10月9日、イオンが2020年2月期第2四半期決算を発表した。営業収益4兆2902億1500万円(前年同期比0.6%増)、営業利益863億2600万円(同3.9%減)、経常利益797億6700万円(同12.2%減)、純利益37億9100万円(同64.1%減)となった。

 純利益の大幅減については、イオンディライトの子会社・カジタクの不正会計処理および誤りの修正額を第1四半期に一括計上したことが主要因。この影響を抜いた数字を見ると営業収益4兆3048億2800万円(前年同期比0.9%増)、営業利益1008億7100万円(同12.3%増)、経常利益943億1600万円(同3.8%増)、純利益117億1200万円(同10.9増)となる。

GMS、SM事業は不振ながらも連結では増収

GMS事業(営業収益1兆5304億3100万円、前年同期比0.3%減/営業損失75億3400万円、16億7400万円の減益)

 今回の減益の要因は2つ。ドラッグストアやディスカウント業態などへの価格対応、メーカーの値上げ要請により徐々に利益が圧迫されたこと、7月の長梅雨により想定を上回る在庫処分が発生したことによるものだと説明。

 また、イオンリテールでは、営業損益が63億円で前年同期比28億円の減益となった。これは荒利益率の低下が主な原因だ。

 その一方で、増税前の駆け込み需要があった9月は、既存店売上高前年比は約12%増を記録。需要を取り込むための収益拡大施策の一つとして店頭での接客、注文受注、配送先での設置が必要な商品について、従業員の教育や取引先との協力関係の整備など体制を事前に強化。その結果、リフォーム、サイクル、家電など、高価格帯の商品カテゴリーが大幅に伸長した。

SM事業(営業収益1兆6051億5500万円、前年同期比1.5%減/営業利益28億1500万円、同74.7%減)

 営業収益が想定した水準を確保できなかったことが最大の要因。第1四半期は出店を加速するドラッグストアやディスカウント業態に対して、価格面での対抗策やデリカ部門に人員を傾斜配置して強化するなどの対策を実行し、営業収益の回復を図った。

 しかし、有効求人倍率が依然として高い水準にあり、人員の採用に関する時給水準も高止まり、商品仕入れ価格や物流費の上昇により営業利益面で苦戦した。

「SM地域統合」の進捗については、中国・四国エリアのマルナカ、山陽マルナカがマックスバリュ西日本の子会社となり、経営統合体制がスタート。地域密着経営の推進のため、近畿エリアの店舗をグループ会社の光洋、ダイエーに移管をした。今後は経営統合をさらに進めていき、21年度の合併を予定している。

 東海・中部エリアでは、マックスバリュ東海、マックスバリュ中部がディスカウント業態の店舗をグループのイオンビックに移管した後、9月に合併。北海道エリアもマックスバリュ北海道とイオン北海道の20年3月の合併が決定。九州、近畿、東北でも、統合の最終合意に向けて調整中だ。

ヘルス&ウエルネス事業(営業収益4347億4100万円、前年同期比10.1%増/営業利益169億5900億円、同24.5%増)

 7月の長梅雨の影響を受けつつも、調剤併設店舗(8月末現在1350店舗)や24時間営業店舗展開の拡大による調剤売上げの伸長、新規出店やM&Aにより、10.1%の増収になった。その他、健康を意識した商品開発、レジ袋削減に向けた活動などの取り組みに注力した。

総合金融事業(営業収益2393億9700万円、前年同期比13.0%増/営業利益342億700万円、同7.1%増)

 第1四半期にキャッシュレス推進対応で販促費を投入して減益となったが、第2四半期は増益に転じた。10月からの消費増税を控え、キャッシュレス推進の一環として新規入会者限定のキャンペーンを実施した結果、国内におけるイオンカードの有効会員数は2857万人(前年同期差51万人増)、カード取扱高28368億円(前年同期比8.8%増)となり、営業収益は13.0%の増収となった。

ディベロッパー事業(営業収益1846億2500万円、前年同期比3.6%増/営業利益302億3900万円、同18.9%増)

 国内では、既存の3モールの増床、9モールのリニューアルを実施した。イオンモール東浦(愛知県)では、テナント全体の70%にあたる122店舗を刷新。イオンモール成田でも47月にリニューアルし。4月はテナントの約50%にあたる88店舗を刷新、7月には日・英・中・韓・タイ・ベトナムの6カ国語に対応したデジタルインフォメーションや海外旅行などで余った外貨を電子マネーやギフトコードに変換できる「ポケットチェンジ」の導入などインバウンド向けのサービスを拡充した。

 海外事業では、中国、アセアンともに増収増益。中国では「北京・天津・山東」「江蘇・浙江」「湖北」「広東」の4エリアを中心としたドミナント出店に伴い、優良専門店の誘致や、より有利なリーシング条件での契約が可能になるなど、ブランディングメリットの享受が進んだ。

 ベトナムでは、6月に1号店のイオンモール タンフーセラドンを増床リニューアル。総賃貸面積は1.8倍の8万4000㎡となり、新規専門店に加え、既存ゾーンでもMD・ゾーニングを刷新した。フードコートは1000席に拡大、各階フロアに飲食ゾーンを配置した結果、テナント数はベトナム初出店を含め80店増加の200店舗となった。

サービス・専門店事業(営業収益3789億600万円、前年同期比4.2%減/営業利益22億1500万円、同83.9%減)

 上半期を通じてスポーツ専門店事業のメガスポーツの業績が改善、シネマ事業のイオンエンターテイメントやアミューズメント事業のイオンファンタジーなどのサービス系の各社が第2四半期に損益を改善している。

 特にイオンファンタジーでは、国内事業の戦略的強化部門と位置付けたメダル部門で積極的に導入した人気メダルゲーム機を中心に好調に推移したことや、店舗ごとに実施した価格形態の見直しが奏功し、同部門の売上げは前年同期比9.0%増と伸長。

国際事業(営業収益2231億6400万円、前年同期比1.2%増/営業利益40億1200万円、同739.4%増)

 マレーシアでは地域特性に合わせた品揃えを行うとともに、デリカ部門を強化。タイでは周辺のオフィス需要に対応した品揃えを充実。中国では1年で最も売上げの大きい春節に需要のピークに合わせた販促を実施したことなどから、全体的に計画以上の売上げとなった。

 今第2四半期はGMS、SM、サービス・専門店の事業が長梅雨による7月の記録的な低温の影響を受けて減収となったが、ヘルス&ウエルネス、総合金融、ディベロッパー、国際の4事業は増収しており、連結では増収となっている。

経営陣の意識改革の必要性

 

 低迷しているGMS、SM事業については、大変革を行っていく。しかし、12カ月連続での消費マインドの低下、10月からの消費増税により、これまで以上に消費者は価格に敏感になっていくと思われる。

 GMS事業では記録的な天候不順の影響を受けた4、7月を除くと既存店売上高前年比が100%を超えているため、今後もGMS改革のスピードを加速させ、計画の完遂を目指す。

 SM事業については足元数値の改善と事業改革を同時に実行する。増税の影響を想定した営業施策の結果を短期間で検証し続けながら足元の対策を実施。既存のコストについてはゼロから見直しを行い、緊急度と優先度を基準に実施の順番を決めて実行していく。下期には抜本的な変革が必要だと捉えており、地域のSM統合についても具体化を進めて、長期的な成長が可能な体制を早期に構築していく。

 イオンの岡田元也社長は、「従業員の意識改革だけではなく、経営陣の意識改革が必要だ」と語り、グループ全体で課題に取り組んでいく姿勢を見せた。