園児を持つ母親は『昼食と夕食をダブらせたくない』

鈴木:「商売する上で、生活感って大事だよね」

木村:「そうだね。でもその生活感を持っているビジネスマンは少ないね」

鈴木:「うん。でもそこを補ってくれるのが、職場のパートさんなんだ」

木村:「それはどんなパートさん?」

鈴木:「あるスーパーマーケットでは入り口付近に周辺の幼稚園の昼食の献立表を貼り出している。そのキッカケを作ったのがパートさんだ」

木村:「どのようにしてそのキッカケは生まれたの?」

鈴木:「青果部門のパートさんが売場で品出し作業をしていると2人連れのママさんが入店してきた。」

木村:「それで?」

鈴木:「そこで、そのパートさんが耳にした会話がこんな感じ。

 一方のママさん『そういえば、幼稚園の今日の献立、覚えている?』

 もう一方のママさん『何だったかしら、思い出せない』 」

木村:「そうだね! うちも冷蔵庫の壁に小学校の献立表を貼ってあるけど、店舗まで持っていかないね」

鈴木:「そう、このパートさんも自分が子育て中に、同じ体験をしたことを思い出した。店舗に行って、今日の献立を思い出せないことを!」

木村:「それから、パートさんはどうしたの?」

鈴木:「このパートさんは店長に提言した。入り口付近に幼稚園、小学校の献立表を貼ることを!」

木村:「それで、この店長は行動に出たんだね。この店長も偉いね!」

鈴木:「え、どうして?」

木村:「だって、気が利かない店長であれば、『そんな小さなこと、やったって意味ない』と言うでしょ」

鈴木:「そうだね。業績の悪い店舗の店長ほど、小さなことをバカにする。小さなことに気が付いて、改善することの重要性を知らないんだ」

木村:「うん、お客さまにアンケートをすると店舗への良い、悪いの評価をしっかりしてくれるけど、その理由は答えてくれないんだ。お客さまは評価の理由まで認識していない」

鈴木:「お客さまの無意識の意識に働き掛けるのが、この小さいことに気が付いての改善なんだね」

木村:「そう、お客さまは店舗での小さい改善の積み重ねを感じることで、良い店舗と評価してくれる」

鈴木:「小さなことに気が付いて、店舗が改善してくれると『あっ、そこまで気が付くんだ』と思えて、うれしいよね」

木村:「だから、自分の生活体験から提案してくれるパートさんは大変ありがたい」

鈴木:「パートさんは大事にしなきゃね!」

 ビジネスマンの中には生活感の無い人が結構存在します。単身生活をしている、家庭を持っていないなどの理由で自身での買物機会が少なく、職場と自宅を往復するのみの人を多く見掛けます。

 このようなビジネスマンは職場のパートさんとのコミュニケーションから生活者の感覚を磨きましょう。パートさんの意見だけでなく、旦那さん、お子さんの感想などを聞くことも大変有効です。

新聞折り込みチラシの見方

木村:「生活感といえば、主婦の家庭での折り込みチラシの見方を研究することでチラシの内容を変えた企業がある」

鈴木:「それは正に、生活感研究だね。でもお客さまの家庭での折り込みチラシの見方はなかなか見られないよね」

木村:「キッカケは自分の嫁さんの折り込みチラシの見方だったらしい」

鈴木:「気が付く人は自分の嫁さんも研究対象なんだ」

木村:「実は、この話を聞いて、僕も嫁さんを確かめたら、同じだった」

鈴木:「じゃあ、うちも同じかも。で、どんなチラシの見方していたわけ?」

木村:「新聞から折り込みチラシを取り出すと、まず見るチラシと見ないチラシに分ける」

鈴木:「うん、ウチもそうかも」

木村:「次に見ないチラシを横において、見るチラシの中から1枚取り出し、他のチラシを見ながら、必要情報(底値情報)をそのチラシに転記していく」

鈴木:「へぇ、情報を集約するチラシがあるんだね」

木村:「そう、このチラシが台所に残るチラシとなって、冷蔵庫に張られる」

鈴木:「他のチラシは残らない。既に情報は集約されているから」

木村:「このチラシは赤の一色刷りで表形式、紙質も悪い。でもボールペンで記入しやすいという特徴がある」

鈴木:「だから、紙質が悪い赤一色刷り表形式チラシは台所に残るチラシなんだ」

木村:「そう。そこで、この企業は折り込みチラシをカラー写真製版で上質紙使用から、赤の一色刷りで表形式、紙質も悪く変更した。結果はコストが下がり、お客さまの来店頻度が上がったそうだ」

鈴木:「チラシが台所に残るから身近に感じ、ちょっとした買物はその店舗になるんだね」

木村:「それで、買物頻度が上がるんだね」

明日はゴミの日じゃないから生魚を買わない

木村:「先日、スーパーマーケットのチーフから研修活動の報告を受けたのだけど、衝撃的な事実を聞いたよ」

鈴木:「またまた、木村くんは大袈裟なんだから」

木村:「いや。若いママさんの生活感がここまできているとは思わなかったよ」

鈴木:「どんな衝撃的事実だったの?」

木村:「若いママさんと小さなお子さん連れが売場にいて、そのお子さんが鮮魚売場の小魚パックを指でツンツンしていたそうだ」

鈴木:「そんなこと、よくある話じゃないか!」

木村:「いや、そのママが子供を叱った、叱らないの話じゃなくて。衝撃的一言を発した」

鈴木:「へぇ、どんな一言?」

木村:「そのママはこう言ったそうだ、『明日はゴミの日じゃないから、お魚はだめよ』と」

鈴木:「そうなんだよ。マンションに住む人やゴミの分別に厳しい地区に住む人はゴミの日を大変気にするんだ。ゴミの日がメニューを決めてしまう」

木村:「そこまできているかね!」

鈴木:「あるスーパーマーケットでは、明日がゴミの日に生魚などゴミが出やすい商品を売り込んで、通常の1.5倍売ったそうだよ」

木村:「……」

 気が付く人は生活感を大事にします。生活感を磨くための方法は自分で買物したり、ウィンドーショッピングをすることです。そこでうれしく思うことや嫌だなと思うことをしっかり認識することが大事です。

 しかし、そんな時間さえ取れないという人もいます。そんな人は職場のパートさんから情報収集します。『最近、買物に行って感じたこと』や『ご主人、子供さんが言っていること』を聞いてみます。こんな情報からこの家族がどんな時にうれしく思い、どんな時に嫌だなと思うのか想像していくのです。