経営不安がつきまとう「フォーエバー21」

 日本市場で売上げを落としている大手外資SPAは「フォーエバー21」に限らないが、他社に経営不安は見られないのに「フォーエバー21」には経営不安がつきまとっている。

 直近四半期の業績を見ても、インディテックス社(2〜4月期)が現地通貨ベースで5%売上高を伸ばして売上対比16.5%、H&M社(3〜5月期)も同5%売上高を伸ばして同10.3%、ギャップ社こそ2%売上高を落としているが同8.5%の営業利益を計上し、アメリカンイーグル社も既存店売上高を6%伸ばして米国では好調なのに対し、「フォーエバー21」は閉店が相次いで大きく売上げを落としているのは推計できても営業利益や資金繰りは一切見えない。

 もとより「フォーエバー21」は非上場のファミリーカンパニーで財務諸表はおろか売上高や利益も一切公開しておらず、わが国でも官報への決算公告も行っていない。そんな非公開体質は好調時には問題とならなくても、ひとたび不調に転ずれば不安が不安を呼んで資金調達にも支障をきたす。「フォーエバー21」が現在置かれている苦境はそんな構図だと思われる。

 米国のチャプター11(連邦破産法第11条)はわが国の民事再生法にあたり、債務整理と事業再生を法的に執行するものだ。再生計画が整っていればつなぎ融資も受けられるし、スポンサーが現れれば再生へ、ダメなら事業を清算することになる。直近のバーニーズの破産法申請では投資ファンドなどから7500万ドルの融資を確保しているから再生の見通しがあるが、「フォーエバー21」の場合はつなぎ融資の確保から難航しており、バーニーズより状況が厳しいようだ。

国内店舗の存続と後釜は

「フォーエバー21」が十分なつなぎ融資を確保できないまま連邦破産法を申請する事態となれば、米国内では大手商業施設デベか投資ファンドがスポンサーとなって営業を継続する店舗が残るとしても、海外店舗の営業継続は極めて難しい。

 バーニーズの場合はセブン&アイ・ホールディングス傘下のバーニーズジャパンと資本関係がなかったから、本国の破綻で日本の店舗が閉店する事態とはならなかったが、「フォーエバー21」の場合は本国資本の直営だから本国が破綻すれば即、日本国内の店舗も閉店を余儀なくされる。本国の再生によほど有力な小売資本がつかない限り(ファンドだと不採算店舗/事業は即、切り捨てる)、破産法申請で日本の店舗は閉店することになる。

 となれば「フォーエバー21」閉店後の後釜をどうするかだが、外資SPAは総崩れで不採算店整理を加速している状況だから期待できないし、商業施設内の小型店でも1000平米以上、大型店では3000〜4000平米という大型区画を埋めるテナントは極めて限られる。規模的には「ユニクロ」「GU」やアダストリア系の複合店舗、あるいはスポーツ/アウトドアの大型店か「ニトリ」や「スタイルファクトリー」などインテリアの大型店が考えられるが(米国のSCではフードコートに転換するケースも見られる)、ゾーニングや販売効率を考えれば選択肢は限られる。

経営状態を開示しないテナントは導入しない

 外資テナント、とりわけ準核級の大型店舗は相手都合の退店リスクが極めて大きい。「オールドネイビー」の突然の撤退で商業施設デベは肝に命じたはずだが、今更打つ手がないということなのだろう。米国では残存定借期間の基準家賃一括徴収というペナルティで対応しているが(本サイト6月5日掲載『ブランド旗艦店が消えていく』)、経営破綻では徴収も難しい。

 そんな外資大型店舗のリスクに加え、「フォーエバー21」の場合は経営状態のディスクロージャーという最低原則も怪しく、出店契約に当たって財務諸表の提出を得られたのか疑わしい。中小の新興テナントならともかく準核級の大型テナントである以上、そもそも経営状態を開示しない企業を導入すべきではなかった。これを機会にルールを徹底すべきだろう。