待ち合わせで先手の取り合い

 鈴木君と木村君はある企業を訪問するため、待ち合わせをしました。埼玉県のJR京浜東北線の浦和駅改札口での立ち話です。

木村:「やあ、鈴木君早いね。約束の40分前だというのに、もう着いていたの?」

鈴木:「何言っての、いつも木村君の方こそ、いつも待ち合わせというと早く着いているじゃない。木村君はどうしていつも早く着くの?」

木村:「僕は仕事柄、研修の講師が多いじゃない? 僕が時間ギリギリに到着すると教育担当の人が心配するんだ。だから、準備時間30分、バッファー30分で合計60分早く癖が付いているんだ」

鈴木:「へえ、木村君はコンサルタントの先生だから、偉そうに時間ギリギリに会場到着すると思っていたよ」(笑)

木村:「何、皮肉を言っているの。コンサルタントへの評価なんて、結構分かりやすくて、開始時間、終了時間を守ることだったりするんだ。開始時間を守ることが教育担当の期待、終了時間を守ることが受講者の期待だよ。そして中身!」             

鈴木:「コンサルタントも、相手のことを考えているんだ!」(笑)

木村:「あのコンサルタントはいつも時間ギリギリに来るから使いたくないとか、この先生は話が長くなるから受講者から不満が出るという声はよく聞くよ!」

鈴木:「お互い、気を付けなくてはね。ところで今日はなんで早かったの?」(笑)

木村:「今日だって、京浜東北線は危ない。よく電車が止まる路線でしょ。だから、電車が遅れるかもしれないと思って、早く出発したよ」

鈴木:「そうだよね。この路線はほんとによく止まる」

木村:「鈴木君も早かったじゃない? 自宅が近いから時間を合わせるのが簡単なはずじゃない? どうして?」

鈴木:「木村君は自宅が千葉だから、浦和なんてめったに来ないでしょ! 木村君のことだから、用心して早く来ると読んだんだよ」

木村:「なんだ!自分の方が先を読んでるって、自慢したかったんだ」

鈴木:「・・・」(笑)

エアコンの効いた車は気分が良い

鈴木:「相手の先手や期待で思い出したことがあるよ。営業マンと商談の同行をした時のこと」

木村:「鈴木君は営業マンとの関わりが多いから、いろいろ営業マンのエピソードあるよね」

鈴木:「その営業マンと8月某日、商談で車移動途中に打ち合わせがてら食事をしたんだ。そろそろ食事場所を出ようとした時、『ちょっとお持ちください』と席を立った。その時はトイレにでも行ったんだと思っていたが、車に乗ってビックリ!」

木村:「車の中、エアコンが効いて涼しかった。そうでしょう」

鈴木:「そっ、その通り。真夏の車はサウナ状態、彼は車内を居心地の良い空間にするため、先に席を立って、エアコンをつけて戻ってきた」

木村:「それって、車のディーラーではよくある話、試乗車の車内を涼しくしておくとか、修理終了の車を座席位置、オーディオ、ミラーなどを返却時に、元に戻しておくこととか。きっと自分が体験してうれしかったことができているんだね!」

鈴木:「うーん、二番煎じと捉えられたのが悔しいな。その営業マンはほんとに先手を読むんだ。同じ8月にこんなことがあった。渋谷ハチ公前で待ち合わせをする機会があった」

木村:「うーん、今度は待ち合わせ時間ではないようだ」

鈴木:「その営業マンから約束の前日にファックスが届いた。待ち合わせ場所の確認の地図だった。東京を拠点にする自分としては余計なお世話かなと思いつつ、地図を見た。すると、地図に『ここだと涼しいのでこちらでお待ちください』の一言が付いていた」

木村:「相手の快適にこだわる営業マンだね、スゴイ!」

鈴木:「・・・」

案内の地図が見づらい

 鈴木君と木村君は雑談をしながら、目的の企業へ向かって歩き始めました。

鈴木:「えーと、この交差点を右に曲がれば見えてくるはずなんだが、それにしてこの案内地図が見づらい!」

木村:「鈴木君は方向音痴だから、地図を見るのが下手なんじゃないの? 地図を貸して!」

 笑いながら、鈴木君が地図を木村君に渡した。木村君は鈴木君が笑っている意味がすぐには分からなかったが、渡された地図を見て分かった。

 渡された地図は会社を中心に書かれているため、会社から浦和駅へ行くには分かりやすいが、浦和駅からその会社へ行くには、大変見づらいものだった。駅の周辺地図や店舗のレイアウト図でよく遭遇する分かりにくい図と同じであった。見る人にとっての上下左右と描かれている図の上下左右が一致していなかったのです。