ジーンズ売上げはどう推移したか

 ジーンズカジュアル専門店といってもジーンズばかり売っているわけではないし、今やジーンズをほとんど扱わない店もある。売上高のうちジーンズがどれほどを占めていたか、ライトオンの00年から19年(いずれも8月期、図表は04年以降)までの推移を追ってみた。

 

 紳士服専門店大手の青山商事やAOKIのファッション事業が決算期ごとにスーツの販売着数や売上げを公表しているのに対し、「ユニクロ」や「GU」がPBジーンズの販売本数をたまに公表することがあっても、ライトオンをはじめとするジーンズカジュアルチェーンはどこもジーンズの販売本数や売上げを公表しておらず、売上構成におけるボトム比率から類推するしかない。

 ライトオンのボトム比率は02年の39.1%がピークで、04年も38.6%と高かったが以降はじりじりと低下し、08年以降は32%台から34%強を行き来している。そのうちジーンズがどれほど占めるか、ジーンズ協議会生産統計のボトムに占めるジーンズ比率から類推してみた。

 

 協議会統計のボトムに占めるジーンズ比率は03年の96.2%がピークで、以降はじりじりと低下して09年には88.8%と大台を割っているが、大底は11年の88.5%だった。ライトオンのボトム比率に協議会の前年ジーンズ比率を掛けてジーンズ比率を推計するとピークは04年の37.1%で、08年には31.0%まで落ちている。協議会の統計は12年までだから以降は88%弱と見ると、近年は28〜29%台で推移している。「米国のライトオン」といわれる「バックル」のデニム売上比率は年々低下しているとはいえ19年1月期でも41%(前期は41.5%、前々期は42.2%)と、ライトオンより一回り高い。

 それをライトオンの売上高に掛けるとジーンズ売上げが推計できるが、それによるとジーンズ売上げは02年の192.5億円から07年には358.5億円まで伸びた後、急落して11年には237.3億円まで落ち込み、翌年には256.2億円まで回復したものの以降はじりじりと減少して19年は220億円程度まで落ちていると推計される。

 ライトオンのジーンズカジュアル専門店売上高に占める比率はピークの07年度で33.0%、19年は31.8%と推計されるから、ジーンズの専門店市場規模はピークの07年度の1086億円程度から19年は693億円ほどまで落ちたと推計される。

 ジーンズ売上高については「1000億円強」という数字が独り歩きしているが、それはNBジーンズの小売市場規模であって、ジーンズカジュアル専門店以外に量販店や百貨店の売上げも含むが、693億円というジーンズカジュアル専門店のジーンズ売上高から類推すると大台を割り込んでいるかもしれない。

5000万本を割ってPBジーンズが大勢に

 ジーンズ市場全体の売上規模を推計するにはPBジーンズ売上高を推計する必要がある。ジーンズ協議会の集計に入らないPBジーンズがどれほどの数量かは全く統計がないが、各種の消費者調査から今や購入数量の過半がPBジーンズであることは間違いない。

 ジーンズ協議会のNBジーンズ生産量がピークだった00年頃は「ユニクロ」がようやくPBジーンズに本格的に取り組んだばかりで、当時のNBシェアを90%と見れば市場規模は7900万本ほどだった。そこから05年にかけてジーンズ市場は急成長して一説によれば9500万本(繊維流通研究会)まで到達したとされるが、協議会の生産数量は逆に7100万本強から6630万本まで減少している。同年にユニクロのPBジーンズが1000万本に到達したことを考慮してもPBジーンズが2870万本まで増えてシェアが30%を超えたとは思えないから(ジーンズ協議会は20%程度と見ていた)、ピークは9000万本、PBジーンズシェアは26%強まで伸びたと推計したい。

 ジーンズ協議会の生産数量はその後、10年の3989万本までつるべ落としに急落し、ジーンズカジュアル専門店売上高も07年のピークから11年にかけて24%も縮小している。09年には「GU」が990円ジーンズを発売して100万本を売り上げ、11年には「ユニクロ」のジーンズも1200万本に達しているから、協議会生産数量が4000万本前後で横ばいとなった10〜12年頃は手軽なPBジーンズに需要が移って3000万本に達し、市場規模は7000万本ほどでいったんは落ち止まったと見られる。

 今日のNBジーンズ生産数量はつかめないが、ジーンズカジュアル専門店のジーンズ売上高が12年から19年上期にかけては86%に減少していること、ジーンズカジュアル専門店もPBジーンズを拡大していること、15年以降はジャージや合繊クロスのトラックパンツがジーンズを駆逐していることを考慮すれば、PBジーンズが3000万本を維持する一方でNBジーンズは2000万本を大きく割り込んでシェアが逆転し、市場規模は5000万本を切ったと推計される(ジェトロや倉敷ファッションセンターの報告書を参考)。

 ジーンズ市場はブームのピークから半分近くまで縮小し、手頃なPBジーンズに交代してNBシェアが90%から40%を割り込んだのが実態で、ピークから減少した4000万本はジャージやシャカシャカ素材のトラックパンツに交代したと見られる。ではジーンズの本場、米国ではどうだったのだろうか。

[9月11日公開の日米比較編に続く]