物流センターに加工機能を加えたプロセスセンターは、自社仕様の商品開発も担う。他社との差別化に貢献している。

 流通業界の中でも目に見えにくい「物流」。倉庫から店舗に運ぶだけかと思いきや、多くの仲介業者が絡み、商品や店舗によって流通経路が全く異なる。「流通業界超入門」から派生したこの「物流超入門」では、商品それぞれの基礎的な流通経路を見ていこう。

 第1回は「生鮮」の物流を取り上げるが、初回ということで、最初に確認しておきたい「そもそも物流とは何か?」と「物流の6大機能」も掲載している。

 また、流通業界を理解するために必要な用語を「用語解説」として本文中にはさんだ。基本的な用語だが、再確認しておこう。

そもそも物流とは何か?

 まず、流通の仕組みの基本として、3つの「流れ」があることを確認しておこう。その3つとは、(1)情報の流れ(2)お金の流れ(3)商品の流れ、である。

 (1)は受発注など、店舗と、加工卸やプロセスセンターなどの間での情報のやり取りである。(2)は支払いなど、店舗または本部と、加工卸や仲卸などの間でのお金の動きのこと。そして(3)商品の流れがいわゆる物流である。商品の品揃え計画、仕入れ調達の仕組みは、物流システムなしでは構築できない。要求されるタイミングで必要な商品を必要な数量だけ、適正コストで配送先まで安定供給するということが、マーチャンダイジングの要である。

▼用語解説
 マーチャンダイジング:小売業では「適時・適品・適量・適価・適場」の「5適」で表される(「5適」については後述)。すなわち、生鮮では旬の商品を必要な数量だけ、買いたくなる価格で、買いたくなるような陳列提案をすること。品揃え計画と販売計画とが一体となった、商品経営の要である。

農水産物はどう届く?

図表 ①一般的な流れ/②プロセスセンターがない場合は、加工卸から小売店舗へ/③農漁協から直接の買い付け、仕入れ/④道の駅や、最近増えてきた小売業の直売所コーナー。

加工卸・プロセスセンターを経る①②の経路

 青果、生鮮、精肉は流通経路が似ているので、生鮮の例で見てみよう。水産物は、図表のように、近海、遠洋などの水揚げ港の産地→漁協などへの集荷と出荷→卸売市場→仲卸業者→加工卸業者から小売のプロセスセンターを経て店舗に至るという経路である。

 仲卸や加工卸は、企業によって販路・売り先が決まっていることがある。例えば、小売業、外食産業、料亭などさまざまな業種・業態の、特定の店に売る企業もあれば、同じ小売業でも同じ商社系列の店にしか売らなかったり、帳合制度といってメーカーによって販路が決められていることもある。一方、小売業から見ると、同業他社と商品の品揃えを差別化するために、独自の仕入れルート、卸売業者を選定することになる。

▼用語解説
 帳合制度:小売業から見て、AやBというメーカーの商品は甲という仕入れ先から、CやDというメーカーの商品は乙という仕入れ先から商品調達するというように、小売業と卸売業との商品によって仕入れ先を固定して、数量や品質の安定性を確保して取引をする制度。数年ごとに見直すこともある。

 加工卸の次はプロセスセンターへ行く。プロセスセンターとは、最終加工やラベル貼付などをし、商品化をする場所である。プロセスセンターを持っていない小売業は、加工卸から店舗に入荷させて、店内加工を行う。

生産者、漁協から直接仕入れる③④の経路

 近年では図表の③と④のように中間業者を省き、漁協からや「船買い」のように直接漁師から仕入れをする場合もある。全店一律の品揃えから、地域密着の仕入れ先と商品構成などが注目され、人気が出始めた。

 さらに、特筆すべきは「道の駅」の存在が目立ってきたことだ。道の駅で販売されているものは文字どおり産地直送で生産者が直接納品する。水産物、農産物、いわゆる市場商品群の、市場経由でない直売所ルートが注目されつつある。

高知県窪川の道の駅。休憩機能だけでなく、商品取り扱いでも流通経路を短縮した。価格と鮮度、品揃えで観光客に人気。
大分県三重の道の駅。大分県は以前から一村一品運動で地産地消の先駆けであり、地元からも人気だ。

 

 生鮮の水産物、農産物はいわゆる市場商品だが、小売業から見た大きな違いとして、水産物は展開している店舗が少ない点、農産物は直営売場とは別に「生産者の顔が見える産直コーナー」の展開が人気である点が挙げられる。後者は、地産地消でかつ家庭菜園でも可という販売システムができている。

小売業の青果の直営売場とは別に、地元の生産者に売場を開放して地域密着の展開をしている。家庭菜園の延長の生産者も販売ができる。