ノリタケの森ではオフィスを併設する

――今後の国内の出店は。

地域の魅力を磨く「究極のローカライズ」企画に力を入れている。「モールの社員が地域の人と会って、地域を肌で感じてほしいから」と吉田社長。。

 吉田:国内は東日本大震災後から20年のオリンピックもあって建設需要が大きく建設コストが高止まりしています。だからよく吟味して出店していきますが、2、3店ずつは出店していきます。立地特性を含めて地域マーケットに求められるもの、従来とは少し違うモールをそれぞれ造っていきます。

 都市部の例ですが、21年秋に開業するノリタケの森(愛知県)ではオフィスを併設します。

 ショッピングモールとオフィスのシナジーは非常に良いと思っています。物を売るだけではなく、地域インフラ的な要素を入れたモールの上にオフィスがあれば、用事は全部その中で済みます。ノリタケの森はモール内に病院があり、休憩時間に行ける。ランチも取れます。会社帰りにはスポーツクラブに寄って、カルチャーセンターで英語を習って、奥さまはスーパーマーケットで買物ができる。しかも駐車場がある。ワンフロアを大きく造るので横移動ができるコミュニティ型オフィスになり、今のニーズに合っています。

 地方でもシェアオフィスがモール内にあれば、そこで仕事をして、帰りは買物をして帰る。子供はモール内の保育園に預ける。そこでライフワークバランスが取れるかもしれません。

――20年冬に開業する利府 新棟(宮城県)は。

 吉田:既存棟よりも大きい6万9000㎡の新棟を造ります。既存棟へはブリッジで渡る。利府は施設も小さいし古くなってきたので、最新コンテンツの新棟を開発し、既存棟はリニューアルして一つの商集積をつくります。

――20年秋に開く上尾(埼玉県)は。

 吉田:どちらかというとコミュニティ型SCに近い。広域ではなく濃密な商圏なので近隣の方が便利なデイリーニーズ型にします。

――来期以降の増床のペースは

 吉田:年間2、3店のペースです。来期は20年春に高崎(群馬県)、座間(神奈川県)、秋に高知(高知県)の3店を増床します。座間はシネマ棟とスポーツクラブと住宅展示場を加えます。

ASEANのモールの3分の2をベトナムに

――今後の海外出店は。

 吉田:インドネシアではセントゥールシティとタンジュンバラットの2店も着工し来期に開業。ベトナムではハイフォン レ チャンを開業します。カンボジア3号店も着工しました。今後の海外出店はASEANにウエートを置きます。特にベトナムは重点国です。

――中長期的に25年度にASEANのSC数を中国と同数の35店に拡大する計画だ。その時点でベトナムの数は。

 吉田:20では少ない。マーケットの成長に追い抜かれます。20SC以上は造っておきたい。それくらいのマーケットだと思っています。今はハノイとホーチミンを中心にドミナント(地域集中出店)エリアを形成しますが、徐々に地方都市まで手を掛けていかないと手遅れになると思っています。

――中国では湾岸部から内陸部にシフトする。①江蘇省・浙江省、②北京・天津・山東省、③湖北省、④広東省――の4つのエリアでドミナント化を進めてきたが、ほぼめどがついたと。

 吉田:いや、まだまだ。マーケットを考えると全然足りません。これまでのドミナントは進めながら、湖北省から内陸部に広げていきたいと考えています。例えば武漢にはまだ3SCしかありませんが、新幹線の縦ラインと横ラインのクロスするへその場所なので、縦ラインの南北に伸ばしていって、南の広州につなぎたいと考えています。

――新タイプSCの研究は。

 吉田:18年4月にジ アウトレット広島(広島県)を開業しましたが、あれも良かった点、悪かった点を含めて一度考えないといけません。車で20分の距離にある広島府中(広島県)には全く影響を与えなかったのは良かった。間もなく駐車場の増設を始めます。

――東京・自由が丘でも開発を進める。これはどんな形態になる。

 吉田:検討中です。立地が立地だけにいろいろ考えています。

――今後のSCの在り方、向かうべき方向は。

 吉田:SCという一律な捉え方ではなくて、その地域をきちんと把握して、求められるものがその施設の中にどれだけ充足されているかを考えるということ。また当てにされる施設として地域インフラとしての要素が求められてくるということです。物を売るだけの商売ではなくて、地域の利便性を高めることも施設としての役割になってくると思います。

 
 

※本記事は『販売革新』2019年12月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。

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