《今回の相談内容》(東京都 M・I 22歳)

「極度のあがり症の私に上司が『そんなときは、人という字を手のひらに書いてのみ込め』 とアドバイスをくれましたが、そんなおまじないが果たして効くものでしょうか」

 

 キットカットという商品名のお菓子が受験生にもてはやされたことがありました。キットカットという音の響きが「きっと勝つ」に似ているところから、それを食べればおまじない効果で緊張がほぐれ、受験戦争にも打ち勝つことができるという、うわさが広まったからです。

 人前でのスピーチやプレゼンなどの緊張する場面で、人という字を手のひらに書いてのみ込むことは、緊張をほぐす定番のおまじないの一つです。定番ということは、それだけ多くの人に認知されているということでもありますね。

 ことほどさように、人はおまじないや縁起かつぎに運命を委ねたくなる瞬間があるようです。中には、幸運のお守りを身に着けて、運気をアップさせようとする人もいることでしょう。

 しかし、それって本当に効果があるのでしょうか。実は、「意外と効果がある!」ということが心理実験で確かめられているのです。実験を行ったのは、ドイツのケルン大学研究チーム。

 まず、実験の参加者にやってもらったのはパターゴルフでした。その際、半数の人には「あなたの打つボールはラッキーボールです」と知らせました。すると、それを聞いた参加者は10球のうち平均で7球近くをカップインさせたのです。

 同じことを残りの半数の人たちは何も告げられずに行いました。すると、カップインする成功率が5割以下に減ってしまったというのです。つまり、ラッキーボールだと知らされただけで、20%も成功率が上がったということ。

 また、トランプ遊びの『神経衰弱』に似たゲームをやらせた実験では、ラッキーアイテムを持っている人の方が、持っていない人より30%も記憶力が良かったという結果が出たそうです。

 たかが2、3割と思う人がいるかもしれませんが、いざというときの2、3割の違いは結果に大きな差が出ることがあるのでばかにはできません。その他にも、実験に協力してくれた人たちに「あなたのために幸運を祈ります」と、指をクロスするマークを見せたところ、それだけでそのグループの仕事の効率が上がったという実験結果も報告されています。

 そうしたプラスの効果が生じるのは、まさに自己暗示のなせる業。しかし、自己暗示はプラスにもマイナスにも働きます。「ただの気休め」「子供だまし」「効果はない」などと疑っていると、効果は減るどころかなくなってしまいますし、マイナスに働くことだってあります。

 ですから、おまじないや縁起担ぎは、その効果を素直に受け入れることが大切。受け入れるだけでなく、信じる気持ちが強ければ強いほど、効果も強くなります。まさしく信じる人こそが救われるのです。それをお忘れなく。