イオンリテールは近年、地域になじみのある味や地場産品を提供する取り組みを強めている。特に東北カンパニーでは、2011年の東日本大震災を契機に始まった東北の 復興・創生、にぎわい創出に向けた取り組み「にぎわい東北」の一環として、地域産品の拡販に力を入れている。

東北カンパニー最大、80坪の地域産品コーナーも

 11月29日、岩手県奥州市にオープンした「イオンスタイル江刺」では、特にその取り組みが顕著だ。

 地域や東北各県の産品を集積した「江刺旬鮮館あがらいん」は、東北カンパニーの地域産品コーナーでは今までにない規模の最大の80坪で展開しており、さまざまな商品を取り扱っている。江刺は地域名。「あがらいん」という聞きなれない言葉は東北の方言で「お召し上がりください」と「お立ちよりください」という両方の意味がある。

 農産物は地元の生産者グループ「ももちゃん」の商品を中心に、シーズン中には江刺特産のリンゴをコーナーを設けて販売。農産物を使った加工品も数多くそろえている。地元はもとより東北のさまざまな加工食品も取り扱い、ギフトや土産向けの菓子、地元のパン屋、和菓子店の商品もコーナー展開している。

 初の試みが「食品以外に、岩手の伝統工芸品の南部鉄器や民芸品もそろえ、数十万円する高額なタンスや木工品も扱ったこと」。こうした展開は「道の駅」的な性格を持ち、新たな顧客を呼び込む可能性がある。

 この他、生鮮では地元江刺や県内の農産物、奥州市で飼育された前沢牛、大船渡港で水揚げされた直送の魚、惣菜では地元産の野菜や地域の魚や肉を使った商品を投入。加工食品や菓子、日配、酒でも県内や地域の地場メーカーの商品もそろえ、売場の各所で「にぎわい東北」のコーナーを展開している。

 こうした取り組みにより、地域商材は今まで近くで営業していた「イオン江刺店」と比較して300から1500へと大幅に増えている。

各カンパニーに権限を委譲し、商品開発にも注力!

 東北カンパニーでは、地域産品を使った商品開発も積極的に行っている。「うんめえ!東北 おもてなし弁当」はその一例。

 イオンリテールの最近の新店舗では「イオンスタイル新井宿駅前」(埼玉県川口市)の「鳩ケ谷ソース焼うどん」のようにご当地グルメの商品を登場させており、今後も地域の取引先を開拓しながら品揃えを拡充。より地域のニーズにきめ細かく対応することで、需要の掘り起こしも図ろうとしており、そのために各カンパニーに仕入れなどの権限を委譲、人員も張り付け、体制を整備している。

 日本の食文化は全国各地で異なる性格を持ち、多様性がある点が特徴。地域・個店ごとで対応が求められているが、そのためには地域と連携したきめ細かな取り組みや新たな施策が必要となる。

 この点でイオンリテールの東北カンパニーの「にぎわい東北」や「江刺旬鮮館あがらいん」は地域産品の開発や展開で一歩先んじた取り組みで、今後、どこまで進展していくか注目されている。

 さて、「イオンスタイル江刺」だが、「イオン江刺店」に代わる店舗としてリプレース出店されたもの。食品館と生活館に分かれており、「江刺旬鮮館あがらいん」は食品館にある。