2020年を境に、食品業界は大きな転換期を迎えます。その大きな流れに乗れるかどうか、生産者から製造、加工、流通、販売、飲食業者等、全ての食品関連業者が生き残りをかけた戦いとなります。この連載では、2020年に食品業界に一体、何が振りかかろうとしているのか、その内容を詳しく解説するとともに、乗り越えるために何をすべきかを掘り下げていきます。

3月末で食品表示法の猶予期間が終わる

 まずは、2020年前後に何が起きるのか、図のスケジュールを見てください。

 

 2015年に施行された食品表示法(消費者庁所管)は、2020年3月末で猶予期間が終わります。つまり、2020年4月以降に製造された食品は、新表示に対応していなければ違反となり販売できないわけです。

 どうして5年間もの猶予期間が与えられたかというと、新表示への移行が簡単ではないからでした。特に、栄養成分表示の全面義務化が中小企業にとっては大きな負担になります。中小企業に配慮した結果、5年間という長期の猶予期間が設定されたのです。

 さらに、厚生労働省は、2018年の通常国会に食品衛生法の改正案を提出する予定です。その改正案には、東京オリンピック・パラリンピック(以後、東京五輪)を控え、「全ての食品関連事業者にHACCP(ハサップ)の導入を義務付ける」ことも含まれています。HACCPは、食品衛生管理の国際基準ですが、製造・加工業者だけでなく、スーパーマーケットなどの小売業者、飲食店などの調理業者等も含め、全ての食品等事業者が対象となります。

 一方、生産者には、農林水産省が以前から推奨しているGAP(農業生産工程管理)の導入が、東京五輪に向けて加速されます。選手村に納入する食材は、GAPの認証取得が条件になっています。

 HACCPもGAPも、東京五輪に向けて、世界中に日本の食の安全・安心をアピールするのが狙いですが、事業者側は、そのための人材確保とそれなりの費用負担をしなければならなくなります。費用が発生するということは、原材料価格から製造、加工、流通、販売、飲食提供等、全ての段階でコストアップするということです。

2019年は「踏んだり蹴ったり」の年になる

 2020年までに、食品表示法への対応とHACCPの導入を実現するために、かなりの手間と費用がかかります。しかし、その前年(2019年)には、消費税増税が予定されています。しかも、スタートするのが10月1日。軽減税率が採用されるので、市販される飲食料品は8%に据え置かれますが、飲食や日用品などが10%になります。

 2%の増税といえども、消費者の節約志向は強まることでしょう。年末にかけて、食品業界は一番の稼ぎ時、これからという時に増税があるわけです。8~9月の駆け込み需要は、食品以外の商品ばかりで食品への恩恵は期待できません。その後に、節約志向が高まる中で年末商戦に突入することになります。

 そのため、食品業界にとっての2019年は、守備を固めるための食品表示法対応とHACCP導入に取り組む一方、攻撃面では増税不況に打ち勝つための対策強化を並行して実践しなければならない年になります。まさに踏んだり蹴ったりの状況になるのです。実際、2019年からでは遅いので、2018年から2020年問題に真剣に取り組まなければ生き残りは難しいでしょう。

 次回からは、それぞれの課題について詳細に解説していきます。