《今回の相談内容》(大阪府 S・H 41歳)

「私の欠点は気が短いこと。部下が思い通りの結果を出せないと、すぐにキレて暴言を吐いてしまいます。自分の感情を上手にコントロールする方法はないものでしょうか」

 

  人間に感情というものが備わっている以上、誰だって怒りに駆られることはあります。虫の居所の悪いときもあれば、思わずカッとなってしまうこともあるでしょう。しかし、怒りをコントロールできないと、つまらないことでイライラしたり、相手に当たってしまったりして、日常生活や仕事でも支障を来してしまうことが多くなってしまいます。

 今年、にわかに問題となった“あおり運転”も、怒りの感情を抑えられない人たちによる蛮行といえるでしょう。そんな厄介な怒りの感情のコントロール方法を論文にして発表した心理学者がいます。

 オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学のトーマス・デンソン博士がその人。博士によれば、利き手と反対の手を意識して使うことで、自制心をつかさどる脳部位が刺激を受け、いつの間にか怒りをコントロールできるようになるというのです。

 つまり、右利きの人は左手を、左利きの人は右手を意識的に使うようにすればいいということ。しかも、食事や筆記のような難しいことではなく、パソコンのマウスを扱う手、飲み物をかき混ぜるスプーンを持つ手、ドアを開け閉めする手を利き手と反対の手にする。たったそれだけで効果があるのだとか。

 博士の行った実験では、感情を害する言葉を投げ掛けられた被験者のうち、怒りっぽい人ほど相手への復讐感情が生まれやすく、脳をスキャンしてみた結果でも脳の怒りに関係する部位の活動が活発になったといいます。

 そんな怒りっぽい被験者に2週間、利き手と反対の手を意識的に使ってもらったところ、自制心をつかさどる脳部位の働きが促され、攻撃性が低下したというのです。にわかには信じられないかもしれませんが、こんな些細な変化だけで、私たちの脳は劇的に変わる可能性があるということ。

 人間、誰しも怒りを覚えることはあります。しかし、それでカッとなったりイライラしてもいいことは何もありません。感情的にならず穏やかな心を保てれば、一歩引いた視点から冷静に問題を解決できるし、人間関係で無用のトラブルを起こすこともなくなります。

 そんな穏やかな心が左手(左利きの人は右手)の使用という簡単な方法で手に入るのだとしたら試さない手はありませんよね。自分の気の短さに手を焼いている方、自覚している方は、これから意識して利き手と反対の手を積極的に使ってみてはいかがでしょうか。