ラグビーワールドカップ(以下RWC)で最も話題だったのは「にわかファン急増」。RWCやオリンピック・パラリンピック(以下オリパラ)は、いわば「世界レベルの祭」だが、祭大国の日本人には「踊らにゃ損々DNA」が流れているらしい。開会前の盛り上がりのなさなんてどこ吹く風。いざ大会が始まれば、日本に大挙して訪れた40万人のラグビーファンはもちろんのこと、日本人も踊りまくった6週間だっただろう。

 さて、来年に迫ったオリパラだが、期間中にはRWC同様の事象と、RWCとは全く違った事象が起こることが予想されている。

店舗の集客には国旗や歓迎メッセージ!

RWCの時に国旗でゲストを歓迎する大分市内のショッピングセンター
大分市内で配られた手書きメッセージカード

 RWC観戦前後にファンを集客できた店は、入り口に参加国の国旗など「ウェルカム」な看板を掲げた「観戦を楽しめる」楽しい祭りの雰囲気を醸し出した店だった。試合で盛り上がり、テンションが上がった外国人ファンはそのまま街へ繰り出し、何が食べたいと吟味するのではなく、入り口で自分たちを歓迎してくれて勝利を祝うにふさわしいと感じた店を選んで入店した。

 その一方で、それ以外の店は全く恩恵を受けることがなかった。歓迎の気持ちをどう表すかで、スポーツイベント観戦客の入りが違ってくることが今回のRWCで明確に証明されたわけだ。

 大分県では地元の小中学生の手書きウェルカムカードが話題となったが、これは地域を挙げてRWC来場者を歓迎し、空港や観光案内所で歓迎の気持ちをカードで表したものだ。

『Welcome to 大分、ラグビーの観戦をして盛り上がった後は、おいしい刺身とから揚げでゆっくりと別府の温泉を楽しんでください』『これは大分の高崎山です、猿がたくさん見られます。どうぞ楽しんでください。This is Mt.Takasaki』 

 日本語と英語で書いてあるこうしたカードを受け取った人はみな、笑顔だ。大分を好きになり、また来たいと思い、訪ねることだろう。

「クラウディングアウト」により買物客は激減する

【図】クラウディングアウト 資料グラフ 出典:観光庁

 オリパラに向け、知られていない重大な事象が「クラウディングアウト」だ。過去、北京・ロンドン大会でも同様の事象が発生した。大会開催年、特に開催月には観光客数が減り、消費が落ち込んだのだ。

 東京でもほぼ確実に同様の事象が起こると予想されている。競技関係者・マスコミなどによる長期のホテル占有。多数の関係者来日によるホテル・エアラインの代金高騰や滞在長期化に伴うホテル不足に起因する観光客減少。競技場への観光客の集中による他の地域の落ち込み。これが「クラウディングアウト」だ。

 RWCは違った。多くのファンは20日を超える滞在期間中、仕事をせずに休みを取り、上級ホテルに泊まる。高額チケットを決勝戦まで確保済みで、ゲームとゲームの間の3~6日間、買物・グルメ・観光を存分に楽しんだ。欧米を中心としたリッチな層がかなりの消費をもたらしてくれた。

 RWC同様にオリパラでもリッチな層がやってくるが、ゲームは熱い真夏の期間、毎日開催される。観戦後は疲れ果てて遊びに出る気力がない人も多いだろう。ホテル代金も高騰するし、近隣の東アジアからも多数が短期間で来日し、ホテル代金の高騰はRWC以上。懐を奪うショッピングは「また別の機会に」となっても不思議はない。ロンドンオリンピックを経験した、イギリス最大の老舗高級百貨店「ハロッズ」の社長は「売れたのは傘だけでした」と言った。

応援グッズ、TOKYOグッズがバカ売れ⁉

ラグビーワールドカップ オフィシャルショップの様子
Tokyo TokyoオフィシャルWebサイト

 ファンは観光客のように高額商品を買ったり、大量の買物はしないが、何も買わないというわけではない。RWCでも応援グッズが爆発的に売れた。応援のため、記念のための商品は売れるのだ。

 公式ショップは既に閉店したが、オンラインショップではいまだにオフィシャルグッズが売れている。この傾向はオリパラでも再現されるだろう。これまで各国で開催されたオリパラでもオフィシャルグッズはあっという間に売り切れになったそうだ。

 そうすると、その後、地名が入っている商品は何でも売れる状態に突入する。あまり注目されていないが、東京都は「Tokyo Tokyo」グッズの開発、販売を推進している。2020年には都内各所で大規模なキャンペーンが開催され、一気に知名度が上がることになるだろう。

「Tokyo Tokyo」のアイコン利用許諾申請を選べば、アイコンを入れたグッズを利用料無料で作れる。既にTシャツ、トートバッグ、キーホルダー、菓子などの多彩な商品が登録済みだ。

 自社で許諾を得て商品開発をするもよし、製造メーカーから仕入れて販売するもよし。オリパラのオフィシャルグッズを扱えなくても、こうした商品を扱うことは容易だ。こうしたTOKYO土産を目立つ場所に陳列することは、訪日ゲストの入店のきっかけになり、他の商品購買にもつながる。

 RWCでは準備不足だったお店もあっただろう。オリパラでは心構えも、準備も万端に、一緒に祭りに参加したい。