日本政府観光局が発表した、2018年の訪日外国人は3119万人で、初めて3000万人を超え、その消費額は約4兆5000億円に及んだ。消費の内訳を見ると、トップが買物の34.9%、2番目が宿泊の29.2%、3番目が飲食の21.6%で、約1兆5600億円が買物に使われている。

 19年もインバウンドの人数、消費は伸びており、政府は20年にインバウンド4000万人、消費額8兆円を目標に掲げている。今後、国内の消費がシュリンクしていく中、インバウンド市場は実に魅力的なマーケットといえよう。

 そのインバウンド需要を取るには免税店の許可を得た方が有利だ。本稿では免税店のメリットと訪日客に人気の商品傾向を紹介する。

消費税がその場で戻るのでお得感が大きく、消費増税はチャンス

 なぜインバウンド市場で免税店が有利なのか。その理由は、インバウンドが免税店で免税対象品を一定額以上購入すれば、消費税分が戻ってくるためお得感があり、同じ物を買うなら免税店で買物をするからだ。

 特に日本の場合、消費税の免税方法に、日本方式といわれる独自の方法を取っていることも大きい。

 ヨーロッパの多くの国では、免税店で免税書類をもらい、空港などで出国手続きを済ませた後のエリアにある税金払い戻しカウンターで手続きをして、キャッシュバックを受ける。それに比べて日本は、購入した店舗で免税手続きをするので、その場で消費税分が還付され、よりお得感があるのだ。

 19年10月1日からの消費税増税も、国内居住者にとっては痛手だが、インバウンドは、さらにお得感が増す。例えば、軽減税率対象外の1万円の商品を購入した場合、以前は800円のキャッシュバックであったが、今は1000円がその場で戻ってくるので、200円もお得になり、もっと買物をしたくなる。消費税増税はインバウンド市場にとって追い風になるのだ。

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人気が高い伝統工芸品、日本的な雑貨や小物を訴求

 

 インバウンドに人気が高いカテゴリーは家電、伝統工芸品、日本的な雑貨や小物、化粧品、医薬品、菓子だ。

 家電や化粧品や医薬品は、品揃えが豊富で価格も安い大手量販店やドラッグストアが有利だが、中小の店舗や個人店で注目したいのは伝統工芸品、小物や雑貨だ。陶磁器、織物、彫り物、塗り物、刃物、竹細工などの伝統工芸品を扱う店舗には目的意識を持ってわざわざ来店してくれる。高額な買物もいとわず、来店人数は少なくても売上げを上げている店舗もある。

 市中や観光地の店舗では、日本情緒ある商品をピックアップして、インバウンド向けの棚を作るのも一つの方法だ。衣料品店であれば帽子、バッグ、傘など、サイズに関係なく購入できるアイテムを訴求するといい。食料品では地方の特産品やオリジナル商品を打ち出せば、インバウンドの興味をひき、免税金額にも達しやすい。

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20年4月1日に免税手続き電子化が始まり、21年10月1日完全移行

 

 免税制度は14年以降、毎年のように改正され、より利便性が高められてきた。今後の大きな改正の一つが手続きの電子化だ。今までは購入記録票を記入し、それをパスポートに添付して割印を押すなどの工程が手作業で行われていた。だが、たくさん買物をすると、何枚も添付されてパスポートが分厚くなり、剥がすときにパスポートを毀損することもあるなど、不評をかっていた。

 この一連の作業の電子化が20年4月1日にスタートし、1年半の経過措置の後、21年10月1日に完全電子化が義務付けられる。電子化されていない店舗は、免税店の許可を取り消されるのだ。

 電子化には、店舗のPOSレジ、パソコン、サーバなどからデータを国税庁の受信システムにアップロードしなければならず、対応する機器とインターネット環境の整備が必要だ。小規模店や個人店では負担に感じるかもしれないが、スマホで使えるアプリの開発も検討されている。

 電子化で、免税続きに要する時間も手間も大幅に短縮されるなど、免税店化はメリットの方が大きい。ぜひ免税店になり、インバウンド需要を取り込んでもらいたい。