あるデイケアサービスセンターが、昔ながらの広告媒体で最近あげた成果がある。内容は同センターが行っている介護サービスの新規客獲得だが、地味ながらなかなか気付きが多いのでご紹介しよう。

 そのデイケアセンターは、私が主宰する企業とビジネスパーソンの会(ワクワク系マーケティング実践会)の会員だが、同センター事務長である彼女が活用したのは、昔からある地元情報誌。発行部数1万3700部のものだ。

 そこに小さなスペースながら広告を出すと、情報誌が配布されたであろうその日に一人の女性から電話があり、早速次の日には体験利用。今回は早々と、その方と合わせて2人の新規利用者が獲得でき、年間収入も数十万円増える好結果となった。

 一方、かかった広告費は10万円。結果を見ると良い回収率だが、実はこれまでこの広告媒体は検討されていなかった。目新しい媒体ではないし、これまでの経験から、出してもあまり成果につながらない、10万円は高いと感じていたのだった。

 ちなみに彼女が今回出した広告はデイケアサービスそのものではない。そこで行われているヒップホップダンスやフラダンスを使ったリハビリ運動を楽しく行うプログラムだ。それを無料体験してもらい、そこからデイケアサービスの利用契約まで進んでくれれば、1人当たりの年間収入は数十万円あり、広告費の投資分は十分回収できる。そう考え、そうなるための仕組みを考案、その入り口として今回のメニューと広告となったのだった。

 ここに至る彼女の気付きは、拙著によるとのこと。その本は仕組み作りについて書いた本なのだが、気付いたことは広告を打つにしても、今までは出しっぱなしにしていたこと。出した段階で「あー、出したな」と安心して、そこで終わっていたし、そもそも「出した後の続きがない」「次へのつながりがない」とも気付いていなかった。

 しかし今回は、最初に気付いてこのような取り組みとなったのだが、彼女が選んだ媒体は昔ながらの比較的地味なもの。こういう発想で仕組み作りができるようになると、InstagramやYouTubeなど最新のものだけでなく、古い媒体にも使えるものがたくさんあることが分かってくる。弊会の中には、今どき電柱広告を使って成果をあげておられる方さえいるのだ。

 目を向けるべき点は「つながり」だ。最終的に、見込み客にどういう行動をしてほしいのか。それをこちら側のゴールとすれば、そこまでつながるにはどういうステップが必要なのか。そのステップごとに次に進むことを動機付けるにはどんな働き掛けをすればいいのか。おのおのステップごとに考え、具体的な策を打つ。そうして初めて見込み客は、入り口から入ってゴールまで来てくれるのである。

 良くないのが、思ったように結果が出ないとき「今まで地域誌に広告を出していたが、もうインスタやYouTubeをやるべきではないか」といった思考になりやすいことだ。そういう思考で新たな媒体やツールを使っても、収益を生み出す仕組みができていなければ、その広告や販促物は何も生み出さないままになる。そうすると結果が出ないので「やはりインスタでなく地域誌に戻そう」などと迷走しがちだが、それでは収益に結び付かない。

 重要なことは、どんな最新の媒体やツールを使うかではなく、どういう仕組みを作ろうとしているかなのである。

※小阪裕司先生の連載最新回は、毎週金曜日の午前5時に公開します。「これまで公開した記事」と併せてお読みください。