「ユーカリが丘ニュータウン開発」に感銘を受ける

「里山transit」のファサード、多種多様な利用目的に対応する
従業員も思い思いの私服で対応する

 2018年12月、千葉県佐倉市のユーカリが丘に「里山transit」というレストランオープンした。ランチタイムにはハンバーグや海鮮丼などが目に留まる、老若男女を対象としたファミレスである。

 経営をするのは(株)ミナデイン(本社/東京都港区、代表/大久保伸隆)。居酒屋「塚田農場」などを展開するエー・ピーカンパニー(東証一部上場の外食企業)で取締役副社長を務めた大久保伸隆氏が同社を退任した後、2018年7月に設立した。事業内容を「直営店飲食店」「まちづくりプロデュース」「FC&コンサルティング」としていて、ユーカリが丘より先の2018年8月、東京・新橋に「烏森百薬」という飲食店をオープンしている。「烏森百薬」にはこれからの構想が存在しているのだが、ここでは「里山transit」について述べていく。

ミナデイン、代表取締役の大久保伸隆氏

 大久保氏がエー・ピーカンパニーを退任し起業したのは、「新しいフードサービス業を切り拓く」というミッションがあったからだ。それが「里山transit」に至るのは、前述の藻谷氏の対話集『しなやかな日本列島のつくりかた』(2018年8月発行)を読んだことがきっかけだ。

 この本は、農業、漁業、医療などさまざまな分野で改革を実践している13人と藻谷氏が対話を行うことで、日本の中のさまざまな課題を浮き彫りにするという内容。読了した人はみな「あるべき行動の気づきを得た」という。

 大久保氏はこの本に出てくるデベロッパーの山万(株)代表取締役の嶋田哲夫氏との対話に感銘を受けた。山万は「ユーカリが丘ニュータウン開発」を行っており、この発想と実践が、大久保氏が描くビジョンに大いに刺激をもたらしたのだ。

 この開発が着手されたのは1971年のこと。山万ではここが計画的に持続可能な「里山」となることを目指して、8000世帯分の土地を40年間かけて年間200世帯ずつ販売していき、保育園、老人ホームの運営も手掛けるなど、人生のサイクルに合わせた街づくりを行っている。街の人口は2万人、イオンやスーパーマーケット、映画館などもあり、周辺人口を含めると10万人が集まる。

 大久保氏はこの街で、子供からお年寄りまで楽しめる地元密着のファミリーレストランの要素を持ち、地元の資源を還元する店をつくろうと考えた。店名は、地元の資源を生かすということで「里山」、モノやヒトの中継点を目指して「トランジット」とした。店舗規模は60坪90席で、店内は多様な客層や利用パターンを想定してさまざまなゾーニングで構成している。商品コンセプトは「何屋」ということを限定しない。