「ライフスタイル&テクノロジー」を事業領域に定め、アパレルだけにとどまらない多様性に富んだグローバルな企業を目指すストライプインターナショナル。最近は企業買収も進め、グループ売上高は1200億円を超える。同社の石川康晴社長兼CEO(最高経営責任者)にこれからの事業戦略について聞いた。

(聞き手/『ファッション販売』編集長・西岡克)
photo/杉田容子
石川康晴(いしかわ やすはる)

 1970年12月15日岡山市生まれ。91年岡山ビジネスカレッジを卒業後、青山商事に入社。94年婦人インポートセレクトショップを開業。95年クロスカンパニーを設立し、社長に就任。99年「アースミュージック&エコロジー」1号店を岡山OPAに出店。2000年に東京に出店し、多店舗化を開始。08年岡山大学経済学部に社会人入学し13年卒業。14年京都大学大学院に入学、現在在学中。16年3月ストライプインターナショナルに社名変更。趣味はマラソン、ランニング、テニス、料理。

 

 ――2017年1月期は単体では最終赤字になった。この要因は。

 石川:投資です。スマービー(本社東京)という子供服のEC(電子商取引)のプラットフォームを16年10月に買収した他、「ストライプクラブ」という自社ブランドのインターネット通販にもかなり投資しました。また18年、19年以降につくるグループ会社に向けてIT人材を今かなり採用しています。

 後は婦人服専門店のアルファベット パステル(札幌市)の買収前のデューデリジェンス(資産査定)とか、同時並行でM&A(合併・買収)が二、三動いていますのでその調査費などです。

 ――今期に入って9カ月(2~10月)。既存店の状況は。

 石川:特にこの秋から冬に向かっては結構調子がいいです。早く寒くなるとニットやコートが動きます。既存店は9カ月トータルでは前年並みでしょうか。

「アメリカン ホリック」絶好調 将来は第3の柱ブランドに

 ――特に好調なブランドは。

新しい稼ぎ頭になっている「アメリカン ホリック」。大人の女性の日常着としてSCに店舗を広げている。

 石川:16年2月にスタートした「アメリカン ホリック」は絶好調で、直近では既存店前年比で200%に近い伸びです。アパレルは4年くらいで損益分岐点に達し、残りの5、6年で刈り取って、10年くらいで失速していくというパターンが多いのですが、2年目の17年に黒字が確定しました。競合各社が新ブランドを開発しないのでリニューアルする全国のショッピングセンター(SC)から引っ張りだこになっています。

 当社では売上高が300億円規模のブランドが「アースミュージック&エコロジー」(以下アース、国内店舗数は10月末で285店)と「グリーン パークス」(同356店)の2つありますが、将来「アメリカン ホリック」は確実にそれに並ぶような勢力になるでしょう。

 一方で「メゾン ド フルール」も好調です。ルミネの新宿店と有楽町店では開業から坪効率で100万円を割ったことがない。13年8月から展開を始め、もう4年で店舗数は29店(10月末現在)になりましたが、年間通すと2桁増です。雑誌の広告やテレビのCMなど大型のマス広告は比較的抑え、今の若者の独特の感性にマーケティング活動を合わせた結果、トレンドの先に動くような高感度なユーザーがお気に入りブランドとして自発的に拡散してくれています。

 今期の売上げは30億円に届きそうで、営業利益率も10%近くまで見えてきています。平均店舗面積が12坪という小型店なので在庫量も絞れるし1店舗当たりの投資額も少ない。キャッシュカウ(少しの投資で利益が出る事業)というか、かなりお金を生んでくれそうな業態です。

 ――ギフト需要が多い。

 石川:自家需要が4割、ギフト需要が6割です。自家需要では化粧ポーチ、トートバッグやレザーのバッグ、ギフト需要ではハンドクリームなどのケアコスメ、ハンカチが売れています。

 ――「アメリカン ホリック」が好調な理由は。

 石川:コストパフォーマンスです。「ジーユー」やネット系の低価格ブランドなどアパレルのデフレがなかなか止まりません。そこで原価を上げようという戦略を取りました。通常アパレルは大体30~40%の値引き率を織り込んでいます。「アメリカン ホリック」は値引き率を抑えてその分原価を上げることによって、「ジーユー」と戦える価格を実現でき、同じ価格のライバル企業よりも高品質なものができるようにしました。

 ターゲットはF1層(20~34歳の女性)でも上の30代前半から中盤。販売チャネルはSC。早い段階からゾゾタウンにも出店し、ECをデータを取り込むマーケティングの柱にしながら、直営店に送客もしてECにも送客する。店舗数はSCを中心にたった2年間で69店(10月末現在)まで増えました。

 ――新ブランドでは目覚ましい成長だ。

 石川:ブランドマネジャーである浅見幸宏のアナログ的な商売人精神が非常に強いリソース(資源)だと思っています。彼の発注には選択と集中がある。専門店のオーナー兼バイヤーのような勝負師的な発注ができる人間です。

 会社にはPOS(販売時点情報管理)データもあり、マーチャンダイザーは前年や前シーズンの実績データを基に計画するのですが、浅見は本能的な感覚を会社側から提供されるデータと足し合わせて、かなりダイナミックにめりはりのある発注をするのです。

 ――浅見さんは元ハートマーケット(前橋市)の経営幹部でしたよね。

 石川:はい。浅見だけでなくサキヤクリエイト(岡山県倉敷市)の元社長の稲垣直子がセレクトショップ「ガレージ オブ グッド クロージング」を手掛けるために当社に合流してきました。今後は地方の専門店を離れた役員クラスが大手アパレルに合流して1セクションを立ち上げる動きが広がるかもしれません。