『コンビニ店員に膝蹴り!現金を奪い逃走・・・』、連日の報道に胸が痛みます、進行する貧富の二極化はコンビニの現場をも脅かしている。その最たるものが、招かざるお客さま、コンビニ強盗です。

コンビニは敷居の低いお得意様

 現役時代を思い出しました、深夜の勤務時、フルフェースのヘルメット着用のままや、深く被る帽子に大きなマスク着用のお客さまが来店すると、何気ない普段の行動と思いつつも、人気の少ない深夜には大きな声で「いらっしゃいませ!」とあいさつし警戒。もしもの事態を想定し身構えたことが何度もありました。

 結果的にはコンビニ強盗の被害に遇うことなくコンビニ経営を引退しました(万引犯にはドライバーで刺されましたが……)。

 警察庁のデーターによると、午前2時から午前5時までの「深夜に強盗事件は発生」しています。

 最近はコンビニ強盗が減少傾向にあり、検挙率が高くなった要因として、防犯カメラの普及やネットでの情報の共有、活用、防犯意識の向上があると思われますが、強盗にとってコンビニは、最も敷居が低いお手軽なお得意さまであることは変わりがないようです。

 銀行でも郵便局でもコンビニでも強盗は犯せば強盗罪、法定刑は5年以上の懲役、未遂も予備も処罰されます。ましてや凶器を用いる犯行は、人を傷つけたときは無期または7年以上の懲役、死亡させたときは死刑または無期懲役です。

 味を占めたコンビニ強盗は何度も犯行を繰り返します。 実際に同じエリアで連続的にコンビニ強盗が発生するパターンが多いのです。 犯人は同じ人物とは限りませんが、最近はグループ化し、武装化する傾向もあります。外国人の犯行も増えていますが、外国人を装った犯行も多いようです。

従業員の安全確保が最優先

『コンビニ強盗は絶対に許さない』の姿勢が重要ですが、従業員の安全確保は最優先にしなければなりません。では、一体どのようにすればいいのか。

 コンビニのFC加盟店が抱える切実な問題。それは「売上げ」「ロス」「人」、そして「さまざまなトラブル」です。安全な商品を安全な環境で提供するには、4つ目の「トラブル」を未然に防ぎ、お客さまが安心して利用できる態勢を取らなければなりません。

 しかし、コンビニ強盗は全国で日常茶飯事として起きているのです。

 次のようなニュースが流れました。

『東京・○○市で男がコンビニ店に押し入り、店員にけがをさせたうえ、現金約100万円を奪って逃走しました。 警視庁が強盗傷害事件として男の行方を追っています』

『13日午前1時45分ごろ、○○市のコンビニ店に男が客を装って押し入り、本棚の整理をしていた男性店員の顔にひざ蹴りして全治2週間から3週間のけがをさせました。男は男性店員が倒れている間に店の事務所の金庫を開け、売上金約100万円を奪って逃走したということです。当時、店には客はおらず、男性店員1人で勤務していました。男は身長170センチぐらいでフードの付いた白いジャンバーを着て、マスクとメガネをしていたということです。警視庁は強盗傷害事件として男の行方を追っています』「2019年8月13日・テレ朝news」

 私の友人のコンビニオーナーの店でも強盗が起きました。そのときの話を聞くと……。

 深夜、午前2時ごろ。普段通り、従業員と2人で勤務し、 彼はレジカウンターで精算中のこと。ふと、正面ドア入り口を見ると、突然、勢いよく正面ドアを蹴り上げ、黒い目出し帽を被ったコンビニ強盗が入ってきたそうです。

 強盗は助走をつけてレジカウンターを飛び越え、彼の背後に素早く回り込むと「カネ、カネ」と叫びます。彼が思わず大声で助けを呼ぶと、強盗は背後から彼の口を片手でふさぎ、「騒ぐな!殺すぞ」と言ったそうです。

 レジ内の釣り銭を手渡すと、「少ない。少ない」と言い、そこへ、さらにおそいの覆面をした2人が登場。3人組のコンビニ強盗団だったのです(このとき、彼は手慣れている強盗だと思ったそうです)。

 後から入ってきた強盗はもう1人の従業員に「カネ、カネ、金庫、金庫」と、刃物を突き付けながら言い、事務所に押し入って段ボールの空箱に「カネ、カネ、入れろ」。そして、その日の売上げ、金庫内の両替金約90万を強奪し、逃走していったのです。

 気が動転していたのでしょう。彼はコンビニ強盗団の車を白い乗用車と勘違いして警察に通報してしまいました。実は逃走した車は、コンビニ店舗から少し離れた場所に置かれていて、闇夜に紛れて徒歩で訪れ、犯行に及んだとのことです。

 白い乗用車は常連のお客さまのもので、覆面をした強盗団が逃走する異様な光景に勇敢にも、その車を追跡してくれたそうです。結果、逃げられたものの、強盗団はよほど慌てたのか、覆面を車外に投げ棄てて行ったのでした。

 そのため、覆面から検出されたDNAから一味の中に前科がある人物が浮上しました。他にも、物販店舗へ車で突入して侵入し、商品を強奪するなどの事件を起こした手荒な犯行の外国人強盗団でした。その後、全国指名手配になり、全員逮捕されたと聞きました。

