ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるネットショップからのご報告。

 同店は、実店舗とインターネットモールで主に洋服を売っている。このたび、ワクワク系を始め、まずはお客さんとの絆作りへの第一歩を踏み出した。その内容は、商品を発送する荷物の中に社長や店舗スタッフの自己紹介などを書いたニューズレター(お客さんとのコミュニケーションツールとして、ワクワク系で奨励されているもの)を同梱配布した、というものだ。

 同店からの報告書には、現物も資料添付されているが、自己紹介シートはイラストで描かれた社長やスタッフらの似顔絵がかわいく、実にほんわかとした温かい雰囲気のもの。何でも、絵が上手なスタッフが描いたとのこと。これを荷物と一緒に送るようになってから、お客さんから、これまでなかったうれしいレビューが多く送られるようになった。

 そのレビューの一部を紹介する。「商品もgoodでしたが、それ以上に皆さんの自己紹介のリーフレットは最高でした」「あたたかいお店なんだなあと思いました」「読むと実店舗にも行きたくなりました」といったものだ。その他にも、商品交換(サイズ交換)の際に、お客さんから気遣いのお手紙とスタッフ人数分のホットアイマスクが同梱されていたといううれしい出来事もあった。

 取り組み始めたことはささやかなことだが、ネット販売という顔が見えない商売でこのようにお客さんの行動に変化が起こってくるとは、店主も想像以上だった。その変化に今、彼はうれしい驚きを感じている。

 また、もう一つの驚きは、自分を含めたスタッフにも変化が起こってきていることだ。例えば、今まで上顧客以外は特に手紙の文言に変化を加えることはなかったが、スタッフ自ら購入回数を調べ、手紙にそれぞれのお客さんに向けた感謝の一言を書き加えるなど、頼もしくうれしい変化が起こってきているという。

「絆作りはネットでも可能か」。これはよく聞かれる問いだが、その答えはこの事例にある。相手が人である限り、行うべきことは変わらない。そこには共通した法則があるからだ。

 また、今回の事例からより学べることは、その疑問を少しは持ちながらも「この取り組みが良いのではないか」と思ったら、ささやかなことからでも、まずやってみる彼らの姿勢にある。そして、その姿勢と絆作りのもたらす効果が相まって、職場に「働く愉しさ」が生まれてくるのである。

※小阪裕司先生の連載最新回は、毎週金曜日の午前5時に公開します。「これまで公開した記事」と併せてお読みください。