東急が中心となってJR東日本、東京メトロも加わり、100年に一度と言われる大規模な再開発が進む東京・渋谷。高さ約230m、地上47階地下2階の大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」が11月1日に開業した。

まずは「渋谷スクランブルスクエア」の全体像を紹介!

 17階~45階は、ミクシィ、サイバーエージェントといったIT企業も入居する渋谷最大級の総賃貸面積約7万3000㎡のオフィス。15階には産業交流施設「渋谷キューズ」を設け、東大、東工大、早慶などと連携し、スタートアップ企業の支援なども行い、イベントも開催する。屋上には渋谷の新たな観光スポットとなる約2500㎡の展望空間「スカイ ステージ」、46階に展望回廊「スカイ ギャラリー」を設け、内外からの観光客を誘致する。

 商業施設は地下2階~14階の約3万2000㎡、物販126店、食物販57店、飲食28店、サービス2店の合計213店で構成されている。ターゲットは「渋谷に愛着や接点がある、時代の最旬を楽しむシブヤな人々」。インバウンドを含む来街者、オフィスワーカー、周辺住民に向けた商品・サービスを提供。日本初上陸7店、都内初4店、渋谷エリア初49店、商業施設初4店、旗艦店8店、新業態39店と半数以上の店舗が新たな魅力を渋谷で発信する。

 また、3階、7階、12階にイベントスペースを備え、さまざまなトレンドや情報を発信し、体験型イベントも実施。1階、2階、4階にポップアップスペースを設けて、最新トレンドや旬のショップを紹介する。オープン時には限定商品や先行販売品も150点以上用意し、「世界最旬」をアピールする。

全店舗の4分の1と食物販が充実している

 全店舗の4分の1以上を占めるほど充実させた食物販は地下2階~1階の3フロア。地下2階には東急百貨店の「東急フードショー エッジ」が出店。地下1階は高級スーパーマーケットの紀ノ国屋の「グルマン マーケット キノクニヤ」、1階のグランドフロアにはJR東日本リテールネットの駅ナカ商業施設「エキュート エディション」という3つの新業態が出店している。

東急百貨店は約120の売場とショップを編集

 今回、東急百貨店は新たなコンセプトで編集した売場である6階コスメゾーン「プラスク ビューティー」、5階にファッションゾーン「プラスク グッズ」を出店、4階にもプロデュースしたポップアップストア「シブヤ224」を設けている。

「プラスクグッズ」はパーク、ストリート、アベニューの3つのゾーンに分かれ、日本初ショップ。渋谷初4ショップをはじめ17ショップで、靴、バッグ、アクセサリー、時計、サングラスなどを展開。「プラスクビューティ」は45の内外の有名ブランドを集積と、デパコスメをはるかに上回る規模で展開している。

 東急百貨店は主体の東急のグループ企業であることから出店。百貨店事業で培った目利き力と編集力を生かし、合わせて約120の売場とショップを編集、日本初上陸4ショップ、オンリー・新業態30ショップを投入している。

 グループでは東急ハンズも10階の1フロアをほぼ使い出店。渋谷に旗艦店があることから取り寄せなどで連携しつつ、商品構成はパーソナルギフト強化など差異化を図っている。

3階ではインバウンド需要の取り込みも

 3階は、インバウンド需要の取り込みも意識し「ジバンシィ」「サンローラン」「ヴァレンティノ」「ブルガリ」「ケンゾー」といったラグジュアリーブランドを11集積し、館の顔として機能する。

 4階、7階、8階、9階のファッションゾーンでは新業態、渋谷エリア初、旗艦店も多数投入し、目新しさをアピール。「ユナイテッドアローズ」「ジャーナルスタンダード」といった有力セレクトショップも展開している。

 11階では、TSUTAYAはコワーキングスペースとカフェラウンジを併設した新業態、中川政七商店は旗艦店で出店している。

レストランゾーンは2フロア

 12階と13階はレストランゾーン。18店中、日本初1店、新業態5店、商業施設初2店、都内初1店、渋谷エリア初6と初づくしの店が大半を占める。

 14階にはNHKの展示・映像ギャラリー「NHKプラスクロスSHIBUYA」、17階にコンビニの「ローソンプラストークス」を誘致している。

初年度400億円の売上げを目指す

 渋谷スクランブルスクエアの商業施設のコンセプトは“ASOVIⅤA(アソビバ)”。渋谷は、友達と会う、買物に行く、仕事に行くなどさまざまな目的を持った人たちが集まる街だが、「遊び・外し・崩し」みたいな“遊び心”が街全体にあることから設定した。「VIVA」という気持ちに遊びを掛け合わせている意味もある。

 さらに、駅直上で街の真ん中に位置することで、渋谷の街に足を運んでもらい、そして来館者を街に送り出すのが使命と考えた。そのためには最も旬な「最旬」にこだわり、継続して取り組むことでさらに魅力を高めていこうとしている。

 そして、ラグジュラリーブランドからファッション、雑貨、コスメ、フード、飲食、スーパーまで多岐にわたるコンテンツを集積。幅広い客層に対応しながら、さまざまな需要を取り込み、初年度400億円の売上げを目指している。

目新しさを打ち出し、トップポジションを目指す

 惣菜ショップからラグジュアリーブランドまでフロアによってジャンルが異なり、多種多様な顔を持ち、さまざまな需要に対応するが、全体的に大人の渋谷を意識したMD構成で、ヤングやファミリーは切り捨てたことでエッジの効いた先端を行く施設に仕上がっている。

「世界最旬」をテーマに日本初出店、新業態、渋谷エリア初のショップを投入し、目新しさを前面に打ち出しアピールすることで、渋谷における立ち位置でトップポジションを目指すことは、施設を特徴付けようとしている。

 ただ、各フロアの売場づくりは際立った目新しさはなく、デパ地下、デパコスメ、ファッションゾーンと従来の手法を踏襲。その中で飲食店ゾーンはそれぞれの店が特色ある店づくりやメニュー展開を行っており、かなり斬新なものに仕上がっている。

 気になるのは、事業主体の東急、JR東日本のグループ企業が出店していること。顧客視点から考えると最適であるか。例えば渋谷はロフトの旗艦店舗もあるので、東急ハンズだけではなくロフトも誘致し、新業態を競わせる。ステーショナリーの伊東屋も組み合わせればさらに魅力が増す。

 紀ノ国屋の新業態は、東急フードショーにある成城石井とバーターし、成城石井の新業態を見てみたい気がするし、そうすれば、食物販がさらにパワーアップしたと考えられる。

 東急百貨店の「東急フードショー エッジ」と「プラスク ビューティ」の売場のつくり方は、デパ地下とデパコスメの範囲を抜け出ておらず、雑貨・ファッション「プラスク グッズ」ももう一段階次元の違うステージで展開すればより魅力的になっただろう。