ライトオンECサイトの検索サイドバー

 ECの売上向上には「カゴ落ち」防止が効果的だが、それは店舗販売でも同様だ。顧客の購買プロセスを妨げる要因を一つ一つつぶしていけば売上げは容易に伸ばせる。ECで顧客がショッピングを進めていく過程で「カゴ落ち」が生じるポイントはだいたい決まっている。それは店舗販売も似たようなものだから、ECと店舗を比較しながら検証していくと効果的な売上向上策が次々と見えてくる。

商品選択段階の肝は編集運用

 店頭と違ってECではさまざまな条件で並べ替えて商品を探せる。ホーム画面左側のサイドバーに選択に便利な検索条件が分かりやすくリストされていることが必要で、以下のような検索ワードが並んでいることが多い。

a)ブランドで探す(ABC順表記が多い)

b)ターゲットで探す(ウィメンズ/メンズ/キッズ・・・)

c)カテゴリーで探す(アウター/トップス/ボトム/インナー/シューズ/バッグ・・・)

d)アイテムで探す(アウターならダウンベストなど各カテゴリー内の具体的なアイテムを列挙)

e)サイズで探す(SS〜XXL、身長やドロップ、アンダーバスト&カップサイズなど)

f)カラーで探す(色相/トーン/トレンドカラー)

g)人気ランキングから探す(集計期間、対象分野の選択も可能)

h)価格で探す(高い順/安い順)

i)キャンペーンから探す(セール対象/クーポン対象など ※更新に注意)

j)トレンドのキーワードで探す(※タイムリーな更新が必要)

 この検索条件がチグハグだったり、長期間更新されないでアイテム名やトレンドのキーワードが陳腐化すると、検索しにくいだけでなく感性も疑われてしまう。i)やj)の更新を欠かさず、e)やj)についてはサイトの特性を生かす表現を意識したい。

 店舗でこれだけの情報を網羅するのはPOPや販売員の知識だけでは不可能で、タブレット接客やQRコードのスキャンでECサイトの情報を活用するのが必須となった感がある。販売員の誰もがタブレットを携帯して店舗とECサイトをリアルタイムで連携し、顧客利便を高めないと店ごと「カゴ落ち」しかねない。その意味で「百貨店」は丸ごと「カゴ落ち」してしまったのではないか。

 店舗販売では検索条件を変えて逐一並べ直すのは物理的に困難だが、ディスプレイと出前陳列だけなら小一時間で組み替えが可能だ。平日と週末、昼間と夕刻でルックやアイテム、色組みや色順などを替えれば効果はてきめんだ(再編集VMD)。ECでも「カゴ入れ」が悪い(落ちる以前の魅力の問題)と、ブツ撮りからモデル撮りに差し替えたりモデルを替えて撮り直したり、コーディネイトを替えたりするから、似たような運用が行われている。その頻度はもはや店舗販売と大差ないのではないか。

ユニクロECサイトの検索項目一覧

比較検証段階の肝は情報量

 店舗だと何店も見て回る手間を要するが、ECだと欲しい商品を検索して絞り込み、ブラウザーのウインドウを幾つか並べて類似商品を比較することが多い。デザインや素材、色やサイズ、価格やクーポンなどのキャンペーンを見比べるが、商品写真の精細度や立体感、見た目のインパクトが弱いと比較負けしてしまうし、ライバルサイトのキャンペーンに出し抜かれることもある。

 ライバル店の打ち出しや値引きキャンペーンをチェックすべきはECも同様だが、店舗販売よりテンポが格段に速い。時間の勝負という一面もあり、店舗とタイミングを合わせるのは難しいのが現実だ。

 素材感や物性、サイズやフィットの確認は実店舗に圧倒的な分がある。ECも写真や動画を工夫したり詳細な寸法表示や重量表示、物性表示(落ち感や透け感など)をしたり、バーチャル・フィッティングアプリを使ったり、あるいは返品自由をうたったりして「カゴ落ち」の回避に努めているが、手を打てば打つほど相応にコストがかさんでいく。

 そんな中でコスパが高いのが顧客のレビューだが、さまざまな体型・サイズの顧客の感想がそろうまで時間がかかるから新規投入商品には役立たないし、“さくら”が疑われることもある。ならば、ZOZOTOWNのように「スタッフレビュー」と明記し、さまざまな体型・サイズのアルバイトによる試着体験報告を商品投入に間髪を入れず掲載するのが効果的だ。

 店舗でそれを担うのは試着販売やフィッティングだが、前者は費用の制約(販売員が社販購入するか無償貸与)があってアイテムが限られ、後者は顧客に手間と労力を強いるから、ECサイトの顧客レビューやスタッフレビューを見る方が手早い。ECの商品情報もレビュー情報も手軽に見られるよう、商品タグにQRコードを印刷するのは今どきのジョーシキではないか。

店舗は情報を隠している

 比較検証は店舗販売に分があるといったが、それを生かしている店舗は限られる。ECに比べれば商品情報が決定的に不足しているし、見当てや試着という重要な購買プロセスが軽視されているからだ。

 POPや値札の商品情報はECのさ・さ・げ情報に比べれば格段に限定されたものだし、価格や品質表示は探さなければ見つからない。取り付け位置の不統一に加え、アパレル業界では値札は隠すものという慣習が定着しているからちょっとした探索が必要だし、素材など品質表示は内縫いの洗濯タグをひっくり返して探すことを強いられる。値札やネームのサイズ表記も記号だけで、ECのように各部位の実寸が詳しく表記されているわけでもない。ECに比べれば『売りたくない』という姿勢が露骨で、この段階で「カゴ落ち」する顧客は少なくないだろう。

 これを解消するにはQRコードをスマホでスキャンしてECの商品ページへ飛んでもらうという手があるが逐一スマホを操作する必要があり、値札をサクサク見ていく手軽さには敵わない。大きめな値札に全てをまとめて表記するのが親切ではないか(洗濯表示は別途に必要)。

※さ・さ・げ:ECの商品表現のための「さ」(撮影)、「さ」(採寸・計量)、「げ」(原稿書き)