ファッションに必要なニーズの掘り起こしとは?

 停滞感漂うホームセンター業界では、アパレルに積極的に取り組むケースが見られる。流通在庫も著しく多く、市場飽和とまで指摘されるようなアパレル市場にわざわざ参入する理由は「ワークマンプラス」の成功が影響しているのではないかと推察する。この成功事例のように、アプローチの仕方によってはアパレルもまだまだ成長余地ありと判断したのだろう。業界大手のカインズでも今秋からエドウインとコラボレーションした新ワークウエアブランド「EDW」をローンチ、コーナー展開している。

 ファッション性を売り込むには、用途・目的以外のニーズも引き出さないといけないわけだが、それをホームセンターの広い売場の中で行うのは難しい。そのため「EDW」ではコーナーを埋没させないように「イロ」で訴求。赤いTシャツトルソーやカウンター、レールPOPなどの販促物を赤く目立たせ、店頭ではコンパクトモニターを用意して動画を流してイメージ訴求につなげた。

「カラビナ」についても同じような選択肢が生まれたに違いない。自社内かスピンアウトか。後者を選んだ島忠の判断はより多くの人に認知してもらう点では正解だったかもしれないわけだが……。

「カラナビ」には専門性の打ち出しが必要だ!

 総花的な広がりを見せるアパレル市場に新規参入を図る際の効果的なやり方の一つに「専門特化」がある。身近な成功事例がワークマンプラス。専門に扱ってきた作業服というカテゴリーで機能や快適性を探求して、スポーツ用品のNBのようなデザインエッセンスで同業他社と差別化を図った。しかも、それらを安価で提供した結果、多くの支持を集められたわけだが、そこには作業服という業務用ニーズをベースとした既存客があることを忘れてはならない。

 そういう意味では「未成熟な業務用ウエア」というカテゴリーの発見がポイントとなる。ここでいう「未成熟な業務用ウエア」とは既に何かしら着用しているもので代用していたり、機能ばかりに特化して格好良くなかったりするウエア分野のこと。

「専門特化」という切り口で見た場合、「カラビナ」には専門性が感じられない。仮に休日着、遊び着だったとしても家のくつろぎやライトアウトドアでの着用メリットや着た後の爽快感がイメージできるような演出が必要だ。

 そして、ここからも重要である。なるべくしてなった結果から、一体何を教訓として得るのか。初めての取り組みに時間と労力とお金をかけて、自分たちにフィットしなかったと学習するのか。それとも反転攻勢、修正を加えながら運営し続けるのか。スピーディな時代の中でインパクトを残せない存在は忘れ去られてしまうだけ。新規性以外に存在感を知らしめるのは並大抵ではないのも事実だが、これからの失地回復に向けた取り組みに期待したい。