1971年から開発が進められた千葉県佐倉市の「ユーカリが丘ニュータウン」

現代の新たな試みとなる「里山資本主義」とは?

「里山資本主義」という考え方がある。これは地域エコノミストの藻谷浩介氏とNHK広島取材班による造語で、藻谷氏の書籍『里山資本主義:日本経済は「安心の原理」で動く』(2013年7月発行)により定着するようになった。この言葉は、自然の中の牧歌的な雰囲気と労働力を商品化した営利追求の概念が合体したような感じだが、藻谷氏自身がこの概念とそれが目指すことについて次のように解説している。

「里山」とは、周囲の住民が〝ほどよく″利用することで、自然が循環再生を重ねてきた空間だ。そこに学んだのが里山資本主義で、共生と循環再生をキーワードに〝ほどよく″儲けつつも、事業と社会が継続することの方を儲け以上に重視する(『AGRI JOURNAL』2019年4月1日)

 この反対語が「マネー資本主義」。「社会の継続や共生といった循環再生など気にせずともOKで、各自が効率と営利さえ追求していれば自然に最適な結果が出る」という新自由主義的な信仰のもとに、「違法でない限り何をしても自由、1円でも多く稼ぐ方が偉い」と考える。

 里山資本主義者も、儲けようとするが物事をお金だけで考えない。金銭取引だけではなく、自給、物々交換、それにあるいは余ったものを他社にあげてしまう「恩送り」なども組み合わせて、仮にお金が乏しくなっても継続できるような事業手法、お金だけに頼らない生活様式を工夫する。

 地域にあるものを工夫して使って、できたものは地域で売ったり物々交換したりして、地域内で循環する経済の部分を少しでも守り、拡大させようとする。外国から買ってきた化石燃料に過度に依存しないというのは、そのイロハのイだ。

 今日はSDGs(持続可能な開発目標)の時代である。経済活動もこれらを背景として新しい動きが試みられているが、里山資本主義はこれらを翻訳したあるべき経済活動を示している概念ではないだろうか。