先日、娘の七五三を行いました。私の場合は両家の祖父母も呼ぶことにしていたので、大人数での一大イベント。写真の焼き増し代などを考えると、いっそ全データをもらえた方がいいかなと思い、写真館と比較検討した結果、今回は個人のカメラマンの方に出張撮影をお願いすることにしました。

 出張撮影とは、フリーのカメラマンの方と当日現地で待ち合わせて時間内に写真をたくさん撮影してもらい、後でデータを納品してもらうのが一般的。プロのカメラマンに何枚も付きっきりで写真を撮ってもらえるぜいたくな体験として、最近はウエディングなどの記念日需要を集め、話題となっています。

撮影の2日前に電話をかけてくれる意味

撮影前に渡された千歳飴袋は中身にも工夫が

 私が今回、HPで見つけてお願いしたのは、フォトジェニックキッズの光家瑞穂さん。まずHPを見ると、撮影にあたっての注意事項やプラン内容が何十行にもわたって書かれていました。

 一般的に個人や小さな企業だと、簡単な場所や時間、値段などがサラッと数行でまとめられているものが多いですが、かなり細かいところまで書いてあることで、こちらも撮影までの流れがイメージができました。

 今回の最大の決め手は、ブログが数日おきと頻繁に更新されており、人柄が伝わってきたこと。撮影して掲載許可をもらった家族写真は全員掲載されており、撮影の空きスケジュールはこまめに更新、仕事を始めたきっかけや撮影にかける思いなど、こちらの知りたいことや気付かない情報まで、ほとんど網羅されていたのです。

 そして、光家さんが本当に家族の写真撮影に立ち会うのが好きで、着付け講師の資格も取るほど着物への愛も深く、プライベートでもご自身のお子さんの写真を毎日撮り続けており、仕事に誇りを持っていることもブログの文面からひしひしと伝わってきました。

 光家さんとのやり取りは主に電話やメールで、電話は依頼した日、そして撮影の2日前にかかってきました。2日前の電話では撮影内容の確認だけでなく、当日の天気の相談も兼ねており、天候不良や体調不良など問題があればこのタイミングでの日時変更も可能となっています。

 出張撮影は写真館と違って屋外での撮影がメインとなるため、こうした配慮は依頼側からすると大変助かります。カメラマン側にしても、当日の急なキャンセル防止につながるのだと思います。

 その他にも、光家さんは撮影用に千歳飴風のラムネを用意してくれていました。七五三の定番・千歳飴は祈祷を終えないともらえない神社も多いそうですが、実は祈祷中は撮影を許可していない神社がほとんど。写真撮影の際に手持ち無沙汰にならないように、これも撮影プランに含まれています。

気配りの嵐!キャリア10年カメラマンがしていること

撮影中に貸してくれた傘は、着物が趣味なカメラマンの方の私物。傘好きの娘は大喜び!

 合流前、光家さんをたまたま遠くから見掛けたのですが、その際、誰も見ていないのに撮影場所となる神社の鳥居に深々と頭を下げている姿も印象に残りました。光家さんと合流すると、事前に電話とメールで説明を受けていた確認事項の書類にサインをします。個人だと規約は口頭で説明し、すぐに撮影が始まると思っていたので、こうしたワンクッションが安心につながりました。

 ご自身も着物がとても好きなことから、撮影中には自前の傘を貸していただき、着物の柄がきれいに見えるポーズをアドバイスしてくれました。子育て経験から子供が笑顔になるコツをたくさん教えてくれるなど、自分の強みを最大限活かしてお仕事されていると感じました。

 撮影中は小さなアンパンマンキャラクターの指人形を用意し、子供の目線がカメラに向くように気を引いていました。ぬいぐるみではなく手の平に納まるサイズの指人形なのは、撮影中に子供に貸してあげられるようにとのことでした。

撮影で使用していた指人形は、万が一子供に渡しても写真に映り込まないように子供の手のひらに納まるサイズに(写真は参考、筆者私物)

 こうした撮影、人によっては初対面の人が長時間同行するのは嫌な人もいるでしょう。プライベートな集まりでの長時間撮影に子供や親戚が疲れてしまう、衣装やヘアメイクは自前で手配するなど手間もかかるので、写真館で数枚だけ撮影、もしくは個人撮影で十分という家族も多いと思います。

 それでも、全く知り合いではない個人に撮影をお願いする選択肢が出てきているのは、新しくて良いことだと思いました。選択肢が増えることで、自分が何を優先しているのかが明確になり、満足のいく選択がしやすくなります。私自身もプロカメラマンの仕事ぶりを間近で見させてもらい、とても学ぶべき点がたくさんありました。

個人の仕事が企業を超えていく時代

フォトジェニックキッズの光家さん。子供の機嫌最優先で、撮影を盛り上げてくれました

 カメラの性能はどんどん向上しており、今やスマホで撮影し、アプリで加工するだけでも簡単にきれいな写真が出来上がります。しかし、それだからこそ、記念日にはプロの人に撮影をお願いしたいと思いました。そう考えるのは私だけではないようで、当日は他にも2家族ほど出張カメラマンらしき方の撮影に出くわしました。

 光家さんご自身は出張撮影カメラマンの講師も務められているプロカメラマンのため、私が今回頼んだ出張撮影プランでは打ち合わせ10分と撮影時間90分の約100分で4万5000円、地域によってはこれとは別に出張費がかかってきます。

 全撮影データの提供やその他のサービスが含まれているので単純に写真館との比較はできませんが、撮影費だけで考えるならば10倍ほどの価格差がありました。同じ出張撮影でももっと安い金額でお願いできる方もたくさんいましたが、それでも私は「この人に撮影をお願いしたい」と思いました。

発信の継続が大きな信頼を生む

 ブログに限ったことではありませんが、情報発信はとても地味な仕事で最初はなかなか成果が出ません。お金をかけて大規模な広告を打っても、人々の興味の移り変わりのスピードが速く、広告にあふれている日本ではすぐに流れていってしまいます。

 そうした中でも、たとえアクセス数が少なくても継続することでログが残ります。そのログは多ければ多いほど力を発揮します。たまたま検索して目に留まった今回の私のように、継続は信頼を生むのです。

 とにかくひたすら自分で決めたことをやり続けること。試行錯誤・軌道修正しながら、より良いサービスを突き詰めていくこと。自分の得意なこと、やっていること、こだわっている点を一度だけでなく、何度も丁寧に伝えていくこと。

 ブログを読んでいると、恐らく光家さんも最初から今のプランがあったわけではなく、出張撮影のキャリアを重ねていくうちにサービスを改良していったのだと分かります。実際に掲載許可をもらった全家族の写真のブログ掲載や撮影中の動画プレゼントなどは、お客さまの反応を見ながら始めたサービスだそうです。

 今までは企業間競争だけだった世界でも、これからは個人とも競合していくのだと私は考えています。個人ではできるサービスに限りがありますが、企業では手の回らないような小さなこと、細かい部分まで気を配れるメリットもあります。今後、サービス提供者は企業も個人も利用者に何を提供できるのか、利用者は自分が何を求めているのか、お互いにより突き詰めていくことになるでしょう。

 光家さんの撮影データの納品は年明けとのことですが、写真が届くのをとても楽しみにしています。