屋上で育てた無農薬ハーブを販売していく

 変化が早く、大きな時代。留まっていては時代に取り残されてしまうのは小売企業も同じ。その点、このお店は常に変化し、顧客に新しいものを提供するために、さまざまなことを実施している。

 

 その1つが、「銀座ロフト」が入るビルの屋上、ルーフガーデンで育てた無農薬ハーブを使ったモヒート。8月30日、初収穫祭ということでモヒートナイトを行った。モヒートに使うのは屋上で育ったイエルバ・ブエナ。カクテルベーススピリッツは日本発の大麦麹を100%使い、天然ボタニカル素材を使った和のスピリッツ、ワピリッツ「TUMUGI」。グラスは石川県でつくられた「サステナブルワインカップ」。こちらはガラスのように透明なトライタン樹脂製で20℃から100℃まで耐えられ、飲み口が薄く、結露まで考慮されている。日比谷Barのバーテンダーによるスペシャルモヒート(800円)は、モヒート好きではない私でもおいしく頂けた。モヒート好きな方は「ミントがグラスに残っているのがもったいない」と後ろ髪を引かれていたようだ(笑)。

 屋上をのぞいてみよう。ルーフガーデンにはレモングラス、ミント、バジル、タイム、イタリアンパセリ、ローズマリーが植え付けられていた。6月28日に植え付け、夏の暑さで一時はどうなることかと思ったが、持ち直したという。

 

 今後ここで育てられたハーブは館内のカフェやイベントメニュー、食材としての販売などを計画し、収穫量が増えたら館内のレストランフロアの店舗や近隣、周辺飲食店へ販売していきたいと考えている。

「銀座では、屋上でとった『銀座のはちみつ』というのが有名で、さまざまな商品展開をされています。一緒に手を組んでやっていけたらとお話しさせていただいています」(同)。

「銀座ロフト」は、ロフトの他の店舗より陳列してある商品の単価は高いが、場所柄、年齢層も高い。ロフトのターゲットは30歳前後が中心だが、こちらは銀座が好きな40歳前後。少しお高めなものでも買える世代だ。客数も増え、売上げも150%に伸びている。顧客が興味ひかれるイベントを打ち続けようと、動き続けている。

『なにかある』『きっとある』売場づくりにこだわる

 先日は、若い女性を中心にInstagramフォロワーが30万人を超える女性シンガーソングライターBABY KIY(ベイビー・キイ)さんのスペシャルライブを1階カフェで開催した。所属するエイベックスが開発し、彼女がアンバサダーである飲む夏の美容ケアサプリ「アオパレ」購入者に優先観覧整理券を配布したところ、30席のカフェには立ち見が大勢出てにぎやかな一夜となった。

 9月1日には、15年連続ロフトの手帳売上げ1位の「ほぼ日手帳2020年版」発売記念イベントとして、糸井重里さんとヒロシのトークイベントを開催。同時に関連商品を160種類販売した。

 常にこうした新企画を実行していくことで、顧客が目が離せない状態にし、来店頻度を高めるという循環ができるだろう。

 ロフトの安藤公基社長は西武百貨店に入社し、渋谷西武ロフト館の立ち上げから関わってきた人物。「最初、渋谷ロフトをどんなコンセプトにしようかと考え抜いた末にたどり着いたのが、機能・用途一辺倒の売場ではなく、トレンド発信を意識した編集型の売場でした。目的購買型ではなく、時間消費型の売場づくり、そこから生まれたのが『時の器」というコンセプトです。時代のニーズや空気感、トレンドなどをしなやかに切り取り、売場や商品を通じて提案していくことで、目的がなくても楽しめる店づくりを心掛けました」と語っている。

 2018年12月現在、ロフトは全国116店舗に広がっている。「売場面積や品揃え、売場の見せ方はその地域のマーケットに合わせてさまざまですが、『なにかある』『きっとある』という売場づくりのこだわりは全店舗に共通しています。新しいモノやコトに出合える、期待に応える店づくりを心掛けている」(安藤社長)と語り、来年は海外に初めてFCではない直営店をつくる予定だ。その時代の空気に応じて柔軟に素早く対応していく姿勢そのものがロフトらしさといえるだろう。

 取材に伺い、自由に発言できる社内の空気を感じた。この自由さがロフトのパワーとなり、商品の編集とディスプレーで新しい提案をし、その店でしか出合えないモノやコトをあふれさせる力になるのではないか。一歩先の商品を、常に新しい生活提案で発信し、今の時代を生き抜く雑貨店がどうしたらよいのか。社員一人一人が必死で考え抜けば、何か活路が見えるかもしれない。そんな希望を持つことができた。