「人の印象の専門家」の吉武利恵です。

 今月発表された今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で「#KuToo(ハッシュタグ・クーツー)」がトップテン受賞語に選ばれたのは記憶に新しいところです。

 ライターであり、女優である石川優実氏により、2019年1月24日のTwitterで「職場でハイヒールの着用を女性に義務づけることは許容されるべきではない」と述べたことが、数千回に及び、リツイートされました。そこから、職場で女性がハイヒールやパンプスの着用を強制しないでほしいと呼び掛けた署名活動「#KuToo」という社会運動が始まりました。約2万を超える賛同者の署名を集め、イギリスBBC放送が選ぶ、世界の人々に感動や影響を与えた「今年の100人の女性」に石川氏も選ばれています。

「#KuToo」は、「#MeToo」と「靴」「苦痛」を掛け合わせた新しい言葉です。石川氏は、履きたい靴を自由に選べることを求めており、ヒールを否定しているわけではない、とも語っています。

服装規定の変化から感じる時代の変化

 服装規定の緩和や自由化を発表する企業が増えています(この連載でも取り上げていますので、「〈第25回〉ビジネスのドレスコードが変わり始めた!「失敗しないポイント」を紹介」も併せてお読みください)。そして、服装規定の男女差を無くす、もしくは差を少なくする企業も出てきました。幾つかご紹介しましょう。

 日本航空が100%出資するLCC「ZIPAIR(ジップエア)」は19年4月にパイロットを含めて、白と黒のスニーカーを採用しました。女性の制服はスカートやパンツ、ワンピースなどのアイテムから自由に組み合わせられるようになっています。スニーカーの採用理由は、長時間立っていたり、広い空港を走らなければならない業務であるため、疲労感の軽減やパフォーマンスを出しやすいこと、時代の流れもあるがライフスタイルを象徴できるものとして採用したようです。

 JR東日本も20年5月1日より、男女の性差を無くすことを意識して女性限定で用意していたスカートやリボン型のネクタイを廃止し、パンツスタイルに変更。女性の帽子は「チロリアンハット型」でしたが、男性が被っている「官帽型」も選べるようになるようです。KDDIも19年10月から、服装規定を廃止。今後は、会社としては「最低限のマナーとして社内外の人に不快感を与えないこと」などのみを定め、部署ごとの業務内容に応じて対応するようです。

 服装規定の緩和や自由化は、時代の流れを反映する動きの一つといえます。今までの日本企業は細かいルールを設け、性別でルールを変えていました。もちろん、ルールがあることのメリットもあります。それは組織のメンバーとしての統一感が出せること。会社指定のものだけ着ていれば良く、自分で考えなくて済むので「楽」という方もいます。

 今の時代の流れから考えると、今後も服装規定の緩和や自由化は加速していきそうですが、ビジネスの現場の服装が自由になってカジュアルな服を着用してよいというのは、自分勝手に好きな服を着用してもよいというのとは少し違います。

 ビジネスの場面で選ぶべき服装は、①自分らしい、②周りも心地いい、③仕事のパフォーマンスが出せる、④安全、な服や靴。仕事にメリットがある装いがとても大切です。

 ビジネスで一番求められる好印象は「信頼」ですが、自分の印象は対応する相手の評価で決まるもの。相手の感情が評価を左右するので、相手目線を忘れずに選択する必要があるわけです(今までよりも、服や靴を自分で考えて選ぶ時代に突入したようです)。

 どんなに仕事ができたとしも、「不誠実」「不潔」な印象は、割り引いた評価になりかねないので気を付けてください。

・不誠実な印象の服装:「自分の職務に合っていない」「お客さまやメンバーに違和感を感じさせる」「企業イメージに合っていない」など

・不潔な印象の服装:「汚れている」「臭い」「毛玉だらけ」「ボタンが取れているor取れかけている」「破れやほつれたまま放置している」など