ゼミ期間中は食事、講座の後などにさまざま交流の場が用意されている。

「人材育成」を筆頭に「自己啓発」「方向性の確認」が続く。
これは『商業界ゼミナール』参加者の参加理由だ。3日間で約30講座、連夜、参加者間での交流会も行われる同ゼミナール。もちろん、商売の工夫、売上向上、最新トレンドについても必要な知識や情報を得る講座、優良経営者の声を聞く講座もある。しかし、このゼミナールで得られる経験、体験は商人としての生き方を常に再確認させられる。

「学んだのは“商売のやり方”ではなく“商売の在り方”」

「若さと勢いだけでは続かない。次に続く人材を育てなくては」

 ある40代男性の参加者の言葉。

 家電量販店のエリア長を務めるまでになったが、20年のキャリアのうち10年を店長として過ごし、自ら売場に関わる典型的な現場主義だった彼が初めて『商業界ゼミナール』に参加したのが9年前。当時、中小型店を中心に店長をしてきた彼が80人もの従業員を擁する大型店を任された際、販売からクレーム対応までの接客、売場づくりなどあまりに多岐にわたる業務を前に、「確実な接客と店舗運営のためには人材育成の基本を学び直そう」と思ったのが、そのきっかけだった。

 この『商業界ゼミナール』は多くの講座を聴き、覚え、学ぶだけでなく、何十回も参加している先輩受講者、エルダー、チューターと呼ばれる商業界の指導的立場にある先輩商人との交流の場でもあった。

「先輩受講者や同友と呼ばれる先輩の方々がとても面倒見よく接してくれ、講座だけでは学べないことも教えてくれる。“商売のやり方”だけではなく、“商売の在り方”を学んだ」と語る彼は以来、毎回欠かさず参加している。

商人の、商人による、商人のための“ゼミナール”

『商業界ゼミナール』は1951年に箱根で第1回を開催。以降、最大2000人を超えた時期もあった、いわば“商人の大勉強会”だ。

 現在は、会場を千葉・幕張のホテルに移しているが、毎年500~600人の参加者を数える。3日間で基調講演からテーマ別まで約30の講座が行われる。参加者の約6割は経営者、年商規模も5億円未満が半数。

 また、同友の中から選ばれた運営委員がテーマ設定、講座構成などの企画進行に携わるなど“商人の、商人による、商人のため”のゼミナールであることも特徴だ。

 88回目となる次回の運営委員長を務める勝山敦氏も自ら電気工事業を営む商人の一人。彼もまた、「多くの経営者が参加しているから仕事につながれば」という気持ちがゼミナール初参加の動機だった。「電気工事は下請け仕事が多い。どうすれば元請けになれるかばかり考えていた」という勝山氏。ある先輩同友から「(倉本長治主幹の言葉である)君の客は誰なんだ」の言葉を投げられ、「私のお客さまは誰なんだろうと真剣に考えるようになった」(勝山氏)という。

第88回『商業界ゼミナール』の運営委員長を務める勝山敦氏(勝山電気工事社長)

 以来、「お客さまに喜んでもらえる商品、サービスを提供する企業になろうと決意した。お客さまの喜びなくして、商いの意味はない、ということをゼミナールの場で学ばしてもらった」(勝山氏)。

 現在、“元請け”としての仕事が中心になったという勝山氏。「商いの本質を教えてくれた『商業界ゼミナール』という場、先輩同友に感謝したい。そしてその“恩を先輩に返す”のではなく、これから参加する未来の同友に“恩を送る”場にしたい」(勝山氏)。

『商業界ゼミナール』が他社のセミナーや研修会との決定的な違いがここにあると言える。

第88回の『商業界ゼミナール』について知りたい方はhttps://www.shogyokai.co.jp/sseminar_2020/ から!