創出した飛騨産業ですが、そのモノづくりには、それを手掛けて仕上げた「人」がいました。

 ここでは、人として成長するために、飛騨産業で身に付ける必要がある30の教えを紹介します。

企業経営とは人づくり

 商業界初代主幹である倉本長治はかつて「よい商人とは、すなわち良い人間のことである」と言いました。そして、飛騨産業の岡田贊三社長も「良い職人とは良い人間のことです」と言います。

 生産体制の効率化、ブランディングの構築などの経営改革により、同社を再生への軌道へ乗せた岡田社長が、まず取り組んだのが人材育成でした。

 2014年春に開校した「飛騨職人学舎」は2年制の職人教育機関で、生徒たちは寄宿舎に暮らしながら一流の職人を目指し、徒弟制の中で切磋琢磨し合います。

 毎朝5時に起きてランニング後に手道具をこしらえて工場へ入り、午後からは各自が学舎で木工修業に励みます。恋愛も携帯も禁止。日曜日もない。それがお盆と正月休みを除いて2年間続くのです。

「相撲部屋みたいに寝食を共にしながら腕を鍛えて人間性も磨く、そこで育まれる職人たちの若い技術力を、まもなく創業百年を迎える飛騨産業の、次なる百年を目ざす足場としたい」(岡田社長)。

 飛騨職人学舎の朝礼では、建学のきっかけとなった職人育成の先達企業「秋山木工」譲りの「職人心得三十箇条」が生徒たちによって唱和されています。

 ここで、以下に30カ条を全て挙げます。

「職人心得三十箇条」

1、挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。

2、連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。

3、明るい人から現場に行かせてもらえます。

4、周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。

5、人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。

6、愛想よくできる人から現場に行かせてもらえます。

7、責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。

8、返事をきっちりできる人から現場に行かせてもらえます。

9、思いやりがある人から現場に行かせてもらえます。

10、おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。

11、しつこい人から現場に行かせてもらえます。

12、時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。

13、道具の整備がいつもされている人から現場に行かせてもらえます。

14、おそうじ、かたづけの上手な人から現場に行かせてもらえます。

15、今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。

16、前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。

17、感謝のできる人から現場に行かせてもらえます。

18、身だしなみのできている人から現場に行かせてもらえます。

19、お手伝いのできる人から現場に行かせてもらえます。

20、自己紹介ができる人から現場に行かせてもらえます。

21、自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。

22、意見が言える人から現場に行かせてもらえます。

23、お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。

24、トイレそうじができる人から現場に行かせてもらえます。

25、道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。

26、電話を上手にかける事ができる人から現場に行かせてもらえます。

27、食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。

28、お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。

29、そろばんのできる人から現場に行かせてもらえます。

30、レポートがわかりやすい人から現場に行かせてもらえます。

 いかがでしょうか。あなたは現場に行かせてもらえそうですか?

 ここに挙げた30カ条には特別な能力や耐え難い訓練を必要とするものは何一つありません。自分、仲間、仕事、そしてお客さまを大事にする気持ち、そしてその気持ちを発し、行動に移すことの大切さを理解するものなのです。

 この30カ条に流れる思想は人間教育の重要性。飛騨産業では、まさに小さな苗木を一つ一つ植えるように、未来を担う人材を育んでいるのです。

岡田贊三社長の講演は2月27日 8時30分~9時50分になります!

第88回『商業界ゼミナール』に参加を希望される方はhttps://www.shogyokai.co.jp/sseminar_2020/