16年8月に休業して建て替えていた渋谷パルコが11月22日、ようやくグランドオープンにこぎ着けた。渋谷の変貌や財務的制約を乗り越え、『世界に唯一無二なストリートファッションとサブカルチャーの聖地』を目指した新生渋谷パルコが無謀ともいうべき夢をどこまで実現したか、世界が注目するに値する。

まさしく“ファッションカルチャーの聖地”

 新生渋谷パルコは今どきの商業施設としては驚くほどアパレル店舗が多い。ヲタクに尖ったストリートブランドやクリエーターブランド、古着ミックスやヴィンテージのセレクトショップから駅ビルやファッションビルでおなじみのブランドまで、全193店のうちアパレル主体が94店、下着や服飾雑貨まで加えると118店と6割を超える。「駅ビルやファッションビルでおなじみのブランド」は明らかに脇役で、多くは新生パルコに合わせて新たに開発した派生業態を投入している。

 アパレル94店の大半がストリート感覚の若者狙いで、カップルMDが47店、メンズMDが17店、レディスMDが30店とカップルやメンズの比率が高く、キッズMDを扱うのは「MSGM」1店のみ。これほどファミリーMDを拒絶した商業施設はファッションビルでも極めてレアだ。

 メンズMDを扱うのが64店とアパレル店の68%にも達するのはサブカルチャー志向の半端ない強さをうかがわせる。「若者狙い」と言っても低価格の量販的テナントは皆無で、サブカルな希少性にこだわった“コレクションプライス”を打ち出す店もあり、好きなものには金に糸目をつけない若者のヲタク消費に驚かされる。

 基本は定期借家契約のファッションビルだが、直営のコーナー編集売場やポップアップスペースを随所に散りばめ、各フロアをトーキョーのストリートになずらえて変化に富んだ構成を実現している。なのに違和感なくなじむのは、カテゴリーは違ってもカルチャーがつながる配置になっているのだろう。

 B1Fは「新宿ゴールデン街」を思わせる猥雑で怪しげな食文化空間の「カオスキッチン」。1Fは「ディオール」が「リモワ」とコラボするポップアップスペースの「ザ・ウインドウ」、「グッチ」「ロエベ」「コムデギャルソン・ガール」「トム・ブラウン」と「ディオール」「シュウ・ウエムラ」などのコスメブランドが路面店感覚で並ぶ「商店街エディット・トーキョー」。

「ディオール」が「リモワ」とコラボする1F「ザ・ウインドウ」
ロエベ、グッチなどラグジュアリーモードも並ぶ1F

 2Fは「イッセイミヤケ」から「アンダーカバー」までトーキョーモード主体にクリエーターを集積した「モード&アート」。「セレクトショップ」「アートトイ」「ギャラリー」を複合した新業態のスタジオ「2G」もマニア好みのレアアイテムがそろってインパクトがある。

マニアックな複合スタジオ業態「2G」(2F)
トーキョーストリートを代表する「アンダーカバー」(2F)

 3Fはパルコ直営コーナー編集売場の「ガイザーパルコ」をコアにストリート系セレクトからヴィンテージまでトーキョーストリートのエッジをそろえた「コーナー・オブ・トーキョーストリート」。「オフ-ホワイト」をフィチャーしたラグジュアリーストリートのセレクトショップ「ヌビアン」のインパクトが半端なく、これほど高価なアパレルを買える若者が世界には多数存在することに驚かされる。

3Fのコアとなるパルコ直営編集売場「ガイザーパルコ」
ラグジュアリーストリートのセレクト「ヌビアン」(3F)
奥渋のヴィンテージセレクト「グリモワール」

 4Fは著名セレクトから有力アパレルまで駅ビルの人気テナントがそろう最もリアルクローズ寄りの「ファッション・アパートメント」。さすがに新開発の派生業態を投入するブランドが多かった。

4Fパルコミューゼアムの「AKIRA」

 5FはEC連携のショールーミング売場「キューブパルコ」をコアにデジタル仕掛けのショップが並ぶ「ネクスト・トーキョー」。レアなスニーカーやフィギュアを集めてEC連携でオムニに訴求するコレクターズセレクトの「BAIT」が目を引いた。

5Fのコレクターズセレクト「ベイト」にはレア物が満載
5Fのショールーミング売場「キューブパルコ」内の「ラヂオEVAストア」

 6Fは「ポケモンセンターシブヤ」「ニンテンドートーキョー」をコアにトーキョー発のアニメやゲームのキャラクターコンテンツをそろえた電脳サブカルチャーの「サイバースペース・シブヤ」。アニメ/ゲーム好きが世界中から押し掛ける“聖地”になりそうだ。

6F「サイバースペースシブヤ」のコア「ニンテンドートウキョウ」

 ストリートファッションからコレクターズアイテムまでサブカル好みのコンテンツをこれでもかと集積したインパクトは東京はおろかアジア全域でも世界でも唯一無二で、ワールドワイドな超広域からファッションヲタクやサブカルヲタクを引き付ける魅力に満ちている。元祖ファッションビル「パルコ」の生誕50周年の節目にあたり、世界に唯一無二な“ファッションカルチャーの聖地”を目論んだ意気込みは十二分に結実したのではないか。