今年2月、セブン-イレブンの東大阪市の加盟店オーナーが本部の了解を得ず、24時間営業をやめたのに端を発し、コンビニエンスストアの本部と加盟店の不均衡な関係性も取りざたされ、消費期限切れ商品の廃棄などの問題も蒸し返され、議論が巻き起こった。

 こうした問題は今に限ったことではなく、以前から指摘されていたこと。社会的な反響の大きさもあり、各チェーンが対応に追われる事態となった。

4月25日に「行動計画」を公表

 セブン-イレブン・ジャパンは今年4月、社会構造や環境の変化に対応し、それぞれの地域における生活者の社会的なインフラとして多様性のある社会と共生し、持続可能な成長を実現していくための指針となる「行動計画」を策定した。

 同社はニーズの多様化、技術革新を背景としたさまざまなサービスが登場する中で、地域社会におけるコンビニエンスストアの役割はますます高まるとし、その一方で厳しい雇用環境が続くなど店舗経営を取り巻く環境は厳しさを増しているという認識のもと、このような消費市場および店舗経営の環境を踏まえ、チェーン運営を根本から見直し、革新していくと、宣言した。

  これは、今まで店舗経営で直面していた諸問題に真摯に向き合い、解決を図ろうとしたものだが、社会問題化する中での取り組みで遅きに失した感があり、他社も含めてその責任は大きいものがある。

9月25日にその進捗状況を発表

 そして、5カ月が経過し,9月25日、行動計画の進捗状況を発表した。改革の第一として挙げていたのが、新規出店の在り方の抜本的見直し。エリアに大量出店し、ドミナント化しシェアを拡大するのが同社の出店戦略だが、これが他社だけではなく、自社競合を招き、既存店に影響。本部は全体の売上高が上がって栄えるが、加盟店は疲弊するという構図を生み出していた。

 そこで、新規出店に当たっては将来的な人口動態などを含めた立地環境の分析をより一層、精緻化しながら、出店基準の厳格な運用を図り、既存店1店舗1店舗の経営基盤強化に注力していくとした。

 こうしたことが実現すれば、過度な競合は起こらないが、今回はこれについては触れておらず、肩透かしを食ったような感じだ。

 自社であれ他社であれ、新たに店舗ができれば既存店は必ず影響を受ける。他社に進出されないよう防衛出店もあるが、本部と加盟店が共に栄えるのが、フランチャイズビジネスの要諦である。同社に限らず、各チェーンはいま一度この問題に真摯に向き合い解決策を図るべきである。

加盟店支援策として行った16の施策

 今回はチェーン運営を根本から見直し、顧客ニーズの多様化、地域や立地における店舗経営の多様化に対応すべく、加盟店の店舗経営の支援強化に向けてさまざまな環境整備と施策の拡充を日々進めたとしている。

 セブン-イレブン・ジャパンは加盟店支援策として16の施策を行った。かねてからいわれていた、冠婚葬祭や急な疾病などで休めないことに関して、本部社員がオーナー業務を代行する制度の運用、拡充を図ったとしている。

 しかし、通常でも決まって休めるようにするが本筋であり、そうしたことが可能になるように、加盟店オーナーが休んでも、加盟店の利益を確保できるようにし、フォロオーもすべきである。

 これも深刻な問題である人手不足については、従業員派遣制度を利用できる店舗を拡大、採用の応募受付をLINEでも可能にした。だが、これも応募者が増えるよう時給を上げられるように、加盟店オーナーとの利益分配を見直すべきである。12月に導入するとしているシフト・作業割当表の自動作成システムは、オーナーの負担軽減につながり、評価できるが、利用料がかかるのかは気になるところである。

 加盟店オーナー向けに、専門家に直接質問できる労務勉強会を28カ所で開催したが、こうしたことは本来行って当然のことで、外国籍の従業員向けを含めたレジ接客研修の実施、9月からの新人研修の運用も同様である。

 店舗業務の作業効率向上や清掃時間削減のため、省人化を支援する10設備を440店舗に導入、19年度中に、フライヤー3設備を約6600店、省人化6設備を約1300店に、20年春までには自動釣銭機を全店1台配置するとしているが、これらは今後もさらに進めていくべき施策である。

 さらに、キャッシュレス決済の促進、北海道ゾーンでの新検品システムの先行テスト、食洗器の導入、直営店でのAI発注の実証実験も行った。

 こうした16の加盟店支援策を進めることで店舗での負担が少しでも軽くなるように願うばかりである。

「24時間営業問題」への対応

 営業時間短縮に関しては、セブン-イレブン・ジャパンは社会構造や市場環境の変化に即して、ゼロベースでビジネスモデルを再点検し、過去の延長で発想するのではなく未来志向でビジネスモデルの柔軟な見直しを進めていくとしている。

 現在、一部の直営店と実施希望のあった約200店舗で、深夜営業休業実証実験を継続実施中だ。実証実験で検証されるのは、売上げに及ぼす影響が主だと思われるが、これは加盟店オーナーが納得すれば済む問題である。

「コンビニの24時間営業問題」が社会問題化してから、利用者の不便ということからも営業時間短縮の是非が問われたが、それが加盟店オーナーの犠牲によって成り立つのであれば本末転倒。そもそも営業時間は本部ではなく、オーナーサイドに委ねられるべき問題である。

 セブン-イレブン・ジャパンの「行動計画」では加盟店の売上げ・利益の低下を招かないように実証実験の結果をしっかりと検証していくとしているが、加盟店オーナーが納得ずくであれば、検証する必要がないのではないかと思える。

 加盟店の利益拡大については、さらに新レイアウト店舗の展開拡大とフレッシュフードの消費期限延長の拡大をしたとしているが、これは従来からの既定路線である。

オーナーとのコミュニケーション強化は?

 本部と加盟店オーナーとの円滑な関係を保つために欠かせない、コミュニケーションの問題では、役員、部長による加盟店訪問を、4エリア272店舗で実施済みとしているが、これまで足を運んだことはなかったのだろうか。

 しかも、全加盟店を回ることは事実上不可能で、むしろOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー:店舗経営相談員)が加盟店オーナーの要望や意見を的確に聞き取って、社内において情報を共有化する方が重要である。OFCにとって不都合な情報や、面と向かって言いにくいこともあるので、ホットラインの設置も考えられる。

 また、加盟店オーナーの悩み、経営課題を調査するアンケートを全店で実施したというが、遅きに失した感が否めない。

ますます重要になる「本当のWin-Winの関係」

 4月に公表した「行動計画」では、「お客様ニーズの多様化、地域や立地における店舗経営の多様化が進む中で、お客様や地域社会に必要とされる商品・サービスを提供し続けていくには、加盟店様に寄り添い続けるという創業以来の精神がますます重要になっています。私たちは加盟店様の満足度向上につながり、安心して店舗経営に専念していただけるよう、環境整備と施策の拡充に今後とも力を注いでまいります。大きな環境変化の中で、加盟店様と一体となって新たな成長力を生み出すべく、未来志向で次のステップを切り拓いてまいりたいと考えております。」と宣言した。

 セブン-イレブン・ジャパンに限らず、フランチャイズチェーン本部は「加盟店ファースト」で考えて施策を行えるか、そして本当にWin-Winの関係を保てるかである。本来、加盟店オーナーと本部は対等であるべきで、「寄り添う」というのは上から目線。加盟店に寄り添うのではなく、共に歩んでいくべきである。

 小売業界においてコンビニも転機を迎えており、ビジネスモデルの変革が求められている。だからこそ、今が好機である。未来志向で次のステップを切り拓いていくためには、さらなる次の一手が求められている。