2019年も幕を閉じようとしている。今がかき入れ時の方、商売真っただ中の方もこのコラム読者の中には多くいらっしゃることと思うが、あえてここで一言問うておきたい。今年はどんな年だったか。来年はどんな年にしようとしているか。今年の最後に、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるたこ焼き屋さんからのご報告を紹介したい。

 その報告書のタイトルは「二度あることは、三度ある」。豪雨による災害についてのことだ。店主の店はたこ焼き屋さん。郊外の道路沿いにしばしば見掛ける独立店舗のお店だが、昨年、この店は、豪雨災害により浸水した。しかしその時、多くのお客さんが駆け付け、後片付けや清掃作業などさまざまに支援してくれ、早期の営業再開にこぎつけた。そのうれしさ、安心感から、当時の報告書には「ウエルカムピンチ!ウエルカム災難!」と前向きな言葉すらあった。しかし今回彼は言う。「当時そんな前向きなことが書けたのも、どっかで心の中では、もうこんな大きな災害は一生に一度きりで、今後は二度と見舞われることはないだろう、みたいな思い込みがありました」

 今年の7月、二度目があった。報告書の写真を見ると、店の半分ほどが水に浸かり、店内には冷蔵庫が浮いている様子が見える。しかし顧客らは今回も立ち上がった。昨年も手伝ってくれた方々は要領も分かっており、5日間で営業再開に。冷蔵庫に関しては、顧客の中の設備業の方がいち早く在庫を確保、こういったこともあって早期の営業再開を果たせたのであった。

 そうしてお礼を兼ねたバーベキューパーティーを企画、準備していた8月、何と三度目があった。この時はさすがに心が折れそうになったと店主は言うが、三度顧客らは立ち上がった。今度は何と3日間で営業再開。立て続けの災害で出費も大きくなったことから、今回は募金活動も行ったが、こちらも予想以上の集まりだった。

 商いの持続を支えるもの――それは顧客だ。あなたの店や会社には、あなたに何があろうと支え、絶対につぶさないと動く顧客がどれだけいるだろうか? これからの社会、さらに変化は激しく速い。ITが流れ込み、考えるべきこと、打つべき手も多い。しかし、だからこそ常に振り返ってほしい。商いを支えるのは顧客だ。彼らへの提供価値、長く良い関係を続けるための活動は今どうなっているか、次にどうしていくかを。件のたこ焼き店主は言う。何があっても、必ず私たちは復活できると。それこそがこのような時代における、商いの真の強さではないだろうか。

 今年1年、お読みいただいたことに感謝したい。年明けにはまた、やや趣向を変えてお届けしていくので、引き続きお読みいただきたい。よい年を。

※2020年1月3日(金)の小阪裕司先生の連載は、お休みさせていただきます。「これまで公開した記事」はこちらからもお読みいただけます。