2019年6月13日(日本時間14日の金曜日)に大谷翔平がサイクルヒットを打ったがその記念Tシャツがその例だ。「試合後すぐにデザインに取りかかり、スピード感をもって数日後には当社のECサイトを通じて販売することができました。これは自前のデザイナーを抱えていることと自社にミシンや圧着機など製造に必要なものを備えている工場兼倉庫があるからこそ可能になったものだと思います」と語った。すぐ商品化させECサイトを通じて販売できるのは、他のスポーツブランド、アパレルメーカーにはない強みだ。

 節目などという意味では、優勝、記録達成、オールスターなどいろいろな「瞬間」が考えられるが、事前に調べてリストアップし球団と共有する。「パ・リーグのペナントレースはホークスが大きくリードしましたが最終盤にライオンズが逆転で優勝をしましたので、用意しておいたホークスの優勝関連商品が販売できなくなるケースが生じましたが、勝敗はコントロールができないので、常に生産準備をしています」。こうしたリスクはあるがスポーツのダイナミズム故の事象であり誰の責任でもない。「包括契約を結ぶことができる球団が増えればそのリスクは減らせますので、ホークスでの経験や実績を元に多くの球団と契約できることを目指します」

Jリーグ、Bリーグ、テニス、ゴルフと事業拡大

 ユニホームのレプリカは値段が1万円ほどする他、普段着として使うには難しい。「ユニホームの販売は万人受けするとは思っていません。しかし大谷翔平のTシャツは価格も数千円であり、一般の人々に幅広く着てもらうには重要なアイテムです。実は、こういったカジュアルなラインは、日本が一番発展しているので力を入れています」。ユニクロもスポーツのラインに力をいれており競合となるが「そうなると思います。差別化を図るにはブランド力をより高める必要があります。SNS、デジタルマーケティング、オフラインでの活動などさまざまな取り組みをしています」。昨年秋、NBAが日本で試合をする前にチャンピオントロフィーを展示したことがあったが、これこそファナティクスとNBAの信頼関係があったからこそのなせる技でもあり、それをマーケティングに有効活用できるのも同社の強みだろう。

ショールームにはNBAのユニホームも展示。右から2番目が八村塁が所属するウィザース
ヤンキースのアウターも販売

 他にも、湘南ベルマーレやモンテディオ山形といったJリーグのユニホームの一部アパレル商品の生産を担うなど契約チームを増やしており、「今後も幅広く展開をしていきたい」と松本シニアマネジャー。他にも「テニスの楽天オープンやゴルフのZOZOチャンピオンシップでオフィシャルのショップを出店もしました」。そこでは、ポロシャツ、タオル、トートバッグ、ウィンドブレーカー、キャップ、キャディバッグなどの幅広い商品の製作と販売を行うなど、着実に事業を広げている。

 実はアジア市場でデザインから製造、販売までやっているのはファナティクス・ジャパンだけだそう。つまり。ファナティクスのグローバル戦略の中でも日本は重要な位置付けであることを意味する。「エンドユーザーが欲しいものを届けていきたい」と松本シニアマネジャーは話したが、日本におけるライセンススポーツのアパレル商品が幅広く受けられるには、まさにこれが実現するかにかかっていると言えそうだ。