イオンは宅配に加えてリアルの活用を視野

 日本は生鮮食品の鮮度など、商品の品質に対する要求が高いとされるが、その点については「鮮度は課題だと思っており、今、オカドとこの部分の考え方について調整している」とイオンでデジタル事業を担当する吉田昭夫副社長も認める。一方で、取引先からセンターに納品され、直接お客に向けて出荷されることから、配送時間が短くできる点、また、倉庫、配送車は冷蔵、冷凍などに温度管理されている点などから強みを発揮できるとも考えている。生鮮あるいは惣菜などの鮮度に対する日本人の意識にどこまで対応できるか。配送料の体系を含め、オカドのシステムが日本における採算面の問題に対する突破口になるのかという視点でも注目したい事例である。

 一方で、イオンのネットスーパーは「店舗」という資産の活用も視野に入れていることが特徴だ。「イオングループは2万1000店を有し、イオンモールだけでも年間14億人が来店する。グループ各社の会員、イオンクレジット、WAONなど1億人の顧客基盤を持っている。これは必ずネットスーパーを後押しし、ネットスーパーのシナジーを享受できる」(吉田副社長)

 店舗型のネットスーパーは、現在のところオカドのモデルでは行っていないが、他国では実験も始まっているため、そうした結果も踏まえながらイオンとしても追求していく。「リアルの店舗にOSPのパーツを組み込み、ユーザーインターフェースのノウハウだけを入れることも可能」(吉田副社長)といったように、OSPは既存のネットスーパーに部分的に技術を生かすことも可能だという。

 特に効率的にCFCがカバーできないような人口の少ない地域では、店舗を在庫拠点とした店舗型のネットスーパー、あるいは宅配ではなく店舗などで商品を受け取る「クリック&コレクト」といったモデルの活用も検討課題となる。CFCには生鮮の加工場を設けることもできるが、イオンの場合、近隣に店舗があるケースも考えられ、そこでの加工も検討するなど、ここでもリアルの強みを生かしていく意向だ。

セブン&アイが立ち上げた新フォーマットの「コンフォートマーケット」の中延店(東京・品川)。業績は厳しいというが、品揃えの改善などの方向性やビジネスモデルとしての実験には注目したい。FOODロッカーを28 口設置した「クリック&コレクト」モデルだ。