《今回の相談内容》 (三鷹市 T・U 48歳)

「世の中には“褒め上手”な人がいますが、私はその反対の“褒め下手”です。褒め上手になるコツってないものでしょうか」

 

「叱る」より「褒める」を実践した歴史的な人物がいます。その人の名は、山本五十六海軍大将。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

 この名言をご存じの方は多いことでしょう。五十六さんは部下を「褒める」ことの重要性を十分認識していた人物だったのでしょうね。

「そうはいっても、褒めるのはどうも苦手で」そう苦笑いする人は案外多いもの。私たち日本人は、「褒める」イコール「お世辞」と捉えて、なんとなく敬遠する傾向があるようです。

 そのせいか、褒めること自体に慣れていなくて、何をどう褒めていいのか、そこで頭を悩ませてしまう人がいるのも事実。もしあなたがそうなら、ぜひ先ほどの名言の続きにご注目ください。

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず」

 この言葉の中にある「承認」は、心理学的に見てもとても重要なポイントになります。というのも、人は周囲から承認、つまり認めてもらいたいという欲求を常に持っているからです。自分という存在を認めてもらえるだけでも、うれしくなってしまうのが私たち人間なのです。

「おや、髪を切ったんだね」「へぇ、君って青森出身か」

 そう言葉をかけてもらえるだけで、自分が周りに関心を持ってもらえていることが分かって心が浮き立つのです。それが目上の人ならなおさらです。褒めるのが苦手という人は、まず相手の存在や行動を認め、気付いたことを口に出すことから始めてみてはいかがでしょう。

「これ、君がやってくれたんだ」「君はやることが早いね」。それが口に出せたら、それに続いて、「助かるよ」「さすがだね」と、続けるだけで、素晴らしい褒め言葉になります。また、第三者が認めていると伝えるのもとても効果的です。

 試しに「〇〇が君のことを褒めてたよ」と声を掛けてみてください。相手が笑顔になること請け合いです。褒められれば自然と自信が芽生えます。それを心理学では『自己効力感』と呼びます。

 そうすればがぜんやる気も出てくるし、仕事にも前向きに取り組むようになります。良い循環が生まれるというわけです。

 褒めるためにも、まずは相手の一挙一動に関心を持つ、それが大事ということです。