最優秀賞の脇坂璃貴也さんの実演。「毎年のロープレを楽しみに努力を続けてきたが、人生で初めての1位を獲得できた」

 11月7日、「イオン同友店会接客ロールプレイング全国大会」が開催された。

 イオンモールのショッピングセンター(SC)に出店するテナントで結成される同友店会主催によるもので、今回は9回目。

 全国約150カ所のイオンモールの約3万店の同友店、30万人のショップスタッフを中心とする従業員の中から今回は1万1000人が参加、各SCの同友店会、ブロック、地区の各大会で選出された参加者30人が接客技術を競った。

評価項目は「印象力」「コミュニケーション力」「販売力」

 大会のテーマは「Happiness 心 つながる瞬間(とき)」。お客さまのお役に立とうというおもてなし、お客さまもスタッフも喜びを実感できるようなマインドや行動にフォーカスした評価が行われる。これは第7回目(2017年)から3回続くテーマ。Eコマースの普及などにより、顧客は事前検索やメーカーのWebサイト、SNSなどの口コミなど多彩な情報手段を活用するなど、店舗の使われ方の変化を踏まえている。

 全国大会の参加者はThe Starと呼ばれ、7分間で、来店者役を演じる姉妹、カップル、先輩後輩、親子といったさまざまな設定の2人組を相手に接客を行う。業種もアパレルなど物販に加え、飲食、アミューズメントなどがそれぞれに相応しい接客技術を披露する。

 評価項目も身だしなみなどの「印象力」、言葉づかい、顧客への気配り、聴き方などの「コミュニケーション力」、顧客の要望をくみ取った提案、商品・サービスの知識などの「販売力」の3つが中心。審査員は人材育成や接客教育、店舗活性化などのコンサルタントらの専門審査員に、ホテル、航空会社グランドスタッフ、筆者の一般審査員含め計9人。

中国の最優秀賞受賞者によるデモンストレーションも行われた。中国はじめベトナム、カンボジアなど東アジアのイオンモールにおいても接客技術のレベルアップが図られている

店はコミュニティ、従業員はコーディネータ

 最優秀賞にはイオンモール伊丹のTHE SHOP TKでメンズ、レディースなどのアパレル販売担当の脇坂璃貴也さんが選ばれた。

 実演では、友人と連れ立ってきた男性客がパーカーの購入に悩んでいる設定に対し、「(子供っぽいかな、に対し)カジュアルで若さが出る」「(肩幅が広くていかついかな、に対し)男性らしさが出ている」とネガティブな反応に対し、ポジティブに捉えて提案するなどのコミュニケーション力と、素材、縫製などの産地についての商品知識などが高く評価された。

 とはいえ、各審査員の評点の集計を見ても2位以下とは僅差。全国大会だけあって、30人とも確かに点数差がつけにくいほどに高いレベルだ。

 ほぼ1日中、30人の接客ロールプレイを見ると、今や、店は1人より連れと行く、相談しに行く、そして買物だけでなく、買った商品でどのような楽しさ、豊かさが得られるのかを実感する場所ではないかと感じる。そして、この来店客の期待に寄り添いながら提案することに店とスタッフの価値があることが分かった。

 大会のあいさつで語ったイオンモールの吉田昭夫社長の言葉、「店はコミュニティであり、従業員はコーディネータ。一体感を持ったコミュニケーションが欠かせない」がこれからの店の姿を示している。

 なお、イオンモールが展開される中国、ベトナムでも接客ロールプレイングコンテストが開催されるようになり、身だしなみ、販売力、コミュニケーション力などに視点を置いた審査を通じて、技術向上の意識付けと浸透を図っている。

 全国大会の当日も、中国での大会で最優秀賞を獲得したイオンモール北京豊台のドリンクショップ従業員・劉佳涵(リュウ カカン)さんによる実演も行われた。来店客の好みを聴きながら、商品説明をするコミュニケーション、会計時にジャンケンによって割引率を決めるサービスなど日本での接客レベルの高さが中国のイオンモールでも浸透し始めていることをうかがわせる。