年末年始の休業日や営業時間変更の案内が見られる季節となりました。今年は元日休業を決定する飲食店や小売業も増え、年中無休の代名詞であるコンビニですら一部店舗での休業実験を計画しています。初売りに向けて半ば常態化されているサービス残業など、今までブラックボックス化していて「触れてはいけなかった」話題も、ようやく考え直す時代がきているのだと感じます。

 その半面、「稼ぎ時の年末年始こそ店を開けたい」「大晦日や初売りに対応したい」という企業もあってしかるべきだと私は考えています。元旦から開いている店には、初売りや福袋を求めるお客さまが殺到して売上げが見込める、消費者にとっても買い逃したものを買えるので便利であることは事実です。また働く側としても「初売りの活気ある雰囲気こそ燃える」「長期休みに家にいても暇だし、手当ても出るから働きたい」という考えの人もいるでしょう。

 個人的には同じ考えの人と企業がうまくマッチしてすみ分けができればいいなと思います。

働き方は「選べる」から「選ぶ」時代に

 

 働き方改革が浸透してきましたが、私は本当の働き方改革は「誰もが働き方を自由に選ぶ」ことだと思っています。寝食を忘れるほど仕事に打ち込むか、プライベート重視でそれなりに働くかという究極の選択ではなく、ある時期は仕事を最優先するけれどある時期は休む、かき入れ時の特定の期間だけ集中して働くなど、一個人が人生の中で働き方を自由に選ぶ時代はもう始まっていると感じています。

 私自身は今、たまたまフリーランスとして活動していますが、元々独立思考だったわけではありません。自分のやりたいことやできること、時間の拘束、体力面などを総合的に考えて、今の働き方に行き着いたという形です。当初は「3カ月続けば御の字。ダメだったらまた転職活動すればいいや」と思って始めましたが、このコラムも意外と続き、もうすぐ3年目になります。

 会社員時代と比べると安定した給与や保証、通勤定期券はなくなりましたが、その分、得るものもあり、不要な出費もなくなりました。具体的には、睡眠時間が増えて体力勝負の子育てが楽になった、満員電車の通勤など不快な移動時間が減る、外出先でのランチやドリンク代がかからないなど、自分にとって良いこともありました。

 そんな風に今ではマイペースに働いている私でも、長期休みのたびにアルバイトで丸1日シフトに入り、立ちっぱなしで接客をしたころもありましたし、残業は当たり前で常に仕事のことを考えていた時期もあります。今後も自分の状況が変われば、それに合わせて働き方を変えていこうと楽観的に考えています。

 分野が違えど、こうした働き方は覚悟さえあれば誰でもできると思っています。人口減少が確定している日本では、あらゆる分野で人手が足りなくなることは既定路線です。だからこそ、私たちは今勇気を出して「こんな働き方がしたい」と口に出し、働き方を選ぶ姿勢を見せても良いのではないでしょうか?

「労働時間も短く、給与も高く」なんて理想を叶えられるのは実力のある限られた一握りの人材かもしれませんが、「サービス残業はしたくない」「勤続年数やキャリアではなく、やった成果で評価されたい」など、個人にとって理想とする働き方は徐々に叶えられるようになってきています。もちろん理想が高ければそれだけ自分の実力を上げなければいけない大前提はあるものの、職業選択の自由はだいぶ開かれたものになっています。

自分で働き方を決めていく

 

 フリーランスになるか迷っていた在職時代に、時短正社員専門の転職サービスに相談したことがあります。当時は個人でやっているような小さな会社でしたが、久しぶりにインターネットで検索して見たところ、HPはしっかり作り込まれており、「山手線の右側しかない」と案内されていた求人数も増加、会社としても従業員を増やしていました。これは短時間でも働ける人をそれだけ多くの企業が求めているということです。

 一昔前では時短といえばパート職に限られ、結婚したら会社を辞める寿退社が当たり前とされていた時代はほんの数十年前です。都内の飲食店では「週1時間から勤務可能」「日払いOK」と書かれた人材募集も珍しくなくなりました。地方在住でも、インターネットを使った仕事なら場所を問わずにいくらでも受注できます。

 社会は少しずつですが、確実に変わっています。「休みが少なくて薄給な割に仕事は大変」は小売業の代名詞でしたが、そうした状況もゆくゆくは変わっていくのではないかと私は考えています。働く人がいなくなれば、企業は存続できません。何とか人手を確保するために給与を上げる、規模を縮小する、働き方を柔軟にするなど、必ず何らかの対応策を打つ必要に迫られるはずです。

 そのためには、個人としても自分の働き方を決断する必要があります。突然退職するのは勇気がいるかもしれませんが、他社の働く条件を見てみる、転職相談サービスを受けてみる、もっと身近な例でいえば休日出勤を断ってみる、配置転換や異動希望を申し出るなど、転職しなくてもできることはたくさんあります。

 小売業界が後ろ向きな人たちが働く業界ではなく、「この仕事がしたいからここにいる」という人たちが集まった魅力的な業界になるよう願っています。この連載は、また2020年1月より再開します。良いお年をお迎えください。