特に女性の社員・パートタイマーが働きやすい職場づくり

 そうした経営合理化を図りつつもしかし、働く人を大事にするのが「ふくや」のモットーだ。経営理念に“強い会社・いい会社”を掲げ、社員、特に女性の社員・パートタイマーが働きやすい職場づくりをしようと、2003年に早くも「福岡県子育て応援宣言企業」に第一号登録をし、女性の活躍推進の先駆者企業でもある。

「社員が700人いて、男性はそのうちの250人ぐらい、うちはパートさんを含めて圧倒的に女性が多い会社です。なので女性が働きやすい職場にすることは必須で、例えば産休に入って、育休を取り、復帰する場合も6パターンの勤務形態から選べる形をとっています。子供を預けてがっちり働きたい方から、なるべく育児に集中したい方までさまざまです。しかし、子育てにいつ入るかなんて予定が立つものではなく、集中する年は一気にガッときて、ない年もある。できる限り希望に沿えるよう、話し合いを密にします」

 育休取得者にはもちろん男性社員もいるし、パート社員も。6パターンには「8時間勤務で休日指定なしの通常勤務」から、子供がゼロ歳で職場復帰した社員に向けた「短時間勤務で残業ゼロで土日祝日固定」といった形態まで細かく設定されている。

「それでも難しい部分はあります。子育てがしやすいようにと、うちの通販コールセンターが入っているビルに認可保育園を誘致したんですけれど、社員へのアンケート段階では『ぜひ入れたい』と言っていたのに、実際にはあまり使われないんです。子育てをいざ始めてみたら『幼稚園、小学校に上がったときに友達が近くにいないとかわいそう』とか、産む前には分からなかったことが出てくるわけです。皆さん、子育ては初めての経験なので、こちらが思う通りにはいかない。試行錯誤が多いですね」

 川原社長は「私自身としては、職場にお子さんを連れてきて仕事してもらっても構わないんです。昔風におんぶひもで背負ってやってもらってもいいんですが」とも言う。言われてみれば昔はそういう光景が見られた。

「ああいうものはいつ、誰が駄目だって言ったんでしょうか? 社会がそこを受け入れていかない限り回っていかないですからね」

 大切なのは、発想の転換かもしれない。今あるルールや既成概念の下で社会がうまく回っていかないのなら、それぞれが考え方を変えていかなければならない。

「うちは65歳で定年を迎えても70歳ぐらいまで働く人もいます。今、問題なのは働き方そのもので、会社で1日8時間働くということから頭が切り替えていかないと。年をとったら労働負荷の低いものを担当してもらうこと含め、柔軟に進めていかないとなりません」

 働く人が安心して働ける会社、社会が構築されれば、結果として消費行動も活発になる。安価に流れる商品の値段も安定する。社会は循環しているのだ。だからこそ、「ふくや」は働き方も、地域への貢献も大切にする(インタビュー①参照)。社会貢献活動の窓口「網の目コミュニケーション室」は、「1人ひとりが持つ情報を共有し、また互いにフォローすることで垣根のないコミュニケーションづくりを目指そう」というのがスタート時の目的だったそうで、それが今もさまざまな施策、在り方の根底にある。

「地域貢献といいますが、それは商売にもつながっています。たとえ福岡に今、大勢お客さまがいらしてくれているとしても、イメージが良くなければお客さんは減っていくし、われわれの明太子だって売れない。福岡、そして九州に何度も来てもらえる仕組みを作り、その中で少しずつでもお金を使ってもらえるようにしていくのが、今後生き残っていく唯一の道だと思います。そのためには地元を、地域を、われわれが大事にしていかないと商売は成り立ちません。地域に対する貢献活動は地域ブランドを育てるためでもあります。日頃から社員たちにもそのことは経営理念として伝え、一人一人に実践してもらっています」

 働く人、地域と共に歩んで循環型社会を作り、商いを日々積み上げて行く。魔法のような技はない。そうやって「ふくや」は1948年から70年以上歩んできた。

 

<お知らせ>書籍『ニッポン子育てしやすい会社』(坂本光司&人を大切にする経営学会 商業界)で、ふくやが紹介されています。「ニッポン社員の子どもの数が多い51社」の事例としてふくやの制度や取り組みがまとめられています。ご興味ある方は表紙をクリック!