ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ、『ニッポン子育てしやすい会社』などの著書を持つ経営学者 坂本光司氏が会長を務める「人を大切にする経営学会」と千葉商科大学(原科幸彦学長)大学院が、企業経営者を対象とするプログラムを2020年4月より共同開講することとなった。

 プログラムの名称は「中小企業人本経営(EMBA)プログラム1年コース」。主に中小企業経営者や幹部社員、弁護士、税理士などの専門家を対象とし、毎月1回(2日間)、千葉商科大学大学院の丸の内サテライトキャンパスで行われる。

 プログラムは現役経営者、弁護士、コンサルタントなどがリレー方式で行う「経営学」「経営論」の講義、プログラム受講者からリーダーを選んで進める「中小企業事例研究ゼミ」の3本柱となっている。優秀修了者には「EMBAプログラム修了証」、千葉商大からは「履修証明書」が交付されるなど職業キャリアの形成にも有効となっている。

「人を大切にする経営学会」は2014年に設立された。同学会は経営学や社会学者など大学関係者が中心となる通常の学会と異なり、坂本氏など一部の経営学者に加え、社会・医療・福祉分野の専門家、経営者、弁護士、公認会計士などで構成されており、現在の会員数は約1200人となっている。

 主な活動は「人を大切にする経営学会」大会を年次および地区で実施し、また毎年「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の選考を行っている。2018年には、今回のプログラムの原型である「経営大学院事業」を実施、既に2期生を数えている。

 一方、共同主催者となる千葉商科大学は商学、経営学など実学主体の教育が特徴であるが、近年、CSRなどの企業・団体の社会的責任、環境・エネルギーなど社会の持続性に着目した研究に力を入れており、「商業道徳の涵養(かんよう)に努めながら、より社会に資する倫理観を持った実業家の養成に努めたい」(原科学長)との考えが、同学会と一致したとする。

国内外500社以上の中小企業を研究対象とする

 今回の共同開講について、10月9日に行われた記者会見の席上、坂本氏はプログラムの特徴として、以下のように説明した。

「中小企業に特化していること。既存の大学のMBAプログラムは大企業や官僚組織を対象とした内容であり、日本の99.7%を占める中小企業には対応していない。大企業が行き届かない領域を手掛ける中小企業向けの内容は国内の大学では初めてのケースだろう。また、業績、業界ランキングではなく、人間本位の経営に重点を置く。現在、私たちのデータベースにある国内外500社以上の該当企業をプログラムにおける研究対象としながら、担当教員も現役経営者20人以上を予定している」

 研究対象となる企業は、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞に集まる応募企業や大賞企業から抽出される。現在、第10回の大賞の応募受け付け(11月11日まで)の最中であるが、資格も、過去5年以上にわたって、営業利益・経常利益が共に黒字、人員リストラを行っていない、(下請け代金支払いに関する)法令違反をしていない、障害者雇用は法定雇用率以上、といった業績の安定性に加え、社員、取引先等を“大切にしているか”を重視している。

 今回の共同プログラムは、実務と理論の体系化を一層進め、さらに多くの「人を大切にする」経営者、会社を創り続ける試みといえる。