記録的な日照不足となった7月。上場小売業各社では同月の営業状況が発表された。スーパーマーケット(以下SM)のベルクの既存店は2013年5月以来、74カ月間継続した売上高前年超えの記録が途絶えた。そしてセブン-イレブンは全店売上げが前年同月割れとなった。

 SMのベルクの7月の既存店売上高前年比は98.5%(客数97.8%、客単価100.7%)。前年よりも伸びを継続させた74カ月の間、消費増税前の駆け込み需要の反動があった14年4月、季節外れの台風に悩まされた17年10月など各社が不振に苦しんだ月も乗り越えただけに、今年の7月の気象がいかに深刻であったかが分かる。

 今年は10月に第3次消費増税を迎え、消費者の節約意識が高まること、また中小規模事業者対象としたキャッシュレス導入によるポイント還元事業による競争激化も予測されることもあってか、同社も今期の既存店の伸びは若干のマイナスを見込んでいた。とはいえ、7月の気象の影響と数値は予測に織り込んでいただろうか。

セブンの既存店対策と新規出店抑制が減少要因

 驚くのはセブン-イレブンである。既存店売上高前年比は96.6%(客数94.4%、客単価102.3%)、全店売上げですら98.8%と前年割れとなった。先のベルク同様に客単価は若干超えているものの、客数の減少幅が足を引っ張った。

 既存店伸びは1店当たりの営業力、成長力を計る指標の一つであり、天候や周囲の競合環境などにより一進一退で、むしろ多くのチェーン店では伸びを維持するのに苦労するもの。その分、出店によって全体売上げを拡大する。

 特にコンビニチェーンはその傾向が強く、セブン‐イレブンはその最たるもの。他チェーンより抜きん出た平均日商と安定した既存店営業力に加え、年間約1500前後の出店数(閉店やスクラップ&ビルドにより、純増は700~800店)を続けることで全店売上高4兆8988億円(19年2月期)の巨大チェーンにまで成長させた。

 ただし今年に入り、セブン-イレブンは24時間営業問題により、時短営業の検討、店舗業務の省力化支援、新型レイアウトの導入加速化など既存店対策を迫られるようになった。同社ではこれを“意志ある踊り場”として新規出店を大幅に抑制した。そのために今期は5カ月経過時点で114店の増店にとどまる。既存店対策が成果を見るまでは全店売上げ減という踊り場は今期中起きることも考えられる。

 7月はセブンペイのサービス開始、即撤退というつまずきは同社独自のキャッシュレス対策を停滞させるだけでなく、大きなマイナスイメージがついた。「同業チェーンにお客を取られた」という加盟店の声を報じるメディアもあるが、ファミリーマートの7月の数値を見ても同じく既存店伸び(前年同月比98.3%)、全店売上高(同98.1%)ともマイナスになっており、特に同社に有利に転じた数値は見られない。

 また、セブン‐イレブンはPayPayはじめ国内外のバーコード決済サービスにも既に対応しており、後れを取ったとはいえないだろう。むしろ新型レイアウトの既存店導入、加盟店の省力化支援をともに加速化し、顧客、従業員双方に新しい店舗の姿を見せる時なのである。まさに“踊り場”といえる。