買い取り価格は店頭価格の約55%

「宅麺.com」の商品にするにあたってラーメン屋さん自体に難しい技術はいらず、チェックポイントは冷凍を戻したときに味が再現できているかということと、衛生面がクリアできるかということ。商品は事前に送付してある資材に詰めるだけである。宅麺はそれを買い取って集荷し、浜松にある冷凍倉庫で保管する。買い取り価格は店頭価格の約55%。そのほか、現在は月に3000円のサイト掲載料が発生する。

 

 お店はネットの情報で人気の高いもの、高評価のところが選ばれ、グルメイノベーションから実際に店舗で行列ができているかどうかを確認に行く。

「宅麺で販売してほしいというラーメン店からのオーダーはいただくんですけれど8、9割はお断りする感じです」となかなかの厳しさだ。

イベント、映画などとのコラボで認知度を向上

「ほとんど広告はやっていなくて、最初はフラッシュマーケティングをしたんですがそこで買ってくれた人たちって全くお客さまにならなくてですね。一時的に売上げは立つんですけれどリピーターにならないっていうのがよく分かったので、こつこつと検索エンジンのSEO対策をしたり、あとは口コミですね」

 それでも月に600人から700人の新規ユーザーがくるという。フェイスブックや友達から聞いて、あるいはリアル店舗のラーメン屋さんの告知で広がる。

「あとはラーメンのイベントです。『ラーメン女子博』『大つけ麺博』で食べておいしかったけど、終わっちゃったら食べられないみたいな需要を解決しましょうということでウチが通販を引き受けています」

 

 そのほか、映画やゲームのキャラクターと2、3カ月に一度はコラボをし、キャラクターイメージのラーメンを作ってもらい、ラーメン屋さんに食べに行くとポストカードをもらえたりするプロモーションなどもする。

 もともと、どこも人気のラーメン店なので一日に300人来店すれば、一カ月で9000人に告知できる寸法だ。さらにそれが、全取り扱いブランドでの告知となると一カ月に200万人に接触するメディアになるという考え方である。そしてそれを「ネットでバズらせる(話題にさせる)みたいな方向が強くなっています」ということだ。まさにインターネットマーケティング企業の真骨頂である。

儲からない?!ビジネスモデル

 ほぼ同時期に立ち上がった競合は全て消えたそうだ。「普通の通販と同じようにやっていると非常に儲からないビジネスモデルなんです」と井上社長は笑う。

 宅麺商品のサイト上の価格は店頭よりも高い。店舗に送る資材費や集荷の送料を入れると商品の原価率は7割ぐらいになってしまう。

 

 いくら以上買うと送料無料というサービスも最初のころはやっていたのだが、「どう考えても絶対に合わない」ということから、「早々に送料はちゃんともらうというスタンスに切り替え、今、基本送料は890円で1食増えるごとに110円(税抜)かかります。買えば買うほど送料もかかる仕組みです」ということだ。

 消費者の感覚からするとネット通販は一定以上の価格を購入すると送料無料というシステムが当たり前のようになっているため、どうしても送料が気になるところではある。

「拡大するスピードは、当初のイメージよりだいぶ遅いです。マーケットの規模として3桁の億にはいかなくても、2桁の億の下の方くらいはあるんじゃなかろうかと。そこまでどう持っていこうかみたいなのでやってみたんですけど、そもそも荒利が低い商品なのであまりコストをかけられないんですよ」

 マスで広告を打つか、テレビ通販の話などもあるそうだが「原価率の高さがネックになる」という。(後編に続く)