部屋の様子。きれいで女性でも使いやすい

 ホテルの1部屋を買い取り、それが不動産投資としてのリターンとして戻ってくる。「???……、言っている意味が分からない」と思う方もいようが、それは仕方ない。これまでにありそうでなかったビジネスモデルで想像がつきにくいからだが、香港の居を構える「JAB デベロップメント」は大阪を中心にこんなビジネスをしている。これは一体どういうものなのか、同社の李雅倫(アレン・リー)社長に話を聞いた。

物件を気に入って、契約したらリターンを待つだけ

 普通、ホテルといえば事業者がホテルを建設して自ら運営するケース、または事業者が有名ホテルのブランドのライセンスを取得して運営するケースなどがある(アメリカのカジノの大手 ラスベガス・サンズはマカオで自分のブランドだけでなく、カナダのフォーシーズンズやアメリカのシェラトン・ホテル&リゾーツなどの名前を使って運営をしている)。そこで宿泊客から宿泊料や各種施設のサービス料を徴収して利益を稼ぐ……、当たり前の話だ。ここに不動産投資という発想はない。

 これに対して、JABが大阪を中心に行っているのは、自らホテルを建設するが、そのホテルの部屋を分譲した上で、ホテルとしてのビジネスは継続するというものだ。

ホテルの外観

 香港人は家であろうが、マンションであろうが、不動産を購入するとき、「一生の住み家を買う」という概念はない。一時的にそこには住むが、高値で売るタイミングを常に見図り、その資金を元手に「さらに大きな家に住む」ということを考える。ホテルの部屋を分譲するというのは、日本人にとっても香港人にとっても珍しい話ではあるが、香港人はちゃんとしたリターン戻ってくるのであれば、そこに投資することをためらわない。

 JABのビジネスモデルをもう少し具体的に見てみよう。投資家はホテルの部屋を購入する。大家は民泊をやろうと思えばできるが、ここではそれはできない仕組みで、JABが建物全体をホテルとして運営。部屋のオーナーはホテルの収益からリターンを得ることになる。「物件にもよりますが、100万香港ドルくらい(約1400万円)で購入し、1年間で2~8%くらいのリターンがありますね」と李社長は話す。投資家は香港人が50%、マカオと中国本土が25%ずつだ。

 この仕組み、メリットは少なくない。1つは外国人が日本で物件を購入するときには、たくさんの申請書類が必要になるが、その手続きはJABが行う。もちろん、部屋のメンテナンスもJABが行ってくれる。投資に興味がある人は、物件を見て、気に行ったらJABと契約。そしてリターンが戻ってくるのを待つというワンストップで投資ができるのだ。もちろん、物件は自分が所有しているので、部屋の売買は自由に行える。

 ホテルは現在、大阪の緑橋と深江にあり、今後、梅田、天王寺、日本橋、難波地区などに約8つのプロジェクトを抱えている。「2019年は100室ですが2020年は250室までは増える予定です」と李社長。ホテルの利用客は中国本土からのお客が50%を占め、香港が20%、西洋人と日本人が残りの3割を占める。宿泊料金はツインで1部屋当たり450~500香港ドル(6300~7000円)。だが、2人で割れば1人当たり3500円程度と安いため、バックパッカーを中心とした20~30代の利用が8割を占める。

 ホテルを建てる場所を東京ではなく大阪にした理由について聞くと「基本は駅から徒歩5分以内の立地です。大阪と東京の違いはターミナル駅から2駅ずれると不動産価格に大きな価格差が生まれること。2倍ほど東京が高くなります。私たちのホテルの客層は若いこともあり、ターミナル駅まで2駅で最寄り駅から徒歩5分以内の立地だと需要は必ずあります」