「文化創造」に加え「文化観光」「オムニチャネル」にも注力

 誠品グループは現在、台湾を拠点に香港、蘇州、深圳、日本・東京などに50店舗を展開する。その土地の特色や文化を生かし、都市の精神性や人々との交流を尊重した店づくりが特徴だ。 

 誠品敦南店は世界で初めて24時間営業を導入した書店で、時差のない読書生活が新たなブームを起こした。13年に松山たばこ工場跡に開業した「誠品生活松菸店」は政府のプロジェクトによって建てられた店舗で、シアターやホテルも併設。16年米国CNNの世界で最もクールな百貨店14”に選出された。さらに、12年には香港コーズウェイベイ店を開業し、台湾以外に初進出。15年に中国・蘇州、18年に中国・深圳と相次ぎ出店し、中華圏以外で初店舗となったのが日本橋店だ。日本橋の店舗運営を担うのは、書店を再定義することで従来の枠にとらわれない店舗運営にチャレンジし続ける有隣堂。同社の松信健太郎副社長は「誠品との協業により、日本に誠品生活を根付かせ、新たな書店の景色を作っていきたい」と意気込む。 

 着々と海外拠点づくりを行う一方で、台湾での出店も止まることはない。「世界的に図書の売上げは落ちており、われわれもその現状に直面している。ただ、ゼロにはならないのでマーケットでのシェアナンバーワンを目指す」という。さらに中国市場については、大型店を出店し、店舗のレア性を強調していく。「中国では観光産業が成長しており、珍しい観光スポットには大勢の人が集まってきている。蘇州の店にはわざわざ上海から訪れるお客も多い」。ただし、現在3店舗展開する香港市場は、マーケット動向を見ながら今後の展開を検討する。

 リアル店舗の出店と合わせてここ数年注力しているのが、オムニチャネル戦略だ。2、3年前にデジタルサービスプロジェクトを立ち上げ、オフィシャルサイトとアプリの内容変更、新アプリの開発に取り組んでいる。

「最終的な着地点は、一つのプラットフォームに全てのサービスを乗せること。消費者がオンラインでもオフラインでも自由にシームレスに買物体験ができる環境を整えていきたい」

「オムニチャネル」は「文化観光」「文化創造のプラットフォーム」と並ぶ将来ビジョンの一つに掲げられている。実現すればアジアでの影響力が増し、唯一無二の誠品ブランドの存在価値がさらに高まることが予想される。