タンパク質は「身体の素」といわれ、筋力だけでなく、脳、肌、髪、内臓、ホルモンまで身体の固形分の半分程度を占める重要な栄養素です。近年の筋トレブームで、男性も女性も「筋肉を付けること」が健康と美容に欠かせないという意識が定着すると同時に、「タンパク質」は筋力アップに欠かせない栄養素として、注目が集まってきました。

 しかし、日本人のタンパク質摂取量は 21世紀に入ってから急激に減少しています。1990年代は1日当たり約80gあったものが、2011年には67.0g、17年には少し持ち直したものの、69.4gと30年間で約10gも減っています。これは、手軽なファストフードが身近になり、糖質と脂質中心の生活になってきたことの影響が考えられます。

 “50歳以上”のタンパク質目標量が引き上げられる背景

 来春、5年ぶりに改定される厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、“50歳以上のタンパク質の目標量”の下限が引き上げられます。これまでのタンパク質の摂取目標量は、エネルギー量(炭水化物、タンパク質、脂質)の「13~20%」でしたが、20年版では、50~64歳は「14~20%」、65歳以上は「15~20%」 と定めた理由は以下の通りです。

1.フレイル予防:社会問題となっている「フレイル(心身の脆弱)」予防のため、タンパク質の摂取が欠かせないことが明らかになりました。筋力だけでなく、脳やメンタルも含めて、タンパク質は健康寿命にとって重要な栄養素となるからです。近年はフレイルの若年齢化が顕著で早めの対策が必須とされています。

2.加齢とともに低下する「タンパク質合成力」に対応:加齢とともにタンパク質の「合成力が低下」が明らかになりました。その量は、30代と比較すると60代はおよそ半分以下。それに従い、年齢とともにタンパク質の摂取量が増加して設定されました。

「ダブルタンパク質」のここがすごい!

 タンパク質には、大きく分けて「植物性」 と「動物性」の2種類あり、それぞれ特徴が異なります。最新の研究で、その2つを同時に摂取する「ダブルタンパク質」で筋肉の合成効率がアップすることが明らかになりました。

(1)筋肉の「合成を活性」と「分解を抑制」で“筋肉ロス”を防ぐ:動物性タンパク質は筋肉の「合成」を、植物性タンパク質は筋肉の「分解を抑制」。ダブルで働くことで加齢に伴う“筋肉ロス”を防ぎ、効率的な筋肉合成に働きます。

(2)血中タンパク質濃度を長く一定に保てる:筋力合成には血中タンパク質濃度を一定に保つことが重要です。動物性タンパク質はスピーディーに吸収されるメリットがあるが、失速が早いのが難点。植物性タンパク質は、動物性タンパク質ほどパワーはないものの、緩やかに吸収されるため持続力があります。特徴の異なる2種類のタンパク質を摂取して、血中タンパク濃度を長く保つことで筋力合成の効率をアップさせましょう。

(3)栄養成分の複合的なアプローチが一度に得られる:動物性タンパク質は必須アミノ酸の消化・利用効率を総合的に判断する「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」が高く、乳製品由来のホエイタンパク質には抗炎症作用があります。植物性タンパク質は大豆イソフラボンに代表される抗酸化物質を含むので、同時に摂取することで、体の老化を抑えて筋力合成をサポートしましょう。

40歳を過ぎたら、“消化力”に見合った“こまめな摂取“も重要

 タンパク質分解酵素であるトリプシンやペプシンの効果は40代になると、ピークである20〜30代の2割減、50代では4〜5割以上は減少することが分かっています。タンパク質は、一度の食事での消化吸収に限度があります。体内に貯金ができないので、こまめに摂取することが重要です。

簡単にできる!ダブルタンパク質の食べ方

 まずは目で見て、動物性タンパク質と植物性タンパク質を含む食材を1:1の量で摂取しましょう。

<朝食>具だくさん、飲み物、汁物で手軽にチャージ

 タンパク質が不足しがちな朝食。いつものパンやおにぎりを具だくさんにしたり、飲み物や汁物で手軽にチャージしましょう。

玄米おにぎり:魚介類の具材チョイスでDHA、EPAも摂取

 

「植物性」:玄米/「動物性」:鮭やタラコ、ツナ、じゃこなど

豚汁:みそに含まれる抗酸化物質、メラノイジンが合成をサポート

 

「動物性」:豚肉/「植物性」:みそ、豆腐、油揚げなど

具だくさんトースト&豆乳ドリンク:コンビニのサンドイッチや調理パンもOK

 

「動物性」:チーズ、ハム、チキン、ツナ、卵など/「植物性」:豆乳、ソイラテ、豆乳ヨーグルトなど

「ダブルタンパク質」を簡単に摂取できるメニューを紹介

 スーパーマーケットやコンビニでそろう身近なメニューでも簡単に「ダブルタンパク質」を摂取できます。

麻婆豆腐:唐辛子は代謝を促進し、山椒は血流改善も

 

「動物性」:ひき肉/「植物性」:豆腐

おでん:調味料の糖質や脂質が控えめで、夜食にもお勧め

 

「動物性」:卵、イワシつみれ、鶏つくね、牛スジ、タコ串、つぶ貝/「植物性」:豆腐、がんもどき、厚揚げ

納豆オムレツ:たった2品でOK。卵と納豆は1:1で

 

「動物性」:卵/「植物性」:納豆

 いかがでしたか? 効率的なタンパク質の食べ方で、若々しく美しい筋肉を保ちたいですね。ぜひお試しください。