いつから実施するのかなかなか決まらなかった消費増税だが、ついに10月1日、8%から10%に引き上げられるとともに、日本初の軽減税率制度が導入される。

 日本最大級のチラシ・買物情報サービス「トクバイ」を運営するロコガイドでは、2019年8月に20代~70代の「トクバイ」を利用する生活者833人を対象に、増税前の意識調査を実施した。

 その調査結果を踏まえ、今回の消費増税の影響や課題を、最終確認しておきたい。

間近に迫っても、軽減税率を理解している人は約4割

「軽減税率制度」の認知状況の調査では、8月の時点で、「内容まで理解している」と答えた人は39.9 % 、「名前は知っている/聞いたことがある程度」が57.0% 。そして驚くべきことに「名前も聞いたことがない/知らない」と答えた人が3.1%いたことだ。日常的にスーパーマーケットやドラッグストアなどを利用する、買物に対する意識が高い「トクバイ」ユーザーにして、この認知率で、同社の広報を務める杉田園佳さんも、「生活に密着する消費税にもかかわらず、『トクバイ』ユーザーで知っている人が約4割というのは少ないと感じました」と話す。ということは、世間一般では、さらに認知度が低いと考えていいであろう。

「軽減税率制度」に対する印象では、「肯定的である」が16.3% 、「どちらとも言えない/わからない」が53.2%、「否定的である」が30.5% 。肯定的な人は「仕方がない」と捉えているようだ。どちらとも言えない/わからないという人からは、「税率の違いが把握でできていない」「慣れるまで少し時間がかかりそう」、否定的な人からは「内容が分かりにくいし複雑」「ややこしい」「対象条件が細かいので間違いが多くなりそう」といったコメントが聞かれた。

「確かに、食品は8%ということは分かる人が多くても、食品と思われる商品でも、食品部分の割合で食品に分類されなかったり、店内で食べれば10%、テイクアウトなら8%といっても、テイクアウトとして購入し、店内で食べたらどうなるのかという疑問もあり、軽減税率制度は初めてということと相まって、私どもから見ても非常に分かりにくい」と、同社 広報・サポート室の齋藤慶子室長。

 実施間際になって、テレビの情報番組でも連日、軽減税率制度を取り上げているが、コメンテーターやアナウンサーも、正確に理解していないのが実情で、今回の調査で内容まで理解していると答えた人でも、果たして、細部まで理解しているのかは疑問だ。

軽減税率の煩雑さ、分かりにくさに生活者は混乱

 分かりにくいものの一つが、食品と食品以外のものがセットになった商品だ。セットの価格が税抜き1万円以下で、かつ、価格に占める食品の割合が3分の2以上であれば、食品同様、軽減税率の対象になる。

 一例を挙げると、おまけ付きお菓子の食玩は、お菓子部分の価格が3分の2以上なら軽減税率の対象となるわけだが、メーカーも価格の割合を明確に把握しているわけではなく、線引きが難しい。そして、増税後は消費税率8%の食玩と10%の食玩が混在するわけで、棚割りを工夫しないと生活者は混乱するだろう。「子供は消費税のことなど考えませんから、売場で親は大変だと思います」と齋藤室長。

 陶器やガラスのカップや容器に入ったお菓子なども同様であるし、あるテレビ番組で取り上げていたが、おせち料理も単価が1万円以上の商品や、高級な重箱入りで価格の3分の1以上を容器代が占めると、軽減税率の対象から外れてしまう。

 齋藤室長は「さらに分かりにくさに拍車を掛けているのが、キャッシュレス決済へのポイント還元(キャッシュレス・消費者還元事業)です」と話す。

 中小・小規模事業者で、クレジットカードなどを使ってキャッシュレスで決済するすると、5%、もしくは2%が還元されるというものだが、どの店舗が対象店なのか。また、2%の還元か5%の還元かも、生活者には分かりにくいし、還元額の上限もあったりする。

 政府は、消費増税の痛み緩和とキャッシュレス化促進を狙っているが、「今回の調査で、増税後、どのような行動の変化を想定しているかという質問項目があり、キャッシュレス化への積極的な移行が見えるのではと思っていたところ、意外に消極的でした。『トクバイ』ユーザーはやや年代層が上ということもあるのかもしれませんが、キャッシュレス化がどこまで浸透するのか疑問です」と杉田さん。

 齋藤室長も「キャッシュレス決済でお得になるならばと、移行への意思も見え隠れするのですが、7payのこともあり、慎重になっている一面もあるようです」と話す。