イオンは、増税前の駆け込み需要を見込み、同社のホームファッションのPB「HÓME CÓORDY(ホームコーディ)」の秋冬商品約500アイテムを、8月19日から最大520店舗で展開している。

 このホームコーディだが、その歴史は古く、シンプルで飽きのこないデザインをコンセプトに1985年に発売された。一時中断したが、2016年10月、SPA(製造小売)モデルで再デビューを果たす。「価格」「機能」「素材」をキーワードに開発体制を一本化し、カラーバリエーションも豊富にそろえた。コーディネートを重視し、トレンドに対応しつつ、機能性の打ち出しも図って寝具,インテリア、収納、ダイニングキッチン、ランドリーなどで一気に4000SKUを発売、累計1万8000SKUを送り出し、現在は9500SKUを展開する。

19年秋冬の主力商品はこれだ!

 この秋冬に主力商品として打ち出したのが「三層ボリューム掛ふとん」と「無水調理ができる鍋物ホーロー鍋」。

「三層ボリューム掛ふとん」は、生活者調査で、「肌ざわり」とともに「ボリューム感」と「保湿性・暖かさ」が求められていることに着目し開発された。

 

 暖かさは「どれだけ空気を多く含むか」に左右されるので、中わた3層とエアポケット構造、空気を逃がさないキルト縫製で、暖かさの目安となる10段階レベルで7を実現、ボリュームも従来比較で1.6倍と大幅増。羽毛ではなく、綿ふとんで機能性を追求し、掛けふとん1枚で毛布がいらないと提案しながら、生活者の悩みや問題を解決しようとするのが、この商品だ。

 今年はさらに暖冬や寒い冬どちらにも対応できるよう、「綿カバー」と「あたたかカバー」を用意。生活者にとって大きな悩みであり、睡眠に大きく影響する枕では、全身を包み「まるごと支える」マットレスピローとフットピローも発売し、トータルで解決を図ろうとしている。

「無水調理ができる鋳物ホーロー鍋」は、ふたの裏面に突起物を付け、重量も重くし密封性を高め、食材から出る水分を逃がさず循環させるというもの。「料理の手間を省ける」簡便調理ニーズに対応し、長く使うとうま味も増すという鉄製のメリットもある。カラーはレッドも用意しキッチンに彩りを求めるニーズにも応える。

 生活者は機能性やデザインだけではなく価格も重視するが、この商品の価格は20㎝タイプで3980円、22cmタイプで4980円(いずれも税別以下同じ)に設定。市販の無水鍋の価格帯は数万円から数千円まであるが、イオンはこの下限の価格帯で商品化しており、掛ふとんもシングル1枚7380円、マットレスピローとフィットピローは4980円と3980円に設定している。

必要な認知度向上、衝撃的な価格も必要に

 ただ、いずれも機能性を考えるとリーズナブルだが、ホームコーディのブランドとしての認知度はまだまだ低い。今回も機能性という付加価値でPBの価格を上げて利益率を高める常套的戦略は取らず、SPAをフル活用し、さまざまなコストを削減させながら、あえて利益も低く抑えているが、価値に照らして衝撃的な価格を打ち出すなど、認知度の向上も必要だろう。

 商品のバリューのうち、価格も重要な要素であることは言うまでもないが、その価格を破壊することで、流通業界はイノベーションを繰り返してきた。ホームコーディ飛躍のためには、世間の注目を集めるアイテムを開発し、圧倒的な低価格で提供し、ピンポイントで大ヒットさせることが求められよう。

 

 既に、日用生活品では、機能と低価格を打ち出し、成果が出ている商品も現れている。角形S5個入198円をはじめとする「そのままレンジ保存容器」シリーズは累計400万個売れた超ヒット商品。ゆるい密封性でふたが開けやすく、溝も洗いやすくし、積み重ねができるなど機能性に優れる。

 

『家事を、楽(ラク)に、楽しく、お値打ちに!』をコンセプトにしている「ラク家事グッズ」でも、お値打ちで昨年発売した「水切りワイパー」98円は大ヒットした。

 

 今年8月登場した「マイクロファイバークロス 2枚組」は、マイクロファイバーで吸水性を高め、つり下げ用のループも付く。乾拭き、水拭きどちらにも対応でき2枚組99円で、早くも好調だ。

 

 また、「敷パッドアイスコールド」3680円は、辛口評価で知られる雑誌『MONOQLO(モノクロ)8月号』の冷感敷パッド部門の総合評価で1位となっている。

 ホームコーディではこうして機能、価格をアピールする一方、「乾電池の2個パック」のようなニーズ商品や、「シニア向けにスリッパ」ではSサイズまで投入。あるいはインバウンドを意識し、国産の若狭塗の箸も投入するなど、さまざまな需要もきめ細かく取り込む。

 

 今後は1℃単位で温度調整が可能な「温度調整ケトル」(ブラックとブロンズ)など、デザインと機能を重視したこだわりの色と質感の「テーブル家電シリーズ」も発売する計画だ。

SNSと店頭催事を活用して商品力をアピール

 しかし、商品アピールはまだまだ十分とはいえず、その良さも知られていない。そこで、コンセプト(『長く使えて、シンプルで、上質な商品で、暮らしをコーディネートする』を生活者に伝え、商品情報も織り交ぜ、インスタグラムによる情報発信力をさらに高めていく(人気のインフルエンサーも活用していく)。

 ホームファッションでは周知の通り「ニトリ」という強いライバルがいる。過去、イオンのGMSはニトリなど有力専門店にそのカテゴリーを侵食され、長らく低迷してきた。

 ホームコーディは、既存の売場の活性化を図り、専門店としての業態も確立しようとする反転攻勢の取り組み、既に17年3月には、「三宮オーパ2」(神戸市)に専門店として1号店を出店し、現在は38店舗を展開、売場は約380店舗まで拡大している。

 事業を推進するイオンリテールでは、昨年3月にホームコーディ事業開発部が発足し、今年3月にはホームコーディ事業部となり、商販一体となり、来年に向けて分社化の動きも加速している。

 GMSの売場では規模がさまざま、立地や商圏に合わせた商品構成で展開している。VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)に力を入れ、バスグッズなどで体験型のイベントを実施するなどして、アピール度を高めているが、編集力という点では成長過程にあり、レベルアップの余地が残る。

 専門店として必要な商品を売り込む販売力をさらに高めるため、今年5月からは部内で専門知識などの勉強会も始め、今後もさらに教育体制も拡充させていく考えだ。

 このホームコーディがホームファッションの専門店として確立するためにはまだ課題もあるが、分社化によって独立採算性が強まり黒字達成は必達目標となれば、“儲ける力”の一段のパワーアップが必要となる。

 その源泉となるのがSPA。そのビジネスモデルの精度向上が欠かせず、従業員1人当たりの売上げや売場の坪効率のアップといった販売における収益力向上にもより一層取り組まなくてはならない。

 ブランディングも必須で、それなくしては専門店としての発展はありえないのは言うまでもない。ホームコーディといえば、ただちに脳裏にイメージが浮かぶようになる商品開発や店舗づくりが必要だ。