生活雑貨とは切り離せない「食」を扱うことにした

 約30年前、「渋谷ロフト」は一世を風靡した。1987年当時、西武百貨店は飛ぶ鳥を落とす勢いで、渋谷店横にオープンさせた生活雑貨の専門店「シブヤ西武ロフト館」(現・渋谷ロフト)は、おしゃれで見たことがないものが並び、新しいライフスタイルを提案していた。若者たちの間では、ロフトを使いこなせることが、最先端の証だった。

 そして今、「銀座ロフト」が面白い。次々に新しい仕掛けが繰り出され、売場に楽しさが満ちている。

「銀座ロフト」は、2017年に次世代型旗艦店として誕生した。ここには体験やイベントや驚きがある。2019年4月に増床。増床に伴って「食」のフロアが登場したが、ロフトが「食」を扱うのは初めてだ。そして全館、エコロジー、オーガニック、フェアトレード、サスティナブルなどをテーマに展開している。

 なぜ、今、雑貨店が「食」なのか。その秘密を探りに行ってきた。

 

「銀座ロフト」館長の掛井賢治さんは言う。「今、銀座2丁目、3丁目が賑わいを見せています。今までは銀座の端だったところに、人が歩いている。東急ハンズ、ニトリ、無印良品と雑貨店が集結し、相乗効果を上げています。私どももリニューアルオープンから4カ月。次々に仕掛けて、予想を上回る売上げで、客数も増えています。銀座ロフトは、他にはない商品展開をし、新しいものに驚いていただきたい。そこで、生活雑貨とは切り離せない『食』を扱うことにしました」

 今までロフトでは扱ったことのない「食」。どこにでも並んでいるものでは駄目だ。新しいものを置くために、自分たちで見つけたものを仕入れることにした。本部の健康雑貨を扱う担当者たちからはオーガニック食品の提案があったり、雑貨視点で広がるさまざまな情報を得て商品を集め、「雑貨感覚のある『食』」の集積」(同)にした。

初のカフェは開店から閉店まで寄りやすい工夫

 ロフト初のカフェ「ロフトフードラボ」も併設した。どのような形態にするか試行錯誤した結果、館長のネットワークで声を掛けた店舗に業務委託することになった。

「スーパーアイスクレマリー」のアイスクリームは、玄米ミルクやココナッツミルク、アーモンドミルクに、厳選されたフルーツを使ったナチュラルなアイスでヴィーガンでも食べられる。ブルーのソフトクリームはスーパーフードであるスピルリナ(藻)の自然の色。

 

「ガーデンハウスクラフツ」は、自家製酵母でつくるパンとスイーツ、ドリンクを扱う。

 京都発のサワー専門店「サワー」は、フレッシュフルーツの素材を使い、アルコールありとなしを選んで注文できる。

 ここも常に変化し、メニュー開発を行い、現在はオープン当初はなかったカレーや惣菜なども出すようになり、ランチ需要にも応えるようにしている。

 さらに、ハッピーアワーも開始。通常のハッピーアワーは夕方の時間帯だが、こちらのハッピーアワーは夜7時から閉店の9時まで。普段は800円のアルコールが500円(税抜き)になり、仕事帰りの人たちが気軽に立ち寄れる。

「いつでもイートインスペースのあるコンビニ感覚で寄っていただければと思います。コーヒーは500円しますが、近所にはカフェがありませんので、気軽にお使いいただいています」(同)。また、冷蔵ケースの中の飲み物を、ここで飲むこともできる。私が取材で伺った日も、数人のマダムたちが談笑していた。

雑貨と食をセットにし、ギフト需要も開拓

 こうした取り組みの背景には、小売店としての危機感が潜んでいる。何でもネットで買える時代。顧客にわざわざ足を運んでもらうには、来店して楽しかったり、新しかったり、見たことがないものが並んでいる必要がある。

 百貨店も厳しいが、デパ地下は好調だ。そこで掛井館長が注目したのが「食」だった。

 確かに売場を歩くと、ここには他の店では見掛けない商品が数多く並んでいる。しかも、1階の食のスペースでは、食品が雑貨と混在して置いてあるのだ。パッケージがかわいくプレゼントとしてそのまま使えるものや、雑貨と一緒にセットにできるもの、日常のギフト提案をしている。

 店内に入るとまずポップアップショップがあり、8月30日現在、開催されているTAKANOフルーツパーラーとのコラボレーション企画「ロフトフルーツパーラー」は発売後、早々に好調な売れ行きでコラボレーション商品はほぼ完売。新宿高野のゼリーやお菓子の他に、フルーツ柄の雑貨を並べていた。

(この商品は食べられません)

 また、今年はラグビーワールドカップが開かれるため、ラグビーをモチーフにしたビールのコーナーもある。

 

 常設の棚には、おしょうゆと小皿、レトルトカレーとカレー皿、ラーメンと丼が隣り合わせで並び、一粒ずつの梅干しの詰め合わせをつくれるのも面白い。  

 

 そうした食品と同列にあるのが、BIO HOTEL JAPANの唯一の常設ショップのコーナー。ヨーロッパのビオホテル協会の公認を受け、既存の認証基準にとらわれない独自の厳しいガイドラインを設定し、食材や食品、生活雑貨等、人と自然に優しいオリジナル商品とセレクトプロダクツが並ぶ。

プラスチックと金属を使わない土に還るスニーカー

 アメリカのアウトドアメーカー「パタゴニア プロビジョンズ」のコーナーもある。環境に配慮した製品開発や、環境保護に積極的に取り組んでいるこの会社がおいしさと原材料にこだわった食品シリーズを提案している。特に、ここで販売しているパタゴニアのビールは人気商品だ。世界で初めて多年生穀物カーンザからつくられたもの。

ビールは2種類

 特別なパッケージやロフトカラーの黄色を使った「銀座ロフト」オリジナル商品は、ほぼ完売。オリジナルの黄色一色のパパブブレのキャンディや松崎せんべいもなかった。残念。