福岡PayPayドームの横にある公式ショップ『ホークスストア』の運営の他、在庫の管理、マーケティング、商品企画、商品の製造、ECでの販売なども行う

 2020年7月の東京五輪を控え、日本のスポーツ関連のビジネスは最高潮に達しようとしている。矢野経済研究所が2019年6月に発表した日本のスポーツ用品市場は1兆5853億円と予測され、5年前の2014年の1兆3511億円から順調に市場規模を拡大させている。また、アメリカのAllied Market Research社は世界のスポーツ・アパレル市場規模について2018年は1677億米ドル(約18兆4251億円)で2026年には2481億米ドル(約27兆2587億円)にまで成長するとリポート、まさに巨大産業だ。

 今回紹介するFanatics(ファナティクス)はスポーツチームのユニホームの供給やそのレプリカの販売などで世界中に知られ、日本市場において存在感をどんどん高めている企業だ。

企画、デザイン、製造、販売まで「v-commerce」を行う

 例えば、野球の福岡ソフトバンクホークスのユニホーム、イギリスのサッカー プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド、八村塁が所属するNBAのワシントン・ウィザースのユニホームなどを着るとしたら、やはりそのチームを応援に会場に駆け付けるときだろう。

ファナティクスのHPに掲載されているユニホーム製造の様子

 これらのユニホームの製造や販売をしているのがファナティクスだ。アメリカのフロリダ州に本社を置き、1995年に設立された。スポーツ関連のオフィシャルライセンスを取得し、球団へのユニホームの供給、レプリカの製造・販売、各種関連商品のデザインなど上流から下流まで垂直統合のビジネスを行っている。垂直統合は英語で「Vertical Integration」というが、ファナティクスはeコマースでそれを応用しており、これを「Vertical Commerce」または「v-commerce」と命名。アメリカのスポーツ誌『Sports Business Journal』において過去10年間で優れたビジネスモデルを構築したことが評価され、「Best of the Decade Awards」という賞を2019年12月に受賞した。

MLB全球団のユニホームが購入できるサイトを持つ

 現在、アメリカ、日本のみならずカナダ、メキシコ、イギリス、スペイン、インド、韓国、香港などに11カ国・地域の事務所を構え、7500人の従業員を抱える。契約しているパートナーは300以上。日本では野球ではホークス、東京ヤクルトスワローズ、埼玉西武ライオンズ、Bリーグの富山グラウジーズの他、世界を見れば、MLB、NFL、NBA、NHLというアメリカの4大スポーツリーグの他、レアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッドなどの主要欧州サッカーリーグのチーム、ラグビーイングランド代表、アメリカのプロゴルフツアー(PGA)やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などのイベントがあり、「網羅」という言葉がぴったりくるほどある。

契約しているパートナーの一部

18年1月からファナティクス・ジャパンとして活動開始

「日本においては元々、大リーグ全30球団の公式ユニホームのサプライヤーをしているMajestic Japan(マジェスティック・ジャパン)という企業があります。ファナティクスはそのマジェスティック・ジャパンを買収し、2018年1月からファナティクス・ジャパンとして企業活動を開始しました」と語るのはファナティクス・ジャパンEコマース部の松本隼シニアマネジャーだ。

松本シニアマネジャー

「ホークスとはこれまではユニホームの公式サプライヤーでチームにユニホームを提供し、レプリカ商品などの生産を行ってきました。2019年からは包括的な契約を結びまして、福岡PayPayドームの横にある公式ショップの『ホークスストア』の運営の他、在庫の管理、マーケティング、商品企画、商品の製造、ECでの販売などを行います」と話す。それまで、ホークスのショップではキーホルダーなどといった小物も多く取り扱っていたが、ユニホームなどアパレル商品の割合を増やし、客単価を上げる方向に振るなど、いろいろな改革を試みているという。

ホークスストアの外観

 今まで球団は、ユニホームの提供はA社、店でのグッズ販売はB社、ECでの販売はC社、宣伝はD社などバラバラに業務を発注していたが、ファナティクスはその全てを行う。「ファナティクスと契約すればワンストップでやってくれることか?」と聞くと松本シニアマネジャーは「おっしゃる通りです」と即答した。販売状況によって増産したり、在庫の調整をしたりできる他、節目になるとそれを記念した商品の発売もできるという。