強盗を未然に防ぐためにやるべきこと

 コンビニの加盟店オーナー、店長、従業員の皆さんのコンビニ強盗に対する意識付けと可能であれば「防犯訓練」を行いましょう。

 対策として望ましいのは、深夜の1人態勢を避けることですが、地域や立地によって夜間人口や来店客数に差があるため、経営的な点から難しい店も多いと思います。では、 現実的な対策として、1人態勢の中でどうしたらよいでしょうか。

 完壁に防ぐことは難しいですが、コンビニ強盗が頻発する曜日や時間帯、特に日曜日の深夜から月曜日の早朝にかけては犯罪の起きる可能性があることを意識し、警戒するように言い続けることが大切です。

 そして、犯罪が起きないように店側が毅然とした姿勢を、従業員の態度で示すようにします。基本は来店時のお客さまへの声掛けの徹底です。

 また、コストはかかりますが、店と加盟店オーナーとをインターネット端末で接続して、常時、店内が見られる環境をつくることも従業員の意識付けにつながるでしょう。

 その上で、もし強盗が来たらどうするのかというシミュレーションをしておく必要があり、防犯訓練も可能なら行っておくと、とっさのときに慌てずに行動する準備となるでしょう。

 コンビニ強盗対策で最重要なことは従業員の安全確保です。相手はどのような凶器を持っているのか分かりません、身を守ることが最優先です。逆らわず、騒がず、刺激せず、無難に金品を渡し、強盗犯に出て行っていただく。

 相手に隙があれば事務所やトイレなど内側から施錠可能な場所に逃げ込めるよう、”シェルター”の確認も必要です。

地域、警察との連携を密にしよう

 コンビニ強盗はなぜ、覆面や帽子、マスクで顔を隠すのでしょうか。通常であれば捕まりたくない、短時間で手っ取り早く金品を奪い、速やかに立ち去りたいと考えるでしょう。

 それなら店舗外部防犯カメラ、店舗正面出入り口防犯カメラは必須です。店舗外部に緊急用の光センサーや防犯スピーカー、(周囲環境にもよりますが)可能ならば深夜の危険な時間帯に店舗出入り口上部、左右に光を点滅させます。

 私がコンビニ経営をしていた時代、コンビニ強盗が多発した時がありました。私の店では夜間のみ、店舗駐車場に自作警備車両を配置し警戒をしていました(私や従業員の車の左右のドア、ボンネットに「防犯活動中」の告知マグネットシートを張り、屋根の上で青色のパトライトを回転点滅させていました)。当時、女性のお客さまから「この店は深夜でも安心して入れる」とのありがたいお言葉を頂いたことが胸に残っています。

 強盗犯が避ける要素は光と音です。コンビニ店舗の外回り、駐車場への屋外灯、店舗内外を明るくすることで相乗効果が生まれます。

 また、深夜勤務時は腕に防犯腕章をし、首掛け式の防犯ブザーも下げていました。

 もし、強盗犯がキラリと光る刃物を目の前で差し出したら、何もできなくなってしまうことも多いと思われますが、身の安全を確保してから防犯ブザーで警備会社に緊急連絡をすると、通常、それが同時に警察へ伝わる流れになっています。

 ただし、実際に強盗が起きてから警察が駆け付けるまでにはタイムラグがあるので、普段から地元の警察と協力態勢を取っていると安心です。コンビニ店舗として警察から何かしら捜査協力の要請を受けたときなど心よく対応することをお勧めします。

 警察にとっては、殺人、強盗、放火、強姦、誘拐が起きると管内の汚点となる。当然、管轄エリアに犯罪の発生を未然に防ぐため、地域の防犯活動には協力的です。

 コンビニ強盗は連続して起こることが多いわけですが、これは犯人が捕まらないから短期間に手荒な犯行を繰り返すということです(以前、コンビニ強盗は初めの犯行のときは用心深く警戒していますが、犯行を繰り返す過程で慣れと気の緩みが出てきて、雑になり、最終的にしくじり、捕まることが多いと聞きしました)。

 警察によれば、自動ドアの場合は指紋も残らないので、せめても防犯モニターの画像で状況証拠を積み重ねていけば検挙率は上がるといっています。被害に遭われた店は状況証拠を固め、警察と連携をすることが必要です。

 事件発生の情報、各地区の警察発表を、近隣の店舗へ伝える手段も必要です。現在はインターネット端末の活用により、各地区の警察から各コンビニ本部、加盟店、防犯協会役員のいずれかからの緊急連絡網で「コンビニ強盗発生!緊急警戒せよ!」と、敏速に事件概要が伝えられるようになっています。地域ぐるみでコンビニ各社が加盟店の垣根を越え、情報の共有化と犯人検挙の取り組みをしています(可能でしたら、夜勤従業員の安全対策にスマートフォンに緊急警戒情報を速やか伝えてください。被害からの防御、犯人の検挙につながる可能性が出できます)。

 この取り組みの母体は、警察組織の外郭団体「防犯協会連合会」、下部組織「コンビニ防犯協会」で、その主たるメンバーは、多くが酒販組合でコンビニ創生期の方々や次世代のメンバーです。

 コンビニ経営が多難な時代へと加速している今も、防犯への手を緩めることはできません。特に深夜に1人回しの従業員の皆さま、警戒心を持ちながら、無理せずに気を付けてくださいませ。