今回から「需要額が40兆円ある食品を販売するスーパーマーケットの問題」を取り上げていきます。まずは「売れる、売れないは地域の消費者需要の違い」だとする勘違いを正します。なぜなら、これは競合の影響が大きいからです。

 編集部:これまでチェーンストアが実行する、商品仕入れでのセントラル・バイイングについて解説してきました。簡単に振り返っておきましょう。

 個店経営では、個店がベンダーから仕入れ、ベンダーの配送車が店舗に「バラ配送」していることが多い。

 一方、チェーンストアでは本部一括の仕入れであり、DC(ディストリビューションセンター、集配センター)へ納品される。実際には、両方の折衷型もあると思えますが、 問題はマーチャンダイジング(MD)の基本的なところにあることが分かりました。

 だから、セントラル・バイイングが、円高だった1980年代の後期から、生産コストの低い中国やアジアでのSPA(開発輸入)がされるように変化し、衣料と住関連で新しいロワー・ポピュラー帯の商品を作って、ポピュラープライス帯だった日本型GMS(総合スーパー)の領域を侵食してきたわけです。中国商品は、ポピュラープライスより一段も二段も低かったからです。

 ユニクロの店頭価格で1980円のポロシャツの、中国の工場出荷価格は、1990年代後期では、200円程度だったと聞いたことがあります。今は、人件費上がったので、300円くらいでしょうか。

 吉田:チェーンストアで大切なことは、消費者にとって、商品価値の高い商品を開発するという、経営者の意思です。

 商品価値とは難しいところがある概念ですが、商品を使う人・着る人・食べる人にとっての「機能・品質÷価格」で表すことができます。

 高い商品や安い商品という意味ではありません。メーカー品を特売仕入れ風に仕入れて、スポット的に安く売ればいいということではありません。機能・品質が高いのに、価格は安いということでなければならないのです。

 個店経営への傾斜が言われる総合スーパーは店舗数が少なく、工場への買い取り発注数が少なかった。このため中国でも、高い価値の商品開発ができませんでした。中国で生産している国内ベンダーからの、ワンクッション置いた少量の間接輸入だったのです。

 このため、直接にSPAをするユニクロやニトリを待つことになり、専門店のSPAチェーンのため、総合スーパーの衣料と住関連は、1991年の3分の1以下まで売上げを減らしています。

問題の一つはベンダーへの返品押し付け

 吉田:チェーンストアの商品開発では、返品をしない全品買い取り発注が仕入れ面の特徴です。総合スーパーでは、国内ベンダー経由で仕入れている開発商品でも、返品の習慣がありました。

 はっきり言えば、最近まで、商品が残った個々の店舗からの、ベンダーへの返品押し付けがあったのです。マスコミに問われた鈴木敏文氏は否定していましたが、仕入れの現場では事実でした。大手GMSの仕入れで問題とされ、新聞記事にもなったのでご存知でしょう。

 総合スーパーに対して、ベンダー側は、返品・交換を見込んで卸価格を付けざるを得ないので、仕入価格は高くなっていました。