(写真と本文は関係ありません)

 チェーンストアの店長の善しあしは歩いている姿で分かります。良い店長は現場をゆっくり歩き、悪い店長は現場を早歩きします。

良い店長は見ることで良い緊張感をつくる

 現場を早歩きするのは、店長の仕事を作業の延長線で考えている証拠です。作業をすることを目的にしている店長は早く作業場に行きたいため、早歩きになります。しかし、作業を手伝いながら、作業現場を観察することを目的にしている店長はゆっくり歩きます。現場をゆっくり歩き、現場をその気で見るのです。その行動は現場に良い緊張感をつくります。

 現場で働く人は現場をゆっくり歩く人を感じると『何をしているのかな?』という気持ちが生まれます。この気持ちが『正確に仕事をする』『スピーディな仕事をする』という行動を後押ししてくれるのです。

 コンサルタントが店舗の朝の品出し作業をゆっくり歩いて見ていると、現場のパートさんたちの「何か、今日は品出し作業が早く終わったわね」の声が聞こえてきます。見ているだけで、作業スピードが必ず早くなるのです。

 現場をゆっくり歩いてその気で見ることは、現場の『見られているという緊張感』をつくるのです。その緊張感が現場作業精度を上げてくれます

良い店長は見てもらっているという安心感もつくる

 一方、見ているという行動は『安心感』も生みます。人は見てもらっていると実感できると安心します。この気持ちを分かっている店長は現場をゆっくり歩きます。

 明石家さんまさんの『恋のから騒ぎ』という番組に出演した若い女性が「女性の小さな変化に気が付く男は信用できない」と言っていました。女性は自分の小さな変化、例えば『髪を短くした』『マニュキュアの色を変えた』『傘を変えた』等の小さな変化に気に付いてもらえるとうれしいものです。そうしたことに気が付く男はもてるので、「信用できない」と言っていたのです。

 現場でもこの『小さな変化に気が付く』ことが大事です。小さな変化に気が付くためには、以前のその人のことをよく見ていないと分かりません。

 以前の状態、小さな変化に気が付くために、良い店長は現場をゆっくり歩き、その気で現場を見ます。そして、気が付いた小さな変化をその場で褒めます。例えば、「以前よりレジでの立ち姿勢が良くなったね」「以前より刺身の見栄えが良くなったね」と。すると現場で『以前から見てくれているんだな』という気持ちが生まれ、それが『見てもらっているという安心感』を醸成するのです。

〈まとめ〉現場をゆっくり歩くことはいいことだらけ

 現場をゆっくり歩いて、その気で見ると『見られているという緊張感』『見てもらっているという安心感』を意図的につくることができるのです。

 また、現場をゆっくり歩けば、商品、売場、お客さまの様子もよく分かるわけですから、いいことずくめですね